〝固いジビエ〟でも絶品料理に変身!魔法の『漬けレシピ』を教えます

シャリアピンステーキ

 個体差が大きいジビエは、肉質が硬く、そのまま焼いても美味しくない場合があります。そんなジビエにおすすめの調理方法が「漬け」。今回は、固いジビエでも驚くほど美味しくなる、魔法の「漬けレシピ」をご紹介します!

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  1. タマネギのタンパク質分解酵素で肉を柔らかく・旨味もUP
  2. パイナップルやマイタケなど、肉を柔らかくする食材は色々ある
  3. ヨーグルトで漬けると、ジューシーさがアップする
  4. もっとも簡単な方法は、砂糖・塩水(ブライン液)に漬けて解凍する方法
  5. 最強は、タンパク質を化学物質で分解する『焼き肉のタレ』

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目次

タマネギに漬け込む

鹿肉

 ジビエ、特に『シカ肉』は、加熱しすぎるとレバー臭が出たり、肉が縮んで硬くなったりします。そこで活用したいのが、タマネギに含まれるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)です。

タマネギは酵素パワーで肉の旨味をUPさせる

タマネギに漬ける

 タマネギの酵素の力を最大限に活かすためには、タマネギをみじん切り、もしくはフードプロセッサーでペースト状にし、鹿肉とタマネギをジップロックに入れてよく揉み込むことが重要です。
 酵素は40℃~60℃で活性化し、それ以上で壊れてしまうため、タマネギは必ず生で使います。漬け込む時間は温度によって変わりますが、室温(25℃)なら3~4時間、すぐに料理しないのであれば、冷蔵庫で一晩以上寝かせるのがおすすめです。

漬けたタマネギは一緒に料理する

 タマネギに漬け込んだ肉を焼く料理は、シャリアピンステーキと呼ばれています。この料理は、1936年に帝国ホテル料理長の筒井福夫氏が、当時硬くて食べにくかった牛肉を「どうにかして柔らかく調理したい」と考案したのが始まりとされています。

果汁に漬ける

 肉を柔らかくする方法はタマネギだけではありません。タンパク質分解酵素は、さまざまな〝果汁〟にも含まれています。

パイナップル・パパイアの持つ『パパイン』

 パイナップルやパパイアに含まれるパパインという酵素は、肉を柔らかくする効果があります。中華料理の酢豚にはパイナップルが入っていますが、あれも元々は肉を柔らかくする目的があります。
 ただし、最近の酢豚は加熱処理された缶詰のパイナップルを使うことが多いため、肉を柔らかくする効果は無いようです。ジビエにパイナップルやパパイアを使う場合は、生の果汁を使うようにしましょう。

マイタケの持つ”マイタケプロテアーゼ”

 マイタケに含まれるマイタケプロテアーゼという酵素も、肉を柔らかくする効果があります。マイタケプロテアーゼは非常に強力な酵素で、驚くほど肉が柔らかくなります。テレビ番組で紹介されたこともあるため、意外と知っている方も多いのではないでしょうか。

その他、肉を柔らかくする果汁

 タマネギ、パイナップル、マイタケ以外にも、リンゴ、梨、オレンジ、大根などの果物・野菜にも肉を柔らかくする酵素が含まれています。

ヨーグルトに漬ける

 肉を柔らかくする方法は、タマネギやパイナップルなどの酵素を利用するだけではありません。ヨーグルトなどの乳製品も、また違ったアプローチで肉を柔らかくすることができます。

乳脂肪分コーティングする

 ヨーグルトに含まれる乳脂肪分は、肉表面に付着して保水性を高める効果があります。肉の保水性が高まると、加熱時に肉汁(ドリップ)の流出を抑えることができるため、ジューシーで柔らかな仕上がりになります。

臭みを抑える

 乳脂肪分には、臭みを抑える効果もあります。中東の定番料理であるケバブは、羊肉をヨーグルトに漬け込んで作られます。これは、羊肉を柔らかく焼き上げるだけでなく、羊肉特有の臭みを乳脂肪分で緩和する効果もあるとされています。

意外と長持ちする

 意外かもしれませんが、ヨーグルトで漬けた肉は長持ちします。これは、乳酸や酢酸によって雑菌の繁殖を抑える効果があるためです。
 ヨーグルト漬けの肉は、少なくとも1週間は持ちます。私は2週間程度漬けておいたシカ肉を食べたことがありますが、腐敗臭はまったくありませんでした。このときのシカ肉はカレーにして食べましたが、娘も「美味しい!」と絶賛でした。

ブライン液に漬ける

  個人的に、最もおすすめした漬けレシピは、『ブライン液』です。ブライン液とは、水、砂糖、塩を混ぜ合わせたシンプルな調味液のことです。このブライン液がジビエ肉の保水性を高め、信じられないほどの柔らかさを実現します。

コツはブライン液で解凍する

 ブライン液の作り方はとても簡単です。水に対して砂糖と塩をそれぞれ5%加えるだけ。このブライン液に冷凍ジビエ肉を浸し、冷蔵庫でゆっくりと解凍します。
 普通、ジビエをそのまま解凍すると、ドリップが抜けてパサパサになってしまいます。しかし、ブライン液に漬けて解凍したジビエは、破壊された細胞に砂糖の分子が取り込まれ、柔らかい肉質のまま解凍されます。
 この肉は、普通に焼いても縮むことなく、ジューシーな味わいが残ります。

最終兵器は『焼き肉のタレ』!?

シカのあばらを焼いたもの

 これまで、肉を柔らかくする食材をいくつかご紹介しましたが、その中でも特に強力な効果を発揮するのが・・・焼肉のタレです。

肉を柔らかくする化学物質『加工助剤』

 焼肉のタレには、加工助剤と呼ばれる化学物質が含まれています。この加工助剤は、タンパク質を化学的に分解し、アミノ酸を作り出す働きがあります。そのため、肉を焼肉のタレに漬け込むことで、肉質が柔らかくなり、旨味もアップするのです。

ファストフードが美味しい理由は、大抵この加工助剤

 市販されている加工食肉の多くは、この加工助剤(リン酸塩等)を使って化学的に処理されています。例えば、コンビニエンスストアで人気のフライドチキンなどは〝不自然なほど強い旨味と柔らかい肉質〟を持っています。これら加工食品は〝すべて〟加工助剤によって肉質が柔らかくされています。

ジビエに使うのを良しとするかは、その人次第

 ジビエは完全自然食です。そこに「化学物質を使えば美味しくなる」と言うのは、あまりにも受け入れがたいことかもしれません。
 しかし、私個人としては、〝料理を食べる人が満足できる〟のであれば、化学物質でも使ってよいと思っています。これについてどう思うかは、その人次第といったところでしょうか。

まとめ

  1. タマネギのタンパク質分解酵素で肉を柔らかく・旨味もUP
  2. パイナップルやマイタケなど、肉を柔らかくする食材は色々ある
  3. ヨーグルトで漬けると、ジューシーさがアップする
  4. もっとも簡単な方法は、砂糖・塩水(ブライン液)に漬けて解凍する方法
  5. 最強は、タンパク質を化学物質で分解する『焼き肉のタレ』

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