シュラウドバレルとは、ペレットが通過する銃身 (バレル) に覆いが装着された二重構造の銃身です。この覆いには『銃身の保護』、『射出圧の整流効果による弾道の安定化』という2つの役割があります。
シュラウドバレルのメリット
エアライフルの銃身は、ライフルや散弾銃のような装薬銃とは違い、射撃時の衝撃が低いため、比較的薄く造られています。そのため、銃を落としたりぶつけたりすると、銃身がへこんだり曲がったりするトラブルが起こりやすくなっています。そこで近年のエアライフルでは、銃身を保護するためにシュラウドを取り付けた銃身が主流になっています。
装薬銃のシュラウドバレル
シュラウドバレルは装薬銃にも用いられています。装薬銃のシュラウドバレルは、前述の銃身保護に加え、発射時に銃身に溜まる熱を放散するヒートシンクの役割も持ちます。このヒートシンクは、銃身の過熱を防ぐ、放熱によって発生する陽炎による照準誤差を防ぐ、加熱した銃身に触れて火傷するのを防ぐ、などの効果を持ち、軍用や標的射撃用のライフル銃などに使用されています。
なお、狩猟に用いられるライフル銃や散弾銃は、連射をすることがないためや、持ち運びしやすいように軽量性が求められるため、ヒートシンクやシュラウドバレルの必要性は低いと言えます。
バッフル構造
シュラウドバレルには、銃口付近に不規則に並べた隔壁 (バッフル) が設けられたバッフル構造のものがあります。このバッフル構造のシュラウドバレルは、弾頭がバッフル内を通過する際に、少しずつ発射圧が抜けていくため、銃口から解放される発射圧を小さくすることができます。結果的に射出圧による弾道のブレを抑制することができるため、命中精度を向上できるとされています。
整流作用による発射音の変化
バッフル構造では発射圧が徐々に抜けていくため、人間の耳に聞こえる発射音に違いが出ます。例えば、パンパンに空気を入れた風船を針で突くと、一気に空気が抜けて「パンッ!」という破裂音がします。一方、風船の口を開いて空気を抜くと「シュッ!」という音になります。
同様の原理で、シュラウドバレルの発射音も、〝耳につく音域〟がマイルドになるという特徴があります。ただし、これは音質が変わるだけで消音効果があるわけではありません。そのためシュラウドバレルは、国内では違法とされる消音器(サイレンサー)とは別物として扱われています。