ツキノワグマ肉を食べよう!

 「森の番人」と呼ばれるツキノワグマは、本来は人間との接触を避ける用心深い動物です。しかし近年、ツキノワグマが里山に出没して死傷事件を起こす凶悪な事件が後を絶ちません。この理由はおそらく、ツキノワグマが『人間が弱くなっている』ことに気付いたからです。

3つのポイント
  1. 日本に生息するクマは、北海道のエゾヒグマと、北海道以外のツキノワグマ。
  2. 頭が良いツキノワグマからの人身事故を防ぐためには、狩猟による『戦わずしてかつ』状況を作るしかない。
  3. ツキノワグマの肉は独特の乳臭さを持つ『クマ味』。好き嫌いは人によって結構分かれる。


ツキノワグマってどんな動物?

 日本に生息する”くま”は、四国の一部と本州北部に生息するホンツキノワグマと、北海道に生息するエゾヒグマの2種類です。両者はよく”ごっちゃ”にされていますが、体重はエゾヒグマの方が2倍以上も大きく、習性もまったく異なります。ひとまず『北海道の熊はヒグマ』、『北海道以外の熊はツキノワグマ』と、覚えておきましょう。

森の番人としての役割

 ツキノワグマは、木になっている果実をとるために、枝を折ったり皮を剥いだりして、木を枯らす原因を作ります。よって一部の間では「ツキノワグマは自然を破壊する悪い動物だ」という意見が出されていますが、それは大きな間違いです。

 例えばツキノワグマが枝を折る行為は、森の風通しを良くて木々の病気を防ぎ、日当たりをよくすることで背の低い草木が育ちやすい環境を整えます。また樹皮剥ぎは、古くて弱った木を枯らして新しい木が育つ余地を作り出し、森の新陳代謝を活性化させるという効果を持っています。

 杉やヒノキ、果樹といった木は、人間が枝打ちや間引きによって、適切に管理しています。対して、人間の手が届かないような深山では、ツキノワグマが枝打ちや樹皮剥ぎをすることで、森の健全性を支えています。
 森を破壊しているように見えるツキノワグマが「森の番人」と呼ばれるのは、実はこのような理由があるからです。

ツキノワグマは猛獣なのか?

 ツキノワグマは、もともとは人間との接触を嫌う大人しい動物です。しかし近年、ツキノワグマによる人身事故が多発しており、特に2016年には秋田県で、ツキノワグマによる悲惨な死傷事件が起きました。
 この、ツキノワグマが人間を襲うようになった原因は、「人間がクマを驚かせたから」や「人里にノラ犬がいなくなったから」など、色々な意見が出されています。しかし私は、その原因はまちがいなく ツキノワグマに人間が弱くなっていることを悟られたから』だと思います。

クマは頭がいいから、人間を襲う

 私たち人類(ホモサピエンス・サピエンス)を含め、この地球上に生息するすべての動物は、常に力関係の強弱で『テリトリー』を奪い合ってきました。
その中で、ここ100年間は人類の力(科学力)が他の動物を圧倒していたため、”平地”という動物が生活しやすい土地を人間が占領できていました。

 しかし近年、高齢化や人口の都市集中により、他の動物との境界線である山間地域と人間が占有していた平地の間で、野生動物が浸出するという状況が続いています。そして、おそらくツキノワグマが人を襲うようになった理由は、『豊かな環境の平地に、ヒョロヒョロで弱そうな人間しかいない』という事実に気付いたからです。
 頭のいいツキノワグマは、人間と同じく、『勝てない戦いはしない』という知能を持っています。よって近年の人間勢力の弱体化を目の当たりにした今、『人間から豊かな土地を奪える』と思い、攻撃を仕掛けてきているのです。

ツキノワグマを守るために狩猟をする

 ツキノワグマが人間を襲う理由をまとめると、ツキノワグマは「人間が弱体化している」と思っているからです。よってツキノワグマからの被害を防止するためには、なによりも『人間に近づくとマジヤバい』ことを理解させなければなりません。
 そこで必要になるのが狩猟です。農地や里山といった人間のテリトリーに近づいてくるツキノワグマは、銃や猟犬によって追いまわし、壮絶な”恐怖”を植え付けるようにします。
 動物愛護な方にとっては「そんなの動物虐待だ!」と思われるかもしれませんが、人間の世界でも『戦わずにして勝つ』は両者ともに損害が出ない最上の策であり、頭が良いツキノワグマだからこそ通じる、最も平和的な方法だといえるのです。

ツキノワグマの肉の味は?

 ツキノワグマ肉の話をすると、よく「牛肉っぽい?それとも豚肉っぽい?」という質問があります。ハッキリ言っておきますが、熊肉は『クマ味』であり、牛肉とも、豚肉ともまったく違います。

植物食性が強いツキノワグマは、肉の臭みが少ない

 ツキノワグマはしばしば、肉食性の動物と思われがちですが、実を言うと、木の芽やドングリ、柿やキイチゴといった果物類を主食とする『植物食傾向の強い雑食性』です。なのでツキノワグマの肉は、キツネやイタチのようなきつい獣臭さはありません。

 ただしツキノワグマは、植物性の餌が見つからない場合は、昆虫類やサワガニなどの水生生物、さらに小動物や動物の死骸を食べます。タヌキやアライグマほどの違いはありませんが、採れた場所や時期によっては肉の臭いに個体差があることは覚えておきましょう。

イノシシ解体

 余談ですが、ツキノワグマの胃腸は、牛や羊のように植物を消化する能力があまりないため、糞は食べた物の残骸が多く残ります。なので、柿を食べているツキノワグマの糞は、皮や身の成分が多く含まれており、ほんのり”柿の甘い匂い”がします。

クマ肉料理のコツは、油を野菜に吸わせる

 冬場に獲れたツキノワグマは、肉に厚い脂肪がついています。このまま料理すると料理が油でドロドロになってしまうので、クマ肉は必ず一旦焼いて油を落としましょう。

 ツキノワグマの脂は、臭くはないのですが、独特の”乳臭さ”を持っています。この臭いはけっこう強いので、ゴボウやニンジン、大根などの根菜を一緒に炒めて油を吸わせましょう。こうすることで臭いがまろやかになり、さらに野菜に脂の熊脂独特の旨味が染み込みます。

じっくり煮込んだクマ汁

 クマ肉は肉質が固いので、厚い鉄鍋で、じっくりと時間をかけて煮込んだ”あつもの(羹)”が最適です。その味は、牛肉とも豚肉とも全く違う・・・・う~ん・・表現しずらい”クマクマした味”です。

おわりに

 今回は『ツキノワグマ肉』についてお話ししました。実をいうと、僕は『クマ味』があまり得意ではありません。しかしツキノワグマ汁を一緒に食べた人の中には「今まで食べたジビエの中で一番美味しい!」という人もおり、人によって感じ方はかなり違うようです。あなたはこの『クマ味』、好きですか?苦手ですか?

それでは、今回はこの辺で。

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