銃床(ストック)は、銃を安定して構えたり、射撃時の反動を受け流すために必要な部品です。主に肩に当てる床尾(バット)、頬を当てて頬当て(コム)、引鉄を引くための銃把(グリップ)、銃を支える先台(フォアエンド)で構成されています。
銃床の定義
銃床の各部名称は上図のようになっています。一般的に「銃床」は、銃を持って支える先床を含めた部位を指します。上下二連式、水平二連式などの中折式の場合は、先台と銃床は上図のように分かれており、先台と呼ばれます。なお、スライドアクション式などの場合、先台を操作して排莢・再装填操作を行うため、「先台」ではなく遊底と呼ばれます。
銃床の各部名称
肩当ての上部はヒール、下部はトゥと呼ばれており、ヒールとトゥが作る角度をピッチ角と呼びます。ピッチ角は銃を構えると胸のふくらみができるため、必ず鋭角(90°よりも小さい角度)になっています。
肩当ての端から銃把(グリップ)までの長さは銃床長(プルレングス)と呼ばれます。銃床長は、射手の腕の長さに合わせて調整する必要があります。
銃床長(プルレングス)の調整
小柄な人は、銃床長が長すぎると腕が伸びきってしまい、グリップを握りにくくなる場合があります。このような場合は、銃砲店に床尾を切り詰めてもらう改造を行うか、肩当ての長さを自身で調整できるアジャスタブルストックや、床尾板(バットプレート)を追加できる機能を持つ銃を選びましょう。
チークピースの役割
銃床の頬当(コム)は、頬骨を乗せて照準をまっすぐのぞき込むための重要な部位です。しかし、この頬当が低すぎたり高すぎたりすると、照準を上手く付けることができなくなります。そのため頬当には、チークピースと呼ばれる、高さを調整する当て布を巻くことがあります。またチークピースは、銃の跳ね上がりで頬を痛めることを防ぐ機能もあります。
可変式チークピース
チークピースには、頬当を自身で調整できるアジャスタブルチークピースと呼ばれるタイプもあります。
モンテカルロ型ストック
モンテカルロ型ストックは、頬付け位置が高くなったデザインの銃床です。大型スコープを取り付ける際に必要なハイマウントリングと併用することで、スコープを覗き込みやすくなります。
モンテカルロ型ストックの頬付け部の高さは一定ですが、ドーム状になっているホッグバック型と呼ばれるタイプもあります。
折り畳み式銃床
折り畳み式銃床(フォールディングスタック)は、銃床を引き金側に折りたたむことができる銃床です。コンパクトに収納できるため猟場への持ち運びがしやすいといったメリットがあります。ただし接合部の締め付けが緩くなってグラグラしてしまうため、定期的にネジを締めなおさなければなりません。
所持許可が下りにくい場合がある
日本国内の法律では、銃床を取り外すことができる銃の所持は禁止されていますが、取り外しができない折りたたみ式は合法です。しかし公安委員会によっては銃砲店や輸入代理店に確認調査を行うことがあるので、所持許可が下りるのに時間がかかる場合があります。