滋養満点!『イノシシ』は豚肉とはまったく異なる力強い旨味が最大の特徴

猪肉

ジビエの代表格、「ジビエ・オブ・ジビエ」とも言えるのがイノシシ肉です。イノシシは豚の原種であるため、味わいの方向性は豚肉と似ていますが、厳しい野生の中で生き抜いた力強い肉の旨味と、サクサクとした脂身の食感は、家畜の豚とは大きく異なります

この記事の『まとめ』を見る
  1. イノシシ肉の魅力は豚肉以上の味の濃さと、ナチュラルファットな脂の旨味
  2. 肉もうまいが内臓もうまい。内臓が食べられるのはハンターの特権
  3. 1月以降に捕獲されたオスは発情臭が出ることがあるので注意

詳しくは、この書籍をチェック!

目次

肉質と脂身の食感が、常識を覆す

イノシシのカツレツ

 私たちがよく知る豚は、もともとは野生のイノシシを家畜化したものです。つまり、イノシシと豚は生物学的に全く同じ動物です。しかし、「肉の味わい」という点においては、狭い厩舎で一生を過ごす豚と、大自然の中を駆け巡るイノシシとでは、大きな違いがあります。

1つ目の違いは、味の濃さ

 豚肉は美味しい食材として広く知られていますが、豚肉に強い主張を感じたことがあるでしょうか?野菜炒めに美味しい豚肉が入っていたとしても、感想は「美味しい野菜炒めを食べた」となるでしょう。
 しかし、その野菜炒めにイノシシ肉が入っていた場合、噛むごとに押し返す力強さと溢れ出す旨味に、間違いなく「このイノシシ肉は美味しかった」と感想を述べるでしょう。

2つ目の違いは、脂身の質。

イノシシ醤肉

 イノシシ肉と豚肉のもう一つの違いは、脂の食感です。豚肉の脂身は、濃厚な甘みとねっとりとした食感が特徴です。しかし、味がくどく、喉にべたつき、苦手な人も多いでしょう。
 一方、イノシシ肉の脂身は、自然な甘味とサクサクとした歯触りが特徴で、豚肉のような油っぽさがありません。また、自然の中で生きるイノシシは、ホルモン剤などの化学薬品はもちろん、飼料に含まれる農薬、防カビ剤、遺伝子組み換え植物などを一切食べていないため、その脂身はナチュラル・ファットです。
 このように、イノシシ肉は、

  1. 濃い旨味と力強い噛みごたえのある肉質
  2. 自然な甘みと舌触り
  3. 安全性を兼ね備えた脂身

という魅力を持っています。

肉はもちろん内臓も。イノシシに捨てるとこなし。

 イノシシの部位は、解体方法によって若干の違いがありますが、大きく肩ロース、カタ、ロース、バラ、ヒレ、モモ、スネの7種類に分類できます。
 さらにモモは、筋肉の塊が集まってできているため、食感の違いにより、内モモ、外モモ、ランプ、シンタマの部位に分けることができます。

「ぼたん」と呼ばれるロース

 食味としては、やはり「最上級」を意味するロースの名を持つ、肩から背中にかけての肉が最も味わい深い部位です。特に、脂の乗ったロースは、薄切りにすると脂身の白と筋肉の赤が牡丹の花びらのように見えるため、「ぼたん肉」と呼ばれます。

肉質は固いが〝旨味〟は一番!

 首回りから肩にかけての肩ロースは、イノシシにおいて最も運動量が多い部位なので、肉質は固くなります。しかし、旨味はどの部位よりも濃く味わい深いので、なるべく薄くスライスして調理しましょう。

1頭につき2本しか取れない希少部位のヒレ肉

 腰の内側に付いている筋肉はヒレと呼ばれ、運動量が少ないため、柔らかい食感の部位です。牛肉や豚肉でも希少な部位として知られています。
 ロースのように焼いて食べても良いですが、油分がほとんどないため、ヒレカツのように揚げ物にすると絶品です。

脂身のジューシーさが魅力のバラ肉

 腹周りのバラ肉は、筋肉と脂肪の層が折り重なっているため、「三枚肉」とも呼ばれます。豚肉に比べてイノシシのバラはスジが多く固い食感ですが、チャーシューや醤肉といった煮込み料理に使うと、ジューシーな脂身がたまらない至高の部位です。

肉質で食べ応えがある、モモとカタ

 イノシシのモモカタは、野山を駆け巡るために鍛えられているので、肉質は固く、脂身もほとんど付いていません。しかし、肉厚で旨味があるため、カレーやシチューなどの煮込み料理や、薄くスライスして炒め物に向いています。

スネ肉は知らなきゃ損する一番の美味

 スネはスジが多くて食べづらく、くず肉(ジャンクミート)として扱われる場合もあります。しかし、最も旨味が強い部位なので、丁寧に筋を取り除いて肉を叩き、餃子やハンバーグにすると最高です。骨付きのまま圧力鍋で茹で、ドイツ料理のアイスバインのように料理するのもおすすめです。
 近年ではスネを使ってドッグフードを作る人も多くいます。

ハンターならば、内臓料理も楽しめる!

 ハンターであれば、内臓もぜひ食べてみてください。沖縄には「豚は鳴き声と蹄以外、全部食べる」という言葉があるように、イノシシは肉だけでなく、心臓や肝臓、肺、腎臓、胃腸など、全ての部位が食べられます。これらの内臓は、一般的に流通しない食材なので、イノシシの内臓料理を楽しめるのは、ハンターの特権と言えます。

1月以降のオスは発情臭がでることがあるので注意

イノシシ

 イノシシ肉を選ぶ際は、1月以降に獲れたオスに注意しましょう。1月頃から3月頭にかけてのオスイノシシは、脂身に樟脳のような蝋臭い発情臭が出ることがあります。
 もちろん、獲れた場所や個体によって味わいに差があることもジビエの魅力の一つですが、ジビエ初心者の方は避けた方が良いでしょう。ジビエを販売している獣肉処理場では、獲れた季節や場所、性別、個体の大きさなどが記録されているため、購入する際には「いつ獲れたか?」や「性別は?」などを確認するようにしましょう。

まとめ

  1. イノシシ肉の魅力は豚肉以上の味の濃さと、ナチュラルファットな脂の旨味
  2. 肉もうまいが内臓もうまい。内臓が食べられるのはハンターの特権
  3. 1月以降に捕獲されたオスは発情臭が出ることがあるので注意

まとめ記事にもどる

関連記事

この記事に関連するおすすめ

おすすめの書籍

おすすめの商品

  • URLをコピーしました!
目次