絶対に失敗しない、鹿肉の美味しい焼き方

鹿ステーキ

 鹿肉ステーキ(ロティ)は、ハンターであれば誰もが「自分でしとめた鹿で作りたい!」と思う、ジビエ料理の定番です。しかし鹿肉は火の入れ方ひとつで味が大きく変わってしまうため、ステーキにするのはすごく難しい食材です。そこで今回は絶対に美味しくできる『鹿肉の焼き方』をご紹介します。

3つのポイント
  1. 鹿肉は常温に戻し、焼きムラを抑える
  2. 肉が火傷しない温度で、ゆっくりと温めるように焼く
  3. 肉汁を無駄にしないように、肉の荒熱をとって切り分ける


焼いた鹿肉 =「ステーキ」

鹿のステーキ

 肉を焼いた料理は、よく「ステーキ」と言いますが、実はこのステーキという言葉は、もともと『焼いた鹿肉』を指す古代ノルド語の“steik ” からきています。なので、牛肉の場合は「ビーフ・ステーキ」、豚肉の場合は「ポーク・ステーキ」となりますが、鹿肉の場合は「ベニソン・ステーキ」とは言わずに、単純に「ステーキ」というのが正しい言葉だったりします。
 すなわち、肉を焼く技術の源流は鹿肉!鹿肉を制する者はステーキを制するのです!

まずは肉を常温に戻すこと

鹿肉は冷蔵庫から出して


  鹿肉は焼く前に、まず肉を常温に戻しましょう。冷蔵庫から取り出したばかりの肉は、4,5℃ほどの冷温です。これをそのまま火にかけると、肉の内部に熱が通るより前に、表面に火が入りすぎてしまい、外側はパサパサなのに内側は生っぽいという、焼きムラができてしまいます。
 よって鹿肉を焼くときは、料理に入る前に冷蔵庫から出して、2時間ほど常温に戻しましょう。またこのとき、肉にはたっぷりの塩と香辛料をかけておき、塩味と香りをすり込んでおきましょう。

バターで表面を焼き、動物性脂分を加える

 肉を常温に戻して余分な水気を切ったら、次に食感を良くするために表面に焼きを入れましょう。このときフライパンにはバターをたっぷり入れて、鹿肉の表面をバターでコーティングするように焼いていきます。

 鹿肉は肉に脂肪分がほとんどないため、牛肉や豚肉に比べてとてもヘルシーです。しかし脂肪の少ない鹿肉を普通に焼くと、肉汁(ドリップ)が落ちてパサパサになってしまうため、どうしても食感が悪くなってしまいます。
 よって鹿肉を焼くときは多めのバターを加え、肉に脂肪分を取り込ませるようにしましょう。なお油分はサラダ油やオリーブオイルのような植物性油よりも、動物性油脂の方が馴染みが良いです。
 

オーブンで”温める”ように熱を加える

シカのオーブン

 肉の表面に焼き色を付けたら、金属バットかアルミホイルの上に肉を並べて、130℃程度に予熱したオーブンで15分ほど熱を通しましょう。一般的に肉を焼く(ロースト)温度は170~200℃、時間は8分程度です。しかし鹿肉を高温で焼くと、肉にレバー臭(酸化アラキドン酸の臭い)が出て、食味もパサパサになります。そこで鹿肉は120℃ほどの低温で、焼き時間を少し長めに取り、肉を温めるようなイメージで熱を通していきます。
 もし、鹿肉にちゃんと熱が通っているか心配な人は、キッチン温度計を用意しておきましょう。肉の内部が75℃程度であればバクテリアは死滅するので、食中毒等のリスクを抑えることができます。

肉質が落ち着くまで休ませる

 肉をオーブンから取り出したら、すぐにカットするのではなく、いったん金属網の上に並べて、肉を休ませましょう。
鹿肉は、温度が高いうちにスライスすると、肉汁が染み出してベチャベチャになってしまいます。こうなると鹿肉のジューシーさが損なわれてしまうため、肉の荒熱をとって肉汁を固定させてから、切り出すようにします。

鹿肉の持つ美味さは、原始的な喜び

 
 しっかりと料理された鹿肉は、口の中に芳醇な旨味と野性味が広がる最上級の味わいです。そしてこの肉に犬歯を突き立てると、脳の奥底から痺れるような感情が沸き上がってきます。その感情を言葉で表すとしたら・・・”原始的な喜び”です。

  太古の時代、私たちのご先祖様はシカの肉を食べて、現在よりもはるかに過酷な環境を生き抜いてきました。つまり私たちのDNAには『鹿肉を食べる』ことと 『明日もまた生きのびることができる』ということが、紐づけされてレコードされており、これにより現代人の私たちでも鹿肉を口にすると、生存欲求を満足させる本能的な喜びが沸き上がるのです!

おわりに

 今回は『鹿肉の焼き方』についてお話ししました。ベテランハンターさんはよく「シカはイノシシよりもマズイ」なんてことを言います。しかしそれは料理の仕方に問題があるだけで、しっかりと手を加えれば鹿肉ほど肉の本質が楽しめる食材はありません。皆さんもぜひ、今回ご紹介した方法で鹿肉ステーキを作ってみてください。絶対に美味しいですから!

それでは、今回はこのへんで。

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