“気持ち悪い”が一番うまい!イノシシの『コブクロ』を食べよう!

 ジビエで得られるのは肉だけではありません。「モツ」または「ホルモン」と呼ばれる内臓類も立派な可食部です。これらモツは、下処理に手間がかかったり、個体によっては臭みが強かったりしますが、部位によっては臭みも無く美味しい部位があります。それは・・・『コブクロ』です。

目次

コブクロってなに?

シカのコブクロの処理

 コブクロとは子宮です。子宮の形は動物によって大きく違いますが、イノシシの場合は直線状に伸びる膣と、左右に広がるウネウネの管が特徴です。
 このコブクロは見た目がかなり気持ち悪いので捨てられてしまうことが多いのですが、それはとてもモッタイナイ!これは私個人の感想ですが、特に若いメス猪のコブクロは肉の数十倍の価値があると思います。

コブクロの味にハズレは少ない

 もちろん食の好みは人それぞれではありますが、コブクロに関しては、嫌な臭いや雑味、また個体差による味の違いがほとんどありません(もちろん新鮮であることが前提です)。
 もし、あなたがこれまでコブクロを見て、「なんだか気持ち悪い臓器だなぁ・・・捨てちゃお」と思っていたのなら、あいや待たれいッ!
一度でいいので、今回のレシピを参考に食べてみてください。一度イノシシのコブクロの味を知ってしまうと、間違いなく狩猟の楽しみがまた一つ増えますよ!

シカのコブクロも同様に食べられる

シカのコブクロ

 コブクロはイノシシだけでなく、シカでも同様に美味しく食べられます。ただし、猟期中のシカは発情期にあたるので、子宮内には半球の肉塊(胎盤)が付いています。この胎盤も食べられないことは無いですが、食感がグニョグニョしているので、取り外して袋だけを可食部にした方が良いでしょう。
 胎盤自体はプラセンタと呼ばれ、高級健康食品にもなっているので、体に悪いものではありません。食べると美容に良い・・・の?・・・かもしれません。

シカの内子については・・・ううむ

なお、猟期中のメスジカは、ほぼ100%妊娠しているのでコブクロの中には胎児が入っています。この胎児は『ハラコ』と呼ばれ食べることもできるのですが・・・・ううむ。
 個人的な感想として、ハラコは旨味がほとんどなく、魚のように身がグニョグニョしているのであまり美味しくありません。一応、ハラコはしっかりと焼いて粉にし、鹿胎(ルータイ)と呼ばれる高級漢方薬を作ることができます。効能は中華文明特有の“同類同食”の考えからか、生理不順や貧血などの婦人病に効くと言われています。

コブクロの下処理

 胃や腸などの「白モツ」は、どれも清掃や臭み抜きの下処理が大変ですが、コブクロに関してはまったく難しくありません。
 まずコブクロは水道水でよく表面を洗い、ヒダになっている薄膜を包丁の先で切って、一本の管にしましょう。
 次に水を入れた鍋を火にかけ、沸騰したらコブクロを投入し、しっかりと熱を通します。

ヌメリを落としたら下処理完了

 熱湯から取り出したコブクロは、もう一度水で表面を洗いヌメリを落とします。茹でたコブクロを一口大に切ったら、あとは調味料と合わせるだけです。 
 なお最後にコブクロを切り分ける前に、まな板や包丁などはしっかりと洗って消毒しておきましょう。

コブクロには、コチュジャン+ニンニクが合う!

 コブクロの味付けは、シンプルに醤油だけでも良いですが、オススメなのはコチュジャンと和えた韓国風です!コブクロの味わいは、上質な貝のような甘味を持っており、「プツン!」と歯切れのよい食感が楽しめます。

イノシシは腸も絶品!


 コブクロ以外の食べ方は、下記ページも併せてご覧ください!

まとめ

  1. イノシシのコブクロ(子宮)は、ウネウネした管が二股に分かれている
  2. シカのコブクロも同様に美味しく食べられる。ただし猟期中は胎盤が付いており、胎児も入っている
  3. 下処理は洗って茹でるだけ。オススメの味付けは『コチュジャン+ニンニク』
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この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

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