“旬”を狙え!『ヒヨドリ肉』は尻脂が絶品!

 町中を「ヒ~ヨ!ヒ~ヨ!」と大声を上げて飛び回るヒヨドリは、民家の庭や雑木林など比較的身近な場所で見ることのできるターゲットです。このヒヨドリの魅力はなんといっても、旬になるとお尻にでっぷりと乗る皮下脂肪!この脂肪の旨味を知ってしまうと、ヒヨドリの評価は「かしましい小鳥」から一転、「美味しい小鳥」にガラリと変わることでしょう。

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ヒヨドリってどんな鳥?

 ヒヨドリは、北はロシア・サハリンから、南はフィリピン北部までの西太平洋に広く分布しています。そこだけを聞くと“ありきたりな鳥”のように思えますが、実を言うと数的にはほぼ日本列島にしか生息しておらず、海外からわざわざヒヨドリウォッチャーが訪れるぐらいには「珍しい鳥」とされています。
 またこのヒヨドリは、50年近く前までは「冬場に日本列島に渡ってくる“冬鳥”」または「夏と冬で日本列島を北から南へ移動する“漂鳥”」とされていましたが、近年では温暖化の影響からか一年を通して同じ場所に居付く“留鳥”になるといった変化をしています。

赤茶色の頬と、ボサボサ頭が特徴

 ヒヨドリは英語で“Brown eared bulbul”(茶色い耳をしたヒヨドリ)と呼ばれるように、耳の穴(頭部側面)の周囲に赤茶色をした羽毛が生えていることが最大の特徴です。
 また見た目的な特徴として、頭部の羽毛が「ボサボサ」になっており、逆光でもその“スパンキーヘア”がシルエットから容易に判別できます。

羽ばたきながら「ひよ!ひよ!」と鳴く

 ヒヨドリを判別するさいは見た目だけでなく、その『飛び方』にも注目してみましょう。ヒヨドリは羽ばたきと滑空を繰り返して飛ぶ波状飛行を行い、さらに羽ばたくさいに「ひよ!ひよ!」と鳴き声を上げる習性があります。

ツグミやオナガとの誤判別に注意

 比較的判別は容易なヒヨドリですが、全長約30㎝のヒヨドリには同サイズの野鳥も多いため、錯誤捕獲に注意しましょう。
 特に、ヒヨドリは長い尾を下げて木に留まっていることが多いので、オナガとの判別には要注意です。
 また、ヒヨドリと大きさがほぼ同じで生息域も被るツグミも、初心者のうちは判別ミスしやすい鳥です。ツグミの尾はヒヨドリのように下に垂れない点で見分けることができます。

ヒヨドリはどうやって捕獲する?

その地域で餌になる物を探し、猟場を開拓する

 ヒヨドリを捕獲したいのであれば、まずはヒヨドリが集まってくる猟場を探しましょう。ヒヨドリは時期によって食べるものが大きく変わりますが、猟期(冬場)ではミカンのような甘みの強い果物、キャベツや小松菜のような葉菜類、ブロッコリーなどの果菜類を採餌します。
 また、寒さが増し餌となる物が少なくなると、ピラカンサやセンダンといった庭木になる実を食べにくることも多くなります。
 よってヒヨドリ猟では、まず、餌となる物が生えている場所を探り、時期によってヒヨドリがどのように移動していくのかを観察しましょう。

小粒散弾で撃ち落とす

 ヒヨドリは木から木へ飛び移りながら餌場を移動します。そこで、散弾銃を持って飛行経路に待機しておき、飛んできたところを撃ち落とすのが最も簡単な狩猟方法です。
 先に述べたようにヒヨドリは波状飛行をするため、キジバトやタシギといった鳥よりも速くありません。よって9号あたりの小粒散弾を使えば、動的射撃に慣れていない人でも比較的捕獲しやすいターゲットです。

木に留まっているところをエアライフルで狙撃する

 ヒヨドリが餌場とする果樹や庭木の前に陣取り、留まっているところを狙撃するという“待ち猟”のスタイルもあります。この猟法では、散弾銃を使うと他のヒヨドリが警戒して木に留まらなくなるため、発砲音が小さいエアライフルの使用がベストです。
 ヒヨドリは飛ぶときに「ひよ!ひよ!」と声を上げるので、近寄ってくることがすぐにわかります。そこでヒヨドリの待ち猟では、テントの中で本を読んだり、火を焚いてコーヒーを淹れたりしながらのんびりと待ち、鳴き声が聞こえたらエアライフルをゆっくりと取り出して狙撃に移る、という“ながらスタイル”で楽しむ人もいます。

撃ち落とした場所をマークする

 散弾銃であれエアライフルであれ、ヒヨドリを撃ち落としたら、まずは落ちた場所をしっかりと確認しましょう。撃ち落としたヒヨドリは木に引っかかることも多いため、射撃後に確認せずに近づくと「どこに獲物が落ちたか」がわからなくなってしまいます。よってヒヨドリを撃ち落とした後はすぐに回収に向かうのではなく、いったん目印となる木や枝を探して、そこからどのくらいの距離に落下したかを観察しましょう。

ヒヨドリ肉の味は?

 ヒヨドリを手に入れたら、なるべく早めに羽をむしりましょう。ヒヨドリ程度の大きさの鳥は体が冷えるのが早いため、毛穴が閉じて羽がむしりにくくなります。

まずは尻の羽からむしる

 ヒヨドリの羽をむしるときは、まずは“尻”の羽毛から抜きます。このとき、尻に皮下脂肪が乗っていたらアタリ個体!羽を強く引っ張ると皮ごと脂肪が千切れてボロボロになってしまうので、なるべく丁寧に処理をしましょう。
 逆に、皮下脂肪がほとんどない個体は気にせず羽を剥いてしましましょう。面倒くさいのあれば、首を皮一枚残してハサミで切り、皮ごと羽を剥くようにして処理してしまっても構いません。
 頭と羽先はハサミでちょん切ってしまいましょう。もちろんスズメやヤマシギ、タシギなどと同様に、口ばしだけ切り離して頭(脳)も食べることもできます。

脂肪が乗る“旬”は地域によって異なる

 ヒヨドリは、渡ってきた猟期初めごろは体力が消耗しており痩せています。しかし、1月、2月ごろになると体力を蓄えて皮下脂肪が増えていきます。よってヒヨドリ猟は猟期初めよりも、猟期終盤ごろに行うのがベストだといえます。
 ただしヒヨドリの脂の乗り方は地域によってかなり差があり、例えば栄養価の高いミカンを食害するヒヨドリは、比較的早い段階で脂がのります。よって、猟場ごとにヒヨドリの“旬”をリサーチしておくようにしましょう。

脂を「じゅうじゅう」と滴らせた“炙り”にするのが最高!

 ヒヨドリ料理で最も美味しい食べ方が“炙り”です。脂肪がたっぷり乗ったヒヨドリを炭火の上に並べて、黄色い脂が「ぶつぶつ」と音を立てるぐらいまで炙り、ハサミで上身・下身を4つに切り分けましょう。
 この炙った脂肪が何ともいえぬ美味さ!独特の甘みがあり、ニワトリの脂身とはまったく異なる上品さがあります。もちろん肉自体にも旨味があります。骨ごとバリバリと食べてしまいましょう。

意外と良い出汁が出る

 脂ののっていないヒヨドリが数羽程度であれば、炊き込みご飯にするという手もあります。ヒヨドリも他の小鳥と同様に骨から上品な出汁がでるため、お米に吸わせていただきましょう。

まとめ

  1. ヒヨドリは『飛び方』と『鳴き声』で判別するとよい
  2. 小粒散弾で飛んでいるところを撃ち落とすか、木に留まっているところを空気銃で狙撃する
  3. 皮下脂肪の乗ったヒヨドリは炙りが最高にうまい。脂が無ければ出汁に使うという手もある
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この記事を書いた人

自分で捕獲した魚や肉を料理し、お酒と共に食べることを無類の喜びとする食の探訪人。獲ったものはなんでも食べる。

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