絶対に失敗しない、鹿肉の美味しい焼き方

鹿ステーキ

 鹿肉ステーキ(ロティ)は、ハンターであれば誰もが「自分でしとめた鹿で作りたい!」と思う、ジビエ料理の定番です。しかし鹿肉は火の入れ方ひとつで味が大きく変わってしまうため、ステーキにするのはすごく難しい食材です。そこで今回は絶対に美味しくできる『鹿肉の焼き方』をご紹介します。

目次

鹿肉の焼き方超基本

鹿のステーキ

 肉を焼いた料理は、よく「ステーキ」と言いますが、実はこのステーキという言葉は、もともと『焼いた鹿肉』を指す古代ノルド語の“steik ” からきています。
 なので、牛肉の場合は「ビーフ・ステーキ」、豚肉の場合は「ポーク・ステーキ」となりますが、鹿肉の場合は単純に「ステーキ」。すなわち、鹿肉を制する者はステーキを制するのです!

まずは肉を常温に戻す

鹿肉は冷蔵庫から出して

  鹿肉は焼くために必ずしておかなければならないのが、肉を常温に戻すことです。冷蔵庫から取り出したばかりの肉は4,5℃の低温です。そのため、このまま火にかけると肉の内部に熱が通るより前に、表面に火が入りすぎてしまい、外側はパサパサなのに内側は生っぽくなります。
 よって鹿肉を焼くときは、料理に入る前に冷蔵庫から出して、2時間ほど常温に戻しましょう。またこのとき、肉にはたっぷりの塩と香辛料をかけておき、塩味と香りをすり込んでおきましょう。

バターで表面を焼き、動物性脂分を加える

 肉を常温に戻して余分な水気を切ったら、次に食感を良くするために表面に焼きを入れましょう。このときフライパンにはバターをたっぷり入れて、鹿肉の表面をバターでコーティングするように焼いていきます。
 鹿肉は肉に脂肪分がほとんどないため、牛肉や豚肉に比べてとてもヘルシーです。しかし脂肪の少ない鹿肉を普通に焼くと、肉汁(ドリップ)が落ちてパサパサになってしまうため、どうしても食感が悪くなってしまいます。
 よって鹿肉を焼くときは多めのバターを加え、肉に脂肪分を取り込ませるようにしましょう。なお油分はサラダ油やオリーブオイルのような植物性油よりも、動物性油脂の方が馴染みが良いです。

オーブンで“温める”ように熱を加える

シカのオーブン

 肉の表面に焼き色を付けたら、金属バットかアルミホイルの上に肉を並べて、130℃程度に予熱したオーブンで15分ほど熱を通しましょう。
 一般的に肉を焼く(ロースト)温度は170~200℃、時間は8分程度です。しかし鹿肉を高温で焼くと、肉にレバー臭が出て食味もパサパサになります。そこで鹿肉は120℃ほどの低温で焼き時間を少し長めに取り、肉を温めるようなイメージで熱を通していきます。
 もし、鹿肉にちゃんと熱が通っているか心配な人は、キッチン温度計を用意しておきましょう。肉の内部が75℃程度であればバクテリアは死滅するので、食中毒等のリスクを抑えることができます。

肉質が落ち着くまで休ませる

 肉をオーブンから取り出したら、すぐにカットするのではなく、いったん金属網の上に並べて、肉を休ませましょう。
 鹿肉は、温度が高いうちにスライスすると、肉汁が染み出してベチャベチャになってしまいます。こうなると鹿肉のジューシーさが損なわれてしまうため、肉の荒熱をとって肉汁を固定させてから、切り出すようにします。

 しっかりと料理された鹿肉は、口の中に芳醇な旨味と野性味が広がる最上級の味わいです。その感情を言葉で表すとしたら・・・“原始的な喜び”! DNAの奥底から湧き出る肉を食べる喜び!明日を生きる生存本能を呼び覚ます味ィ!!

失敗無しの調理法

低温調理

「肉を常温に戻したり、寝かせたりするのメンドッ!」と思われた方は低温調理機を使うのがオススメです。最後に表面だけバターで「サッ」と焼き上げれば、絶対に失敗しない鹿肉料理の出来上がり♪

餃子のような包み料理

  餃子のように皮に包む料理は、皮の中の水分で肉が蒸されるので、100℃以下の調理ができます。個人的にはステーキにするよりも、みんなでワイワイ楽しめる餃子料理の方が好きだったりします。

まとめ

  1. 鹿肉は常温に戻して調理する
  2. 表面をバターで焼いて、オーブンで130℃・15分、焼いた後はしっかりと休ませる
  3. ものぐさな人には低温調理+バターで表面サッと焼きがオススメ

鹿肉を自分で捕獲して食べたい

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この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

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