幻のジビエ『アナグマ』。甘味のある脂身だけでなく、実は”モツ”が美味しいんですよ

アナグマアイキャッチ0

 「幻のジビエ」とも呼ばれているアナグマの肉は、一時期、東京の新宿に専門店があったほど絶品です!たっぷりと乗った脂は甘味があります。ただし料理の仕方には要注意!独特の野性味を持っているので、しっかりと熱を加えて脂をよく落とすように調理しましょう。

目次

アナグマってどんな動物?

「アナグマ」は世界中に広く分布しているイタチ科の動物で、日本にも北海道と沖縄を除く広い範囲に、ニホンアナグマと呼ばれる種が生息しています。
 アナグマはその名のとおり「穴」を掘るのが得意な動物で、ショベルのような広い足を使って地面に巣穴を掘るという習性をもっています。その巣穴はアリの巣のようにいくつもの部屋があり、「クラン」と呼ばれる家族の集まりで共同生活をしています。

アナグマとタヌキは”足の形”で見分ける

 アナグマは「むじな」とも呼ばれ、しばしば「タヌキ」と混同されることがあります。しかし見た目は似ていても、アナグマ肉とタヌキ肉は味わいが全然違うので、狩猟で捕獲した場合は間違えないように注意しましょう。
 もしアナグマかタヌキかで迷った場合は、足の形をチェックしましょう。アナグマの手は5本指、タヌキは犬と同じ4本指なので、一目瞭然です。

”幻のジビエ”と呼ばれるアナグマ肉

 アナグマ肉の最大の特徴は、皮の下に厚くたまった脂肪です。アナグマは秋から冬にかけて、越冬のために大量の脂肪を貯め込みます。この脂肪は、きめの細かい食感と濃厚な甘みを持っており、さらにジビエならではの特有の野性味があります。

アナグマ肉は必ず、油を落として料理する

アナグマ肉を焼く

 アナグマ肉は脂身が最大の特徴ですが、大量の脂身をそのまま料理に使うと、料理が油でドロッドロになってしまいます。そこでアナグマ肉は、いったん火を通して油を染み出し、油を切って料理に使いましょう。

絶品!アナグマすき焼き

 アナグマ料理でオススメなのが『すき焼き』です。アナグマ肉を焼いて染み出させた油で、白菜やネギ、春菊、豆腐、キノコ類などの具材を炒め、調味料を加えて煮詰めましょう。このように具材へアナグマの油を吸わせておくと、料理全体が調和のとれた旨味と野性味になり、その味わいは”幻”の名に恥じない美味しさです。

アナグマの”モツ”は捨ててはいけない!

 また、アナグマの内臓(モツ)は、絶対に捨ててはいけません!動物の脂肪分は皮下だけでなく、特に肝臓や腸にたまります。脂の乗ったアナグマの肝臓はフォアグラを凌ぐ味わいで、腸は牛モツの比ではありません。

アナグマ肉は自分で狩るか、罠シェアリングで

アナグマの解体

 アナグマ肉は、一時期渋谷に『アナグマ料理専門店』があったほど人気のジビエです。しかしアナグマ肉は猪肉や鹿肉に比べて、ほとんど流通していないため、”わな”を使って自分で捕獲するか、近年注目されている『罠シェアリング』に参加して、アナグマが獲れたときに分けてもらうしか、今のところ入手する方法はありません。


 なおアナグマは、わなにかかると狂暴化して反撃をしてくる気性の荒さをもっており、その力は箱わなをも打ち破るほどです。よって、わな猟でアナグマを捕獲したい人は、しっかりとした猟具を使用するように心がけましょう。

まとめ

  1. アナグマの顔はタヌキとそっくりだが、足の形で簡単に見分けられる
  2. アナグマはとにかく脂が多いジビエ。しっかり脂を落として調理しよう
  3. アナグマのモツは最強に美味い。モツを食べられるのはハンターの特権
新狩猟世界ロゴアニメ
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

目次