『ヤマドリ』は食材を復活させる霊鳥。その者、旨味の衣をまといて金色の出汁に降り立つべし

ヤマドリの肉

 鳥撃ちハンターの最高のターゲットと言えばヤマドリでしょう。その評価は今も変わらず、ヤマドリを仕留めた写真をSNSにアップすれば、多くの「いいね」がもらえるはずです。今回は、ヤマドリ猟とヤマドリ肉について解説します。

この記事の『まとめ』を見る
  1. ヤマドリは山に住む鳥で、キジに似ている
  2. ヤマドリ猟といえば、難易度の高い沢下り撃ちが有名。ただし、林道で偶然出会えることもある
  3. ヤマドリ肉の味は、良くも悪くも『地鶏』。ただし、その価値は狩猟した人にしかわからない

詳しくは、この書籍をチェック!

目次

ヤマドリってどんな動物?

 狩猟のことをまったく知らない人にヤマドリの話をすると、しばしば「何て名前の鳥ですか?」と聞き返されることがあります。・・・いえいえ、ヤマドリは「山の鳥」ではなく、正式な名前なんですよ。

ヤマドリの生態

 キジ目キジ科のヤマドリは、全長約120cmの陸鳥です。同じキジ科のキジと姿がよく似ていますが、キジが茂みの多い平地を好むのに対し、ヤマドリは山地に生息しています。そのため、昔は「ヤマキジ」とも呼ばれていました。
 ヤマドリのメスはキジのメスと同様に狩猟鳥獣ではないので、誤って撃たないように注意が必要です。

ヤマドリの亜種

 日本国内には5亜種のヤマドリが生息しており、北緯35度を境に、北にはヤマドリ、南にはシコクヤマドリ、四国にはウスアカヤマドリ、九州北部にはアカヤマドリ、九州南部にはコシジロヤマドリが生息しています。このうち、コシジロヤマドリは狩猟鳥獣ではないので注意が必要です。

ヤマドリの生息場所

 ヤマドリは、木の実や草の葉、ミミズ、トカゲ、ヘビなど、様々なものを食べます。そのため、食性による生息地の偏りはほとんどなく、針葉樹林から広葉樹林まで、幅広い植生環境の山に生息しています。
 しかし、ヤマドリはきれいな沢の水を好むという習性があるため、必ず清流がある山に生息しています。また、体が重く飛ぶのが苦手なため、外敵から逃れやすいように、藪や倒木、イバラが多い場所を好みます。

ヤマドリ猟

 ヤマドリ猟といえば、優れた猟犬と忍耐力を必要とする、ストイックな猟法の代名詞です。しかし、ヤマドリ猟には、初心者でも気軽にできる猟法も存在します。それぞれの猟法について解説します。

超高難易度の沢下り撃ち

 数ある鳥撃ちの中でも、最も豪快で難易度の高い猟法と言われているのが、ヤマドリの沢下りです。これは、訓練された猟犬を使ってヤマドリの臭いを追跡し、ハンターは沢沿いの草むらに隠れてヤマドリが飛んでくるのを待ち伏せします。
 普段は地面を歩いているヤマドリは、猟犬が近づいてくると木の上に止まります。そして、猟犬の視線に耐えかねたヤマドリは、沢に沿って滑空する習性があります。この時、猛スピードで滑空してくるヤマドリを、瞬時に撃ち落とすのが沢下り撃ちです。

一方、簡単に獲れる猟法もある

 ヤマドリは沢下り撃ちでなければ捕獲できないわけではありません。ヤマドリは沢へ水を飲みにいくときに、決まったルートを歩いて移動するという習性があります。そのため林道を車で走っていると、チョコチョコと無警戒に歩いているヤマドリを見かけることがあります。
 こういった話をすると、ベテランハンターから「そんな猟法は認めない!」とお叱りを受けることがありますが‥‥まぁ、猟趣をどう感じるかは人それぞれです。

ヤマドリ肉ってどんな味?

 ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウなど、キジ科の鳥は、どれも美味しい鳥として知られています。ヤマドリも例外ではありません。

他の食材をグレードアップさせる旨味

 ヤマドリ肉を一言で表すなら「究極の地鶏」です。ニワトリよりも引き締まった肉質で、噛めば噛むほど旨味がにじみ出てきます。
 また、ヤマドリのガラで出汁を取ると、金色の脂が溶け出し、他の食材の旨味を引き立てます。

良くも悪くも「地鶏」だが…

 ヤマドリ肉は美味しい食材ですが、言ってしまえば、その美味しさはニワトリの延長線上です。近年では様々な品種のニワトリが流通しており、ヤマドリ肉に匹敵する、あるいはそれ以上の美味しさを持つニワトリ肉も存在します。
 とはいえ、ヤマドリ肉には、「自分の手で獲た肉を食べる」という特別なものがあります。そういった意味で、ジビエを食べることは単なる食事ではなく、芸術鑑賞に近い体験と言えるでしょう。

まとめ

  1. ヤマドリは山に住む鳥で、キジに似ている
  2. ヤマドリ猟といえば、難易度の高い沢下り撃ちが有名。ただし、林道で偶然出会えることもある
  3. ヤマドリ肉の味は、良くも悪くも『すごい地鶏』。ただし、その価値は狩猟した人にしかわからない

まとめ記事にもどる

関連記事

この記事に関連するおすすめ

おすすめの書籍

おすすめの商品

LV1はんた装備画面
  • URLをコピーしました!
目次