これから狩猟を始めようとする方の中には、「有事の食糧難」への対策として狩猟に興味を持つ人が一定数いらっしゃいます。
しかし、あえて言わせてください。
ただ「獲る」技術自体は、有事の食料確保にはほとんど役に立ちません。
理由は明確。
銃や罠を持っていたとしても、弾やワイヤーは消耗品。
物流がストップするような非常時に、新たな機材を補充することなど不可能です。
さらに、食料を求めて山に人が押し寄せれば、野生動物たちはあっという間に手の届かない山奥へと姿を消してしまうでしょう。
では、本当に非常時に役立つ狩猟スキルとは何なのか。
それは、獲物をフル活用して「保存食を作る技術」です。
特に、獲物から精製された油脂(ラードなど)は、食料の長期保管に絶大な威力を発揮します。
例えば旧ソビエト連邦では、長期間食糧事情が悪化することに備え、瓶の中に肉と油脂をたっぷり詰め込み、圧力鍋で瓶ごと高圧殺菌した「トゥションカ」という非常食が各家庭で作られていました。
このトゥションカは、瓶の中に分厚い油の層を作る事で空気を遮断し、常温でも長期間保存できる知恵です。
また、ネイティブアメリカンには「ペミカン」という究極の携帯食もあります。
これは主に鹿などの油脂を溶かし、そこに粉砕した乾燥肉やナッツなどを混ぜ込んでバー状に固めたもの。高カロリーで長期保存が効く、まさにサバイバルの結晶です。
狩猟で学べる技術は「獲る」ことだけではありません。
普段なら捨てられてしまうような脂身や部位を余すところなく使い切り、常温保存できる食料へと昇華させる知恵。
もし本当の意味で食糧難や有事に備えたいのであれば、こうした先人たちの保存食づくりの技術も合わせて学ぶと良いでしょう。




