アライグマ肉を食べよう!


 もともとはアライグマは北アメリカにのみ生息していましたが、そのつぶらな瞳とシマシマ模様のしっぽ、「なのだ!」などのテレビ出演などで、日本人にも馴染み深い動物です。しかし外来種のアライグマは、 とても心苦しい話ですが、 日本の自然界に”居ていい動物”ではありません。そのため、生息数を減らすために『アライグマを食べて減らす』努力が進められています。

3つのポイント

  • アライグマとタヌキの見分け方は、尻尾のシマシマと足の形。
  • アライグマ肉は旨味が強くて、サツマイモと相性が良い。
  • アライグマの被害が激増している。猟圧を高めるためにも『食べて減らす』運動を。


アライグマってどんな動物?

 アライグマは、頭から胴までの長さが約50㎝の哺乳類で、シルエットはイヌ科のタヌキとよく似ています。アライグマは人間でいうところの「手のひら」や「かかと」が非常に発達しており、木登りや直立歩行ができます。その上手な手さばきで、水の中のエサを掬いとる仕草が、まるでエサを”洗っている”かのように見えることから、「アライグマ」という名前が付けられたとされています。

アライグマとタヌキの違い

 タヌキとよく勘違いされるアライグマですが、見比べてみるとその姿はまるで違います。まず一番の違いは”尻尾”で、アライグマはシマシマ模様の尻尾なのに対し、タヌキは先っぽだけ黒くなっています。

 また最大の違いは、アライグマは5本指の蹠行性 ( しょこうせい )なのに対し、タヌキは犬や猫と同じ肉球を持つ指行性 ( しこうせい )である点です。もし捕獲した獲物が、アライグマかタヌキかわからなくなったら、足の形をよく観察しましょう。

アライグマの解体方法

 アライグマに限った話ではありませんが、一般的に「毛皮獣」と呼ばれる毛皮がフワフワした動物を解体するときは、木などに逆さに吊るして処理しましょう。これは、毛皮が柔らかい動物を寝かせて解体すると皮が巻いてしまい、肉に毛がビッチリと付いてしまうからです。よって毛皮獣を解体するときは、吊るした状態で毛皮を強く下に引っ張り、吊るしている後ろ足から下に向けて皮を剥いでいきます

アライグマは脂身をよく落とすこと
アライグマ解体

 アライグマを解体するときに、毛とあわせて気をつけておかなければならないのが、脂肪の処理です。冬場のアライグマは、タヌキやアナグマと同様に、身に脂がたっぷりと乗っています。一般的に「脂身は美味しい」という認識がありますが、アライグマのような雑食性の強い動物は脂に臭いが染み込んでいることが多く、さらに脂と肉の間に分泌物を出す管が通っているため、発情期が近いオスアライグマはとても酷い獣臭がします。

 そこでアライグマを解体するときは、できるだけ身から脂肪を削ぎ落とすようにし、さらに筋肉と脂肪の間にある筋膜も剥ぎ取るようにしましょう。

アライグマ料理は、北米ではわりとメジャー

 「アライグマを食べる」というと多くの日本人はビックリしますが、原産地であるミシシッピ周辺では、古くから食用とされており、特にネイティブアメリカンの社会では重要な食資源でした。そのエピソードの一つとして、1926年のアメリカ合衆国感謝祭に、ネイティブアメリカンから大統領に献上品としてアライグマが送られた、という記録が残っています。

アライグマ肉は旨味が強い

 アライグマ肉の食味は、牛肉や豚肉とはまるで違うため比較し辛いのですが、ひとつ確かなのは旨味が強いことです。アライグマ肉はタヌキ肉と見た目はほとんど同じですが、肉は噛むほど旨味がでます。ただし、身の脂分は少ないため、バターやゴマ油などと一緒に料理すると良いでしょう。

 アメリカのアライグマ料理では、「鴨×ネギ」ならず「アライグマ×サツマイモ」が相性の良い食材とされており、アライグマ肉と一緒にサツマイモをローストする料理が人気のようです。

人の手によりもたらされた”害獣”

 もともと北米に住んでいたアライグマが日本の自然界に住み着くようになったのは、1977年に放送された「あらいぐまラスカル」によって起こったアライグマペットブームだと言われています。

 アライグマはその純情で可愛らしいイメージとは裏腹に、実際は気性が荒く攻撃的な動物です。そのため、ペットとして育てきれず困った飼い主の中には野山に捨てることも多かったため、アライグマは日本の自然界に外来種として定着してしまいました。

生態系だけでなく、農業・畜産・漁業への被害も大きい

 アライグマは非常に強い雑食性を持っており、さらに木登りや水泳が得意なため、自然界にもともと居る鳥や昆虫、魚などを食い荒らし、生態系に大きなダメージを与えています。

 また、根菜やイモ類などに対する農業被害も引き起こしており、生息する場所によっては貝やウニなどの海産物にも被害を与えます。もともと高い木にできた穴を住処とする習性から、木造建築の民家や神社仏閣の屋根に侵入し、騒音や糞害、建築の破壊、さらにはペットを殺して食べるといった被害も報告されています。

”食べて減らそう”運動

 アライグマは現在、特定外来生物法で特定外来種に指定され、売買や生きたまま搬送は禁止されています。しかし、もともと繁殖力が高く、日本の地に天敵と呼べる動物もいないことから、近年、特に北海道や九州で生息数が激増しており、それにともない被害も増加しています。

 ここまで増えてしまったアライグマを日本の自然界から完全に駆逐するのは、もはや不可能ともいえる状態です。しかしアライグマを今のまま野放しにするわけにはいかないため、やはり人間の手で『猟圧』をかけ、生息数をコントロールするしか方法はありません。その猟圧を維持するためにも、アライグマの美味しさを広く知ってもらい、食べて減らす運動を進めていくのが重要なのではないかと思います。

おわりに

 今回は、近年害獣として猛威を振るっている『アライグマ肉』について、お話をしました。人間の手によって無理やり連れて来られた動物を”害獣”として駆除しなければならないのは、なんとも身勝手な話です。しかし、起こってしまった悲劇は、もはや仕方がないことです。重要なことはアライグマのような不憫な動物をこれ以上出さないことだといえます。

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