小麦粉洗いで下処理を時短!ジビエのモツ(小腸・大腸)を食べよう!

 焼肉では大人気のモツ(小腸・大腸)ですが、モツを食べられるのは牛や豚などの家畜だけではありません。狩猟で得られるイノシシやシカ、アナグマ、ウサギなどのモツも、しっかりと下処理をすれば美味しく食べることができます。そこで今回は、モツの下処理と料理のコツについてお話ししましょう。

目次

小腸の下処理

ジビエモツの処理

 ジビエのモツは、解体で内臓を摘出するさい、土などの汚れが付着しないように注意しましょう。またモツの内容物が調理用の包丁やまな板などに付着すると、食中毒が発生する危険性があるため、モツの処理は肉の処理が終わってから行うようにしましょう。

腸膜の脂のノリが美味しさを見分けるポイント

 心臓や肝臓、脾臓などの『赤モツ』は、味わいに個体差はほとんどありません。しかし、小腸・大腸は個体差がかなり大きく、美味しいモツ・美味しくないモツがあります。
 美味しいモツを見分けるコツは、腸膜に脂が乗っていることです。この脂のノリが十分でないと、腸は火を入れると縮んでしまい、ゴムのような食感になってしまします。
 この腸膜の脂肪(”内臓脂肪”といわれる脂肪)は、その獲物の栄養状態で大きく変わり、また個体によっても付きやすさが違います。なので、モツを料理する際は、まずは腸膜の状態を確認してから、食用にするか・しないかを決めましょう。

腸膜を切って伸ばす

小腸の処理

 内臓を取り出したら、まず胃と小腸の間を切断します。次に小腸の切り口から大腸に向けて腸膜を切断し、伸ばしていきましょう。このとき小腸を強く引っ張ると切れてしまうので注意してください。

伸ばしたイノシシのもつ

腸膜を一本に伸ばしたら、小腸と大腸のつなぎ目を切断します。

腸裂きナイフで小腸を裂く

腸裂き

 小腸の切り口からナイフを入れて裂きます。このとき内容物が外に漏れ出してしまいますが、小腸に詰まっている内容物は後で水で洗い流すことができるため、気にしなくてもOKです。

 小腸を開くときは腸裂きナイフ(トライプナイフ)を使用します。このナイフは、刃先が切れないように丸くなっており、腸を裂くときに突き破らないような構造になっています。腸裂きナイフは、ユーティリティやケーパナイフの先端にキッチンペーパーを千切って丸め、刃先を保護すれば代用できます。

大腸の下処理

大腸の下処理

 大腸は、まず小腸が繋がっていた方にホースの先を突っ込み、ゆっくりと蛇口を開いて水圧をかけていきます。しばらくすると肛門側から内容物が流れ出てくるので、水圧を上げて中身が無くなるまで洗浄しましょう。内容物が出て来なくなったら、腸裂きナイフで小腸と同じように切り裂いていきましょう。

大腸の内容物は水で綺麗にならない

大腸内の糞を洗い流す

 小腸の内容物である液状化した食物は、小腸の外壁に付着しても水で洗い流すことができます。なので小腸は裂いた後に洗浄することができます。
 しかし大腸の内容物・・・すなわちウンコは、腸の外壁に触れると吸着してしまい、洗い流しにくくなってしまいます。そのため大腸は、裂く前にホースを使って内容物をあらかた洗い流しておかなければなりません。

モツの洗浄

 内容物を洗い流したモツは、水でよく揉み洗いします。しかしモツの臭みが無くなるまで洗うのは、とても時間がかかる作業です。そこでモツは小麦粉で揉み洗いして、下処理にかかる手間を短くしましょう!

小麦粉のグルテンが臭いの物質を吸着する

 モツの小麦粉洗いは、単純にモツに小麦粉を振りかけて、よく揉んだ後に洗い流すだけです。小麦粉は水分と合わさって練られると、グルテンと呼ばれる吸着性の強い物質になります。このグルテンがモツに付着している内容物や、嫌な臭いを吸着してくれるため、水だけで洗浄するよりも短い時間で綺麗になります。

 小麦粉で洗う回数は、だいたい2,3回で十分です。小麦粉を水で洗い流したときに、濁りや不純物が混じっていないことを確認しましょう。

コブクロの下処理

 白モツの中でもコブクロ(子宮)はとても美味しい部位です。下処理のしかたも簡単なので、絶対に捨てずに料理に使いましょう。詳しくは下記ページでご紹介しています。

モツの調理方法

イノシシモツ

 下処理をしたモツは、しっかりと水気を切っておきましょう。すぐに料理に使わないのであれば、ジップロック、できれば真空パックにして、冷凍庫で保存しましょう。

モツを料理するときは”水”を入れない!

 モツ料理の定番『もつ煮込み』を作るときは、水を加えないように調理するのが最大のコツです。もともと小腸・大腸には、見た目以上に大量の水分が含まれています。そのため、モツを料理する時は、いったん炒めて水分を出し、この水分で他の食材を煮込むように調理してください。もしモツに水を加えてしまうと、ベシャベシャになってしまい、モツの持つ旨味が薄くなってしまうので注意しましょう。

まとめ

  1. 小腸は腸裂きナイフで裂いてから洗浄する。大腸は水圧で内容物を洗い流してから裂いて洗浄する
  2. モツは、小麦粉をまぶして揉み洗いすると、手早く汚れや臭いを取り除ける
  3. モツを煮込むときは水を加えてはダメ。食材はモツ自身から出る水分で煮る
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この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

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