
所持したい銃の譲渡等承諾書を受け取ったら、次はいよいよ銃の所持許可申請です!申請は、単純に書類を所轄の生活安全課に提出するだけなのですが、色々と用意しておかなければならないことがあります。
この記事の3つのポイント
-
銃の所持許可申請に必要な書類を集める。教習射撃から1カ月未満なら、一部の書類提出が免除される。
-
ロッカーをの設置状況を確認に、担当警察官が訪問調査に来る。また、家族や友人、近隣などに聞き込み調査が行われる。
-
所持許可証が交付されたら、3か月以内に仮押さえしていた銃を引き取りに行き、14日以内に生活安全課で銃の検査を受ける。
前のコンテンツを読む

続きを読む
所持できる猟銃・空気銃の基準
銃の所持許可申請は、所轄生活安全課で、次の書類を提出します。
- 講習修了証明書
- 教習修了証明書
- 譲渡等承諾書
- 経歴書,同居親族書、身分証明書、住民票の写し
- 薬物中毒や精神病などでないことを証明する医師の診断書
- 銃保管計画書
- 銃砲所持許可申請書
- 写真2枚(3×2.4㎝)
- 申請手数料 10,500円
修了証明書と譲渡等承諾書
1 講習修了証明書 は猟銃等講習会で、2 教習修了証明書 は教習射撃で発行された修了証明書です。講習修了証明書は有効期限が3年、教習射撃修了証明書の有効期限は1年なので、どちらとも有効期限が残っているうちに申請をしなければいけません。しっかりとスケジュール管理をしておきましょう。
3の譲渡等承諾書は、銃砲店(またはその銃の所持者)から発行された書類です。有効期限は明確ではありませんが、銃を”予約”をしている状態なので、銃砲店側としては余り待たされると困ります。譲渡等承諾書を貰ってから「やっぱり銃を所持しない」と決めた場合は、なるべくはやく銃砲店に連絡を入れましょう。
添付書類は省略できる場合がある
4の経歴書,同居親族書、身分証明書、住民票の写しは、教習射撃の資格申請時に提出した書類と同じものです。これらの書類提出は、射撃教習が修了して1年以内であれば、提出を省略できます。
医師の診断書は取り直す
5の診断書は教習射撃資格申請時に提出したものと同じ書類ですが、再度取り直さなければなりません。なお診断書の有効期間は診察日から3か月間です。
ロッカーの設置場所を決める
6の銃保管計画書は、銃や装弾(猟銃用火薬類)を保管しておくロッカーの置き場所を記載します。ロッカーの置き場所や設置の仕方には、いくつか注意点があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ロッカーは人目の付かない場所に置く

ガンロッカーや装弾ロッカーは、原則として人目に付かない場所に設置します。よって、例えば玄関先やリビングルーム、床の間なんかに設置してはいけません。ワンルームマンションの場合はクローゼットの中に設置しましょう。
ロッカーがクローゼットに入らない場合は、部屋の隅におくことになりますが、ロッカーにシーツをかぶせるなどの隠ぺいが必要になります。このあたりのことは、所轄生活安全課と話し合いながら決めましょう。
同じ建物内に置かないことの”努力”義務。
ガンロッカー・装弾ロッカーの設置については、銃刀法に次のような条文があります。
第十条の四 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、次条又は第十条の八の規定により保管の委託をする場合その他正当な理由がある場合を除き、許可に係る銃砲を自ら保管しなければならない。
銃砲刀剣類所持等取締法
4 前項に定めるもののほか、第二項に規定する設備に銃砲を保管するに当たつては、当該設備の存する建物(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第一条の規定に該当する建物にあつては、同法第二条第一項に規定する建物の部分)内に、保管に係る銃砲に適合する実包等を保管しないように努めなければならない。
これを要約すると、「ガンロッカーと装弾ロッカーは、同じ建物内に置いたらダメ」ということになります。「いやいやちょっと待ってよ。金持ちの家じゃあるまいし、別宅があったり、倉庫があったりなんかしないよ。」と思われるかもしれませんが、まさにこれこそが『平成最大の刀狩り』と呼ばれている銃刀法改正の”落とし子”だったりします。
2007年(平成19年)の佐世保銃乱射事件によって、2009年12月の銃刀法改正時に追加されたのが、この条文です。これは、当時の民主党政権が「猟銃の委託保管を半義務化しよう」として進めた改正で、初めは「同じ建物内で設置してはいけない」とされていました。
しかし当然のことながら、地方に住む人や狩猟者や有害鳥獣駆除従事者の場合は、銃を委託保管するのに大きな手間がかかります。そこで、当時の猟友会や射撃協会などが押しに押して落とし所をつけたのが、”努力義務”という一言でした。
よって、同じ建物内にガンロッカーや装弾ロッカーを置くことは、現時点では違法ではありません。しかし今後、銃による凶悪な犯罪が起きれば、この努力義務が”義務”に修正されることで、国内の銃所持者のほとんどが銃を手放すことになるという「アポカリプス」が発生する可能性があります。
これについて詳しくは、こちらで解説をしていますので、興味のある方は読んでみてください。また”政治的圧力団体”である猟友会の必要性については、こちらで解説をしています。
ロッカーを壁や柱に固定できない場合

ガンロッカーは、壁や柱にネジ止めするなどして、簡単に動かせないようにしなければなりません。壁に固定する場合は、幅木(壁と床の間に取り付ける木)が邪魔になって取り付けにくかったり、壁のボードが柔らかくてネジが抜けてしまったりするので、当て木を間に入れるなどして工夫しましょう。賃貸などで壁にネジの跡が付けられない場合、DIY用に売られているつっかえ棒(ディアウォールやラブリコ)で柱を作り、ロッカーをネジ止めする方法もあります。
ロッカーを重くして許可が下りる場合がある
どうしても釘やネジでロッカーを固定できない場合、ロッカーの自重を17㎏以上にすることでも許可される場合があります。ロッカーに20㎏のダンベルを入れるだけでも許可が下りる場合があるので、詳しくは所轄生活安全課の担当官と相談しながら進めましょう。
なお、装弾ロッカーには「固定する」という決まりはないですが、担当官によっては何かしらの形で固定を求められる場合があります。
銃砲保管計画書の作成

ガンロッカーと装弾ロッカーの設置場所は、銃砲保管計画書に書き込みます。これに描かれた間取り図をもとに訪問調査が行われるので、なるべく詳しく書き込みましょう。書類のフォーマットは、各都道府県公安委員会のHPなどに掲載されています。
所持許可申請書の作成
申請に必要な書類を一式そろえたら、最後に所持許可申請書を作成しましょう。
申請書類(表)の記入例

申請書類の表麺には、申請日、本籍、住所、氏名、生年月日、性別、電話番号を記入して押印します。また、講習修了証明書に記載された、交付年月日、番号、交付者を書きます。猟銃等講習会から所持許可申請の間で、都道府県をまたぐ引っ越しをしていないのであれば、交付者は住んでいる都道府県の公安委員会になります。
申請書類(裏)の記入例

申請書類の裏面には、同居人の有無(人数)、欠格事項に該当していないことの誓約を記入します。同居人は親族に限らず、下宿人などの数まで併せて記入します。銃を複数所持している場合や、申請が1年以内であれば書類の提出を省略できます。
また同時に2丁以上申請をする場合、申請書は個別に書かなくてはいけませんが、添付書類は共用することがでるので、ここにチェックをいれましょう。
申請書類(別紙)の記入例

申請書類の別紙には、所持する銃の詳細を記入します。基本的には、銃砲店などから発行される譲渡等承諾書に内容が書かれているので、『譲渡等承諾書のとおり』にチェックを入れましょう。
用途の欄には、狩猟・有害鳥獣駆除・標的射撃のいずれか、もしくは複数にチェックを入れます。基本的にはどの区分で申請するのも自由ですが、『狩猟』と『有害鳥獣駆除』にチェックを入れる場合は、狩猟免状のコピーの提出を求められる場合があります。もし銃所持よりも後に狩猟免許を取得する予定ならば、その旨を伝えておきましょう。頑固な担当官でなければ、通してくれる・・・はずです。
なお、所持許可申請が出た後に用途の区分を付けたす場合、書き換え申請として1,800円の手数料がかかります。もったいないので、なるべく一括で申請しましょう。
自宅訪問と身辺調査
申請書類がすべてそろったら、あとは生活安全課に行って、申請手数料10,500円分の証紙を添えて提出します。あとは許可が下りるまでノンビリ待つ・・・と行きたいところなのですが、この間にも色々とやることがあります。
ロッカーの確認の訪問調査

申請書を提出している期間に、担当の警察官が自宅へ訪問調査に来ます。これは銃砲保管計画書のとおりにロッカーが設置されているかを確認するためです。このとき、ロッカーの設置場所や固定方法に指示が入った場合は、それに従って修正しましょう。再チェックに来ることはほとんどないようですが、「修正したら写真を取って送ってね」と言われる場合があります。
家族への面談
申請期間中には、同居者への面談や電話調査が行われます。面談の場合は、自宅訪問に来るタイミングで、奥さんやお子さん、親御さんと同居の場合は、スケジュールを開けておいてもらうようにお願いしておきましょう。
面談では、本人への面談内容を裏付ける質問がされます。加えて、「家に銃を置くことに恐怖感は無いか?」といった質問がされるのですが、ここで「う~ん・・ちょっと不安があります」と言ってしまうと、所持許可が下りない可能性があります。けして無理強いしてはいけませんが、銃を所持する人は、あらかじめ家族にしっかりと説明(&家族サービス)をしておき、不安感を取り沿いておきましょう。
ちなみに、離婚経験者の人の場合は、別れたパートナーにも聞き取り調査が行く場合があります。別れた相手方は・・・まぁ、あまり”フレンドリーな回答”はしないと思うので、肝に銘じておいてください。
友人、会社の人、近隣への聞き込み
面談内容を裏付ける調査は、あなたの友人や会社の人、近隣にも行われます。友人や会社の人の連絡先は、あらかじめリストアップして渡すことになるので、警察官から連絡が来たときは、対応してもらえるようにお願いしておきましょう。
近隣住人への聞き込みは、あらかじめリストアップしておいた人に行くか、ランダムに行くかは、警察署のマニュアルなどによって違います。近隣住人とトラブルを起こしていたりすると、”悪い印象の回答”をされる可能性があります。今から銃を所持したいと思う人は、日々の素行に十分気を配りましょう。
猟銃・空気銃所持許可証の受け取り

面談や聞き込み調査などが終わると、書類は警察署本部に回されて犯罪歴などが調べられます。この結果問題が無ければ、再び警察署の生活安全にに回されて、猟銃・空気銃所持許可証が発行されます。
所持許可申請が下りるまで最長35日
所持許可申請をしてから所持許可証が発行されるまでは、各都道府県公安委員会で35日を超えない範囲とされています。よって、35日を過ぎても生活安全課から連絡がない場合は、「あの~、所持許可の件、どうっすかね?」と聞いてみましょう。たいていは「あ、はい、下りてますよ。取りに来てください(連絡するの忘れてた)」と言われます。
ただし聞き込み調査で、近隣の人がいつも留守だったり、リストアップした人が電話に出なかったり、”生活安全課が物凄く忙しい状況”だったりすると、許可が下りるまでの時間がながくなります。「まだ調査中です」と言われたのなら、素直に待ちましょう。
所持許可が下りてから3か月以内に銃を受け取る

所持許可が下りたら生活安全課から連絡が来るので、時間を見つけて許可証を取りにいきましょう。この所持許可証を受け取った日から3か月以内に、仮押さえしている銃を受け取りに行きます。銃の代金はこのとき支払うので、3か月の間に工面しましょう。
銃を受け取ったら14日以内に検査を受ける
銃を受け取ったら14日以内に(できれば銃を受け取りに行ったその足で)、所轄生活安全課に行って、銃の検査を受けます。この検査では、譲渡等申請書に書かれた内容と、形状や性能、装弾数、全長、銃身長などに間違いないかチェックされます。
このチェックをクリアしたら、これにて銃所持のフローはすべて完了です!
おわりに
今回は、『猟銃・空気銃の所持許可申請』について解説しました。これにてあなたも銃所持者の仲間入り!素敵なシューティングライフを満喫しましょう!
・・・しかし、銃の所持はこれで終わりではありません。所持許可を受けた後も、その銃を”所持し続ける”ためには、沢山の法律知識を身に着けておかなければなりません。
そこで次回は、銃の管理編でお会いしましょう!
次のコンテンツを読む

続きを読む