新時代に求められる技能職『罠猟師』への道

 痕跡を調べ、罠を仕掛けて獲物を待つ罠猟は、近年、狩猟免許所持者数が急増している狩猟ジャンルです。しかし罠猟は銃猟よりも「始めやすい」のは確かですが、「簡単」というわけではありません。むしろ“はじめの1匹目”を得るまでの道のりは、銃猟に比べてはるかに難しいと言えます。そこで今回は、罠猟でコンスタントに獲物を捕獲する「罠猟師」を目指すためのガイダンスを、お話ししたいと思います。

この記事の3つのポイント

  1.  わな猟免許の所持者は増えているが、免許を取ったからと言って獲物が獲れるわけではない。

  2.  “わな”には様々なバリエーションがあり、種類や構造によって運用方法がまったく異なる。

  3.  罠猟は、「罠をかける」までではなく、「罠の見回り」、「罠にかけた獲物の止め刺し」までを考えておかなければならない。


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『罠猟』ってなに?

 罠猟は、法律で『法定猟具・わな』に分類される道具を使って狩猟鳥獣を捕獲する猟法です。そのため罠猟を始めるためには、まずは狩猟免許の1つである「わな猟免許」を取得したうえで、罠猟を行いたい都道府県に対して狩猟者登録(わな)を申請します。

わな猟免許所持者は増えている

 「狩猟」と言えば、やはり散弾銃やライフルを使用した“第一種銃猟”がまっさきにイメージされますが、実は近年、わな猟免許所持者数が、銃猟免許所持者数よりも多くなっています
 もちろん上の表は、第一種銃猟とわな猟免許を2つ持っている人もカウントされているため、純粋に「銃猟よりも罠猟の人口が増えた」とは言えません。しかし、近年ではどこの試験会場でも、受験者のほぼ半数がわな猟免許希望者だそうなので、罠猟への新規参入は確実に増えているのは確実なようです。

始めやすいが、簡単ではない罠猟

 銃を所持しなければならない第一種銃猟は、第一種銃猟免許に加えて銃の所持許可の申請を行わなければなりません。よって罠猟は銃猟よりも狩猟を始めるハードルが低く、初期費用も抑えられます
 しかし罠猟は銃猟に比べて「簡単」というわけではありません。罠を仕掛けるためには、まず仕掛けても良い場所を調べておかなければなりませんし、その罠は原則として“1日1回”見回りをしなければなりません。さらに“わな”は、銃に比べてはるかにシンプルな猟具なので、その特徴や性質をよく理解しておかないと上手く使うことができません。
 このように罠猟には、“始める難易度”と“続ける難易度”に差が大きいことから、「わな猟免許を取ったのに一度も出猟しなかった」といったペーパーハンターの問題も起こっています。

まずは“わな”の基本を学ぼう!

 罠猟を始めるうえで重要なのが、“わな”に関する知識です。現在、日本国内で使用できるわなは、くくりわな箱わなに大別できます。この2種類のわなは『獲物を捕獲するための戦術』がまったく違うため、目的に合わせた方法で運用しなければなりません。

わなは、構成によってさらに違いが出る

 “わな”はさらに、構造によっても使い方がまったく変わります。例えばくくりわなの場合、使うバネを「押しバネ」にするか「引きバネ」にするかによって、仕掛けやすい場所が違ってきます。また、箱わなでも、「片開き扉」にするか「両開き扉」にするかで、獲物に与える違和感が変わってきます。このように罠猟では、銃猟における銃と同様に、猟具の取り扱い方を熟知しておかなければなりません。

“見回りの手間”をどのように削減するか?

 銃猟の場合、獲物を目の前にして銃の引き金を引いた時点で「獲れたか・逃したか」がわかります。しかし罠猟の場合は、わなを仕掛けてから獲物がかかるまで何日も、場合によっては何カ月もの時間がかかります。そこで罠猟では、仕掛けた罠をチェックしてまわる見回り作業が必要になります。
 

SIMトレイルなどを使って手間を削減する

 見回りは、もちろん自分の目で見て回るのが一番なのですが、さすがに毎日毎日かかっていない罠を見回り続けるのは、モチベーション的につらいものもがあります。何よりも、平日に仕事や学校に行く人が、毎朝山に見回りに行くのは時間的に難しいと言えるでしょう。
 そこで罠猟では、見回りの手間を削減する方法を考えておく必要があります。例えば、携帯電話回線を利用して動画や写真を転送してくれるSIMトレイルカメラや、罠が起動したら電波を発信する罠発信機などの活用です。また、地元の人に見回りをお願いするという方法も有効です。もちろんそのためには、協力者を得る交渉力が必要になります。

“獲物がかかった後”をどうするか?

 罠猟では、罠にかかった獲物はまだ生きているので、この獲物の息の根を止める『止め刺し』をしなければなりません。しかし罠にかかった野生動物は、死に物狂いで逃げようと暴れます。よって止め刺しでは、獲物の動きを拘束する方法や、素早く絶命させる方法を身に着けておかなければなりません。

おわりに

 今回は、『罠猟師』を目指すためのイントロダクションについてお話をしました。これから数回にわたり、わなの説明や仕掛け方、猟場の選定、見回りの手間を削減方法、止め刺し方法、そして、『罠猟師』という職業の重要性について、お話をしていきたいと思います。ぜひ、続きをご覧ください。

それでは次回、「わな」の解説編でお会いしましょう。


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