「ハトに始まり、ハトに終わる」。『キジバト』は〝ジビエの基本〟が詰まっている

キジバトアイキャッチ

 狩猟の世界には「ハトで始まり、ハトで終わる」という格言があります。これは「子供の頃は空気銃でキジバト撃ちから狩猟に入門し、年を取ったら体力を使わないキジバト撃ちで余生を送る」という意味だそうです。このようにキジバト猟は初心者からベテランまで楽しめるだけでなく、その肉の調理も奥深いものになっています

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  1. キジバト猟は空気銃による『待ち猟』がベスト。人目に付かない工夫は必要になる
  2. キジバト肉は火を入れすぎるとパサパサになり、レバー臭が出る
  3. じっくり加熱するローストが鉄板だが、アルミホイルでもお手軽に同様の調理が可能

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目次

キジバトってどんな鳥?

 野鳥のことをあまり知らない人は「キジバトってどこにいるの?」と疑問に思うかもしれません。しかしそのような人でも、早朝にどこからともなく聞こえる「ドゥードゥー・ポッポウ」という鳴き声は聞いたことがあると思います。そう、あのちょっと不気味な旋律で鳴く鳥こそ、キジバトです。

“亀”のウロコのようにも見える羽のハト

 キジバトは全長約33cmのハト科の鳥で、羽色がキジ柄に見えることからその名前が付けられています。英語では羽の色味が「亀のウロコっぽい」ということで“Turtle dove”と呼ばれています。

最大の特徴は『首のしましま』

 キジバト属の最大の特徴は、首元の羽が黒くなっている点です。日本に生息するキジバトの場合は、この部分が黒と白のしま模様になっており、遠目からでも目立ちます。

カワラバトとの誤判別に注意

キジバトに似た鳥

 公園や都市部でも広く見かけるカワラバトは、首元がエメラルド色になっている点など、キジバトと見た目が大きく異なるため、誤判別することはまずないと思います。しかし逆光で色味が判らない場合、シルエットはそっくりなので注意しましょう。
 その他、日本国内で見かけるハト科の鳥にアオバトがいますが色味が全然異なるので、見分けることは難しくないと思います。
 国内で観測されるキジバト属にはシラコバトベニバトがおり、両者とも『首元にしま模様』があるのでキジバトとの見分けが難しくなっています。ただし、シラコバトは生息域が関東北東部に限定されており、ベニバトは迷鳥として年に1、2羽程度確認されている程度です。出会うことが稀なので錯誤捕獲のリスクは低いと考えられますが、一応覚えておきましょう。

キジバトはどうやって捕獲する?

木に留まったキジバト

 キジバトは非常に憶病な鳥です。そのため、キジバトを探して追い回しても、効率的に捕獲することはできません。よってキジバト猟では、キジバトが留まる木を探しておき、その近くに隠れる待ち猟と呼ばれる猟法が最適です。

猟場探しは〝人目に付きにくい場所〟であることも重要

 キジバトは畑の近くにある立木や疎林、河川敷など、私たちの身近に生息しています。そのため、一昔前までは「子供が遊びで捕獲する獲物」と考えられていました。
 しかし、近年は開発が進み、あちこちに道路や住宅地ができているため、かつてキジバト撃ちができたような猟場は激減しています。さらに近年は、皆が携帯電話を持っているため、人目に付く場所で銃を持っていると〝通報〟されかねません。よってキジバト猟の猟場は、獲物の多さに加えて『人目に付きにくい場所』であることも大切です。

ブラインドでステルス性アップ

 キジバト猟ではブラインドテントがオススメです。このテントは主にバードウォッチングで使用されており、縦に長いのでイスに座ることができます。このテントをオススメする理由は『キジバトに見つからないようにするため』というのもありますが、『通行人に見つからないようにするため』だったりします。

獲物が飛んで来るまでひたすら待つ

 キジバト猟では、キジバトが留まる木を探すところから始めます。キジバトは時間帯によって一定の範囲を移動するので、その時間帯に飛んで来る木を見つけて、その近くにブラインドテントを張って隠れておきます。キジバトが木に留まったのを確認したら、テントの窓から銃口だけを出して狙撃をしましょう。

デコイを使う

 キジバトには『仲間が止まっている木を安全と思い込む』という習性があります。そこで、待ちを張った木にハトのデコイをいくつか設置しておくと、捕獲するチャンスが上昇します。

グループで追い込む猟も有効

 2人以上で協力して狩猟をする場合、1人は留まり木の近くに隠れておき、その他の人は猟場を歩いて移動します。人間の気配に驚いたキジバトは仲間が居る安全な場所へ逃げようとするので、デコイを置いた木に留まりやすくなります。
 なお、これは未検証なのですが、キジバトはデコイでなくても『キジバトの写真を張った段ボール』を木にぶら下げているだけでも効果があるという話があります。

すぐに回収しない

 キジバトを空気銃で狙撃した場合は、すぐに回収に向かわずにしばらく様子を観察しましょう。キジバトは警戒心の強い鳥なので、あまりウロウロしすぎると近寄ってこなくなります。そこで、数羽を撃ち落としたら周囲の様子を伺い、素早く回収するようにしましょう。

キジバト肉の味は?

 キジバト肉の味は人によって大きく感想が分かれます。しかし「美味しくない」という人のほとんどは、肉の火入れを失敗しているケースです。キジバト肉自体はちゃんと料理すれば、まぎれもなく美味しいジビエです。

低温でゆっくりと過熱する

 キジバト料理ではローストがオススメです。バターで軽く炒めた玉ねぎやニンニクをキジバトの腹に入れ、180℃に予熱しておいたオーブンに入れて10分ほど加熱します。モモの内側に金串を刺して“赤い汁”が出てこなければ取り出して、しばらく休ませましょう。

 キジバト肉は脂肪分がまったくと言っていいほど無い強い赤身肉です。そのため火を入れすぎてしまうと肉質がパサパサになり、さらに〝酸化アラキドン酸〟と呼ばれる物質が増えて、俗に言う「レバー臭」と呼ばれる不快な臭いが強くなります。
 キジバト肉に限らず、カモ肉やシカ肉など赤身の肉は、とにもかくにも〝ゆっくりと過熱すること〟が大事です。加えて、バターなどで脂肪分を補ってあげることが料理のポイントとなります。

アルミホイルで作る!絶品『キジバトのネギ焼き』

 アルミホイルを使って調理をすればオリーブオイルが適度にキジバト肉に染み込みます。さらに余熱でじっくりと温めるため、レバーのような血っぽい臭いがでることもありません!

まとめ

  1. キジバト猟は空気銃による『待ち猟』がベスト。人目に付かない工夫は必要になる
  2. キジバト肉は火を入れすぎるとパサパサになり、レバー臭が出る
  3. じっくり加熱するローストが鉄板だが、アルミホイルでもお手軽に同様の調理が可能

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