シカ肉を食べよう!

鹿肉アイキャッチ
3つのポイント

  • 日本の鹿肉はエゾジカ・ホンシュウ・キュウシュウ・ヤクジカの4種。シカの種類によって味は大きく異なる
  • 背ロース、モモ肉、カタ肉で、いろんな料理が楽しめる
  • 鹿肉料理は火の入れすぎに注意!オススメは低温調理

日本の”鹿肉”はニホンジカの肉

鹿のロースト

 海外では「野生動物の肉(Wild meat、またはGame meat)」といえば鹿肉を示すほど、シカはジビエの代表的な存在です。しかし、ひとことに鹿肉(Venison)といっても、世界には実に様々な種類のシカがおり、その肉の味わいも大きく違います。

鹿肉は種類によって食味がまったく異なる

 世界にはおよそ30種類の鹿がおり、それぞれ見た目も、習性も、肉の食味も違います。例えば、アメリカ大陸やユーラシア大陸の北部に生息しているヘラジカ(ムース)は、3mを超える体格に、悠々とした恐れ知らずの性格をしています。そのヘラジカの肉は強いクセと臭いがあるため、一般的に調味料と香辛料をたっぷり使って料理されます。

 対して、台湾に生息しているホエジカ(キョン)は、大きさは大型犬程度で、性格も憶病で人前に出てくることはめったにありません。その肉質はクセがないため、揚げ物や炒め物などの簡単な味付けで料理されます。

 ヨーロッパやアメリカにおける鹿肉は、主にアカシカ(エルク)を指します。その肉質は濃厚な旨味と適度な野生臭を持っており、とてもジューシーな味わいです。

 その他にも世界中には、ノロジカやダマジカ、オジロジカなどの鹿が生息しており、それぞれの肉質は大きく違います。

ニホンジカは、蝦夷・本州・九州・屋久島・対馬・馬毛の6亜種

ニホンジカの比較

 世界には多くの種類のシカがいますが、日本にはニホンジカと呼ばれる1種しか生息していません。しかしこのニホンジカは、さらに細かく6つの”亜種”に分類され、北海道に生息するエゾジカ、本州に生息するホンシュウジカ、九州・四国に生息するキュウシュウジカ、屋久島に生息するヤクジカ、対馬に生息するツシマジカ、鹿児島の馬毛島に生息するマゲジカがいます。

 哺乳類における”亜種”は、一般的に見た目の違いはほとんどありません。しかしニホンジカの場合は、それぞれまったく別種と思えるほどの違いがあり、特に体格は、一番大きなエゾジカと小さなヤクジカの間で1.5倍ほどの差があります。また、ジビエとして一般的に流通しているエゾジカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、ヤクジカの肉は、それぞれがまったく異なる食味を持っており、最適な料理方法や味付けの仕方も変わってきます。

鹿肉に塩をぱらぱら


 話が少々ややこしくなったので、ここまでの話をおさらいしておきましょう。
① 世界には30種類のシカがおり、それぞれの味はまるで違う
② 日本に生息するシカは『ニホンジカ』1種。さらにニホンジカは6つの亜種に分けられる。

③ ジビエとして流通しているニホンジカは、エゾジカ・ホンシュウジカ・キュウシュウジカ・ヤクジカの4亜種。

ニホンジカ4亜種、味くらべ

ジューシ ーで肉厚なエゾジカ

 ニホンジカのジビエで最も流通量が多いのが、北海道のエゾジカです。エゾジカの肉は、厚みのある肉質と強いコクが特徴で、欧米のアカシカに似た『THE 鹿肉』といえる、王道の味わいを持っています。

バランスの取れた味わいのホンシュウジカ

 ホンシュウジカはエゾジカに比べ、味のジューシーさでは劣りますが、そのぶん肉質が柔らかいため、「エゾジカの強い野性味が苦手」という方でも安心して食べられる鹿肉です。産地としては山梨県や長野県などが有名で、近年では特産店やインターネット通販などで流通しています。

独特の香りと強い旨味が特徴のキュウシュウジカ

 キュウシュウジカは、見た目はホンシュウジカにそっくりですが、体格が少し小さく、肉質はホンシュウジカよりも柔らかくなります。キュウシュウジカは肉に独特な”乳臭さ”があることが特徴で、この臭いを苦手とする人もいます。しかし、身の旨味はホンシュウジカ以上で、近年少しづつファンが増えているようです。産地としては福岡県が有名で、特に”霊山”として有名な英彦山周辺で獲れたキュウシュウジカは絶品です。

ヤクジカの味わいは「山マグロ」

 ヤクジカは滅多に流通していませんが、ジビエ専門レストランで稀に見かけます。肉質は脂っ気がまったくない強い赤身で、クセはほとんどありません。よくイノシシ肉は「山クジラ」と呼ばれますが、ヤクジカの肉は、言うなれば「山マグロ」です。

鹿肉の部位は大きく7種類

鹿肉部位解説


 シカ肉の部位は、クビ肉、カタ肉、背ロース、内ロース、バラ肉、スネ肉、モモ肉の7種類に分けられます。さらにモモ肉は、筋肉の付いている場所で食味が変わるため、内モモ肉、シンタマ、外モモ肉に分類できます。
 また獣肉処理場によっては、カタ肉を『ミスジ・トウガラシ』、シンタマを『トモサンカク』という部位に分けることもあります。

背ロースは薄くスライスして「もみじ鍋」に


 鹿肉で人気なのが、首元から背中にかけて伸びる”背ロース”と呼ばれる部位です。背ロースは、固いスジがほとんど無いため、そのまま薄くスライスして「しゃぶしゃぶ」にします。背ロースを薄切りにした肉は、真っ赤な色合いが「紅葉」に似ていることから、よく『もみじ』と呼ばれます。

内モモ肉はロースト、外モモは煮込み料理に


 モモ肉は肉質が柔らかい順に、シンタマ、 内モモ 、外モモに分けられ、シンタマと内モモはオーブンでじっくり焼き上げたローストに最適です。
 スジの多い外モモは、ぶつ切りにしてシチューなどの煮込み料理や、細かく叩いて餃子やハンバーグに使われます。個人的にはオリーブオイルでじっくり熱を通して作ったコンフィにするのがオススメです。
  外モモと同じようにスジが多く料理しにくいスネ肉は、圧力鍋で煮るとトロトロになり、美味しく食べられます。

カタ肉はスライスして、下味を付けて焼肉に

 鹿肉は背ロースとモモ肉ばかりが注目されていますが、私がもっとも美味しいと思う部位がカタ肉です。カタ肉は運動量が多く身が引き締まっているため、旨味が濃い部位です。しかし、そのまま焼くとパサパサになってしまうので、リンゴやオレンジなどの果汁に浸け込み、よく下味を付けてソテー(焼肉)にするのがオススメです。
 スライスしたカタ肉をヨーグルトベースのソースでマリネし、串に刺して焼くシカケバブは、知る人ぞ知る絶品料理です!

火の入れすぎはレバー臭の原因になるので注意!


 鹿肉を調理するさいは、火の入れすぎに注意しましょう。シカの筋肉中には、アラキドン酸と呼ばれる成分が多く含まれており、これが熱により筋肉中の鉄分と結合すると、レバー臭と表現される、嫌な味と臭いがでます。
 このレバー臭を予防するためには、火を入れすぎない・・・極端に言えば生(刺身)で食べるのが、もっとも失敗が無いのですが、野生動物の肉であるジビエは人畜共通感染菌や食中毒菌が付着しているリスクがあるため、火を通して料理するのが大原則です。

 そこで、鹿肉料理でオススメの調理法が低温調理です。低温調理は、レバー臭が出にくく、なおかつ細菌が死滅する温度で、時間をかけて熱を通す料理方法
で、鹿肉の生の旨味を残したまま、安全な料理を作ることができます。


 一例として、写真の左が低温調理した鹿肉、右が火を通しすぎた鹿肉です。その断面からも、低温調理の方が、肉汁が豊富に残っており、食感も柔らかくなることがお分かりいただけると思います。

おわりに

 今回は、イノシシに対をなすジビエの巨頭『鹿肉』についてお話をしました。チカト商会のブログでは、今回少しご紹介した鹿肉の調理方法を動画付きで解説しています。合わせてご覧いただけましたら幸いです。

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