狩猟で生きる。プロ猟師への道をこの1冊で『狩猟を仕事にするための本』

 狩猟を趣味で行う人はたくさんいますが、それを生業にすることは可能なのでしょうか?結論から言えば「可能」です。もちろん、狩猟を仕事にすることで高い収入を得るのは難しいことですが、それでも、あなたの人生を”豊か”にする生き方がそこにあります。今回はこのような狩猟を生業するノウハウをまとめた『狩猟を仕事にするための本』をご紹介します。

目次

この本の目次

実際に狩猟で生計を立てている。そんな事例をご紹介。

「狩猟で本当に生計を建てられるのか?」・・・そのご質問については、何はともあれ実例を見てもらうのが一番です。そこで本書の0章では『猟師プロファイル』と題して、実際に狩猟で生計を立てられている、または副業として収入を得ている8つの事例をご紹介します。

猟師の『ポートフォリオ』

 この章で注目していただきたいのが『猟師の働き方には色々な“組み合わせ”がある』ということです。狩猟で収入を得る方法には、例えば『有害鳥獣捕獲』や『指定鳥獣捕獲等事業』、『食肉の販売』、『狩猟マテリアルや猟具類の販売』などがあり、多くの猟師さんはそれらの要素を、自身のスキルや生活スタイル、物的・時間的リソースに合わせてチョイスするというスタイルになっています。つまり、猟師の収入は単一的ではなく、様々な要素を組み合わせたポートフォリオになっているのです。
 本書では8つの事例のそれぞれにおいて、ポートフォリオという形で収入の内訳を紹介しています。「自分が狩猟を仕事にするときは、どのような要素を組み合わせていけばよいだろう?」と想像していただければと思います。

現代猟師の軸となる『狩猟ビジネス』の基本

 多くの方は「猟師」という言葉から、「野生鳥獣を捕獲して肉や毛皮などを販売して生計を立てる人」を想像されるかもしれません。しかし、現代猟師の主な収入は野生鳥獣の販売から利益を得るのではなく、農林業被害や生態系保全のために野生鳥獣を捕獲し、報奨金等を得ることにあります。

実は無茶苦茶複雑な、捕獲で報奨金等を得るための制度

 この話を聞いて、「なるほど!じゃあ私も狩猟免許をとって報奨金を稼ごう!」と思った方・・・残念ながらそう簡単な話ではありません。一般的な狩猟は『狩猟制度』と呼ばれる決まりの中で行われていますが、報奨金を得るためには狩猟制度ではなく『捕獲許可制度』と呼ばれる別の仕組みになっています。
 またそれとは別に『特定鳥獣保護管理計画制度』と呼ばれる仕組みもあり、これらが都道府県や市町村、猟友会などと絡み合って、非常に複雑な仕組みになっています。そこで本書では第1章で、主にこれら制度に関して詳しく解説をしています。
 制度に関しては、下記ページでも解説をしています。制度に関してのみ詳しく知りたい方は、是非こちらもご参考ください。

捕獲した屠体を食肉へ『ジビエビジネス』の基本

 先ほど「現代猟師の仕事は、野生鳥獣を捕獲して報奨金等を得ること」と述べましたが、もちろん昔ながらの獲物の肉を売るビジネスも健在です。ただしこのジビエビジネスにも狩猟ビジネスと同様な複雑な規制があり、簡単に始められるというわけではありません。

猟師は『食肉処理のプロフェッショナル』であれ

 家畜の肉と野生鳥獣の肉(ジビエ)の最も大きな違いは『衛生管理』です。なぜなら、家畜の場合は「と畜場」と呼ばれる施設で獣医師の免許を持った「と畜検査員」という専門家に病気の有無をチェックしてもらえますが、野生鳥獣の場合はそのような検査を受けることができません。すなわちジビエは家畜肉に比べて、恐ろしい人畜共通感染症や家畜伝染病を保有するリスクが高いのです。
 よって、捕獲した野生鳥獣を解体してジビエとして販売する場合は、これら衛生管理に関する基準を守り、食肉処理に関する専門的な知識を身につけなければなりません。本書では2章で、これらジビエビジネスを行う上で必要となる衛生管理基準や、ジビエ処理施設の建設ノウハウなどをご紹介しています。

需要を汲み取ってヒット商品を狙え!『物販ビジネス』

 アメリカのゴールドラッシュでは「一番儲けたのは金鉱脈を掘り当てた人ではなく、ジーパンとツルハシを売っていた会社だった」という小話があるように、ビジネスにおいてはその業界のプレイヤーになるよりも、その業界が必要とする物資を供給するサプライヤーになった方が儲けがでることもあります。物販ビジネスとは、狩猟・ジビエ業界に必要とされる商品(モノやサービス)を提供して利益を上げるビジネスモデルです。

商品の開発・製造・販売は個人でもできる。

 
 現在の狩猟・ジビエ業界には様々な需要があり、例えば罠の発信機や見回り用ドローン、侵入防止柵、解体用冷蔵設備などの商品が、大手電機、機械、通信、またはITベンチャー企業などによって販売されています。
 この話を聞いた人の中には「そんなの個人でできるわけないじゃん!」とツッコミを入れた人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。例えば、くくりわなや箱わな、狩猟用ナイフ、狩猟用衣類、帽子、銃猟用アクセサリーといった商品の中には、巨大な資本や生産設備を持たない”個人”で商品化されている物の多くあります。
 このような商品は、ひと昔前までは販路が狭くビジネスにするのは難しかったですが、現在はSNS上やメルカリ、ラクマなどのフリマアプリ、Amazonや楽天などのECモール、STORESやBASEといったASPショッピングカートなど、Web通販を利用すればいくらでも販路を作ることができます。そこで本書の4章では、ジビエ加工品の販売方法や狩猟マテリアル、猟具・狩猟用品、さらには銃砲の販売方法(銃砲店の要件)などについてご紹介しています。

経営戦略は情報が命!『情報戦略』

 本書の5章では『情報戦略』についてご紹介しています。この情報戦略とは、簡単に言えばマーケティング付加価値の作り方などで、いかに商品を(狩猟ビジネスであれば自身のスキルを)高く売るかという視点で解説をしています。

資源が安定しないからこそ『情報』の扱いが重要になる。

「狩猟を仕事にするうえで『情報戦略』とか考える必要あるの?」と思ったそこのあなた!

超、超、超、重要ですよ!!

というか、情報戦略という考え方は「特に狩猟だから重要」とも言えます。
 どのようなビジネスでも、富の源泉は『資源』であり、この資源が無ければ何も生み出すことはできません。しかし狩猟を生業にする場合は、この資源が『野生鳥獣』という不安定な存在なので、何らかの異変で獲物が「ぱったり」と獲れなくなる可能性もあります。また、畜産業であれば万が一に家畜が死亡した場合でも買いなおすこと(カネの力)で事業を維持できますが、野生鳥獣はカネを払っても生み出すことはできません
 このように、狩猟をビジネスとして見た場合、経営資源であるヒト・モノ・カネの『モノ』がとても不安定であるという宿命的欠点があります。そこで狩猟をビジネスにする場合は、商品の差異化(ポジショニング)やブランディングといった『情報』の扱い方が、重要な役割を持つのです。

情報自体をコンテンツとして販売するビジネスモデル

 「情報」という言葉には意味が色々ありますが、情報をコンテンツとして販売することも、近年注目を集めるビジネスモデルです。コンテンツとは、例えば自信が経験したことや考えたことをまとめた文章や動画、音声、イラスト、ノウハウといった物です。これらは、文章であれば書籍化や雑誌への寄稿、またブログなどを作ってアフィリエイトで広告収入を得たり、動画であればYoutubeなどのプラットフォームで広告収入、またはスーパーチャット(投げ銭)などでマネタイズすることが可能です。
 このような情報コンテンツビジネスは、単純にコンテンツから利益を生み出すだけでなく、それ自体がマーケティングや広告の役割を持つという非常に強力な存在です。もはやビジネス全般で必須とも呼べる考え方なので、狩猟を仕事にしたいと思っている人は必ず理解しておきましょう。

まとめ(こんな人にオススメの本)

  1. 野生鳥獣の捕獲・管理で収入を得たい人
  2. 狩猟を副業にしたいと考えている人
  3. ジビエビジネスや猟具製造販売で収益を上げたい人
  4. まったく新しいビジネスチャンスの世界に飛び込みたい“変人”

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この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

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