独特のクセを持つ『ハシビロガモ』の肉。言うなれば〝魚の干物風味〟

ハシビロガモのアイキャッチ

 カモの群れの中に、ひときわ背が低く平べったいシルエットを見かけたら、それはハシビロガモで間違いありません。判別しやすく捕獲も容易なターゲットですが、その肉には〝魚肉〟のような不思議なクセがあります。

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  1. 平べったいシルエットと、幅の広いクチバシが特徴
  2. 警戒心が薄いためエアライフルで狙いやすい。逆に、散弾銃では〝飛ばす〟作戦が必要
  3. 肉には独特の〝魚の干物風味〟を持つ。燻製にすると独特の風味を楽しめる

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目次

ハシビロガモとは

 ハシビロガモは、全長52㎝ほどの中型のカモで、マガモやカルガモよりも少し小さい体をしています。9月ごろになると越冬のために日本に飛来し、主に関東以南の広い範囲に分布します。

独特な採餌方法

 ハシビロガモは、マガモやカルガモと同じ『水面採餌性カモ』に分類されます。これは、水に深く潜ることなく、水面でエサを食べるカモを指す分類で、スズガモやキンクロハジロのような『潜水採餌性カモ』と区別されています。
 水面採餌性カモの中でもハシビロガモは、数羽で水面をぐるぐると回りながら水中のプランクトンを集めて食べるという、変わった採餌行動を取ることが知られています。

クチバシの構造

 ハシビロガモはその名の通り、幅広くて平たいクチバシを持っています。このクチバシには、クジラのような細かいヒゲ状の歯が生えており、水と一緒にプランクトンを吸い込み、ヒゲで濾しとって食べます。
 ハシビロガモはクチバシの形がシャベルに似ていることから、英語名では「ショベラー」と呼ばれています。

メスの特徴

ハシビロガモのメス

 ホシハジロのメスは、オスと同じように、幅の広いクチバシが特徴です。羽とクチバシの色合いはマガモのメスに似ていますが、遠目からでもクチバシの違いで判別することができます。

ハシビロガモを捕獲する方法

 ハシビロガモは、湖、池、河川など、流れの弱いよどみを好み、まれに内湾や港にも姿を現します。水草やプランクトンを主食とするため、氷が張るような寒い地域は好みません。そのため、厳寒期は北海道や日本海側では見かけなくなります。

狩猟の際の注意点

 ハシビロガモのオスは、頭部が光沢のある緑色をしているため、マガモと色合いがよく似ています。しかし、頭を低くして泳ぐため、他のカモとシルエットで見分けることができます。
 ハシビロガモ属にはハシビロガモ以外にも、シマアジやミカヅキシマアジなどがいますが、日本に渡って来ることはほとんど無いため、錯誤捕獲のリスクは少ないと言えます。

警戒心が緩いため、飛びにくい

 ハシビロガモは、マガモやカルガモに比べて警戒心が低い鳥です。そのため、30m以内に近づいても飛んで逃げることが少ないため、空気銃猟では比較的捕獲しやすいターゲットだと言えます。
 逆に、散弾銃ではなかなか飛び立たないため、捕獲しにくいターゲットになります。水面に浮かんでいる状態では散弾の効果は薄くなるため、勢子で追い立てて飛ばす作戦が必要になります。

ハシビロガモ肉の味

 狩猟者の間では、しばしば「足が黄色いカモは美味しい」と言われます。実際に、マガモやカルガモといった〝足が黄色いカモ〟の肉は食味が良いのですが、ハシビロガモはやや「例外」と言えます。

魚の干物のような風味がある

 ハシビロガモは、餌がプランクトンや水草に限られているためか、穀物やドングリ等を食べるマガモ・カルガモに比べて脂の乗りがよくありません。そのため肉質はパサパサしており、個体差にもよりますが「イワシの干物」のような、魚風味がします。

干物などが効果的

 独特のクセを持つハシビロガモは、そのクセを〝活かす〟か〝殺す〟かで調理方法が変わる食材だと言えます。
 クセを殺す場合は、油をしっかりと使って表面に焼き色を付けて、オーブンでじっくりと時間をかけて仕上げるようにしましょう。コクの強いソースを合わせることで、魚風味を打ち消すことができます。
 逆に、クセを活かす場合は、燻製のような調理方法がオススメです。「カモ肉のような、魚肉のような」不思議な食味を楽しむことができます。

まとめ

  1. 平べったいシルエットと、幅の広いクチバシが特徴
  2. 警戒心が薄いためエアライフルで狙いやすい。逆に、散弾銃では〝飛ばす〟作戦が必要
  3. 肉には独特の〝魚の干物風味〟を持つ。燻製にすると独特の風味を楽しめる

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