ルガー ミニ30

 ルガー ミニ30は、アメリカの銃器メーカー、スターム・ルガー社から1987年に発表されたセミオートマチックライフルです。同社の成功作であるミニ14ライフルをベースに、より大口径な7.62x39mm弾を使用するモデルとして開発されました。その軽量かつ取り回しの良い特性から、日本では「勢子銃」として人気を博しましたが、2011年頃に所持者の〝違法事件〟が影響し、現在では新規の所持許可を得ることが非常に困難な状況になっています。

タイプガス圧作動式セミオートマチックライフル
メーカースターム・ルガー
製造年1987年 ~ 現行
中古相場不明
主な使用弾薬7.62x39mm

開発経緯

 ミニ30開発以前、スターム・ルガー社は5.56x45mm NATO弾(「.223レミントン弾」と高い互換性を持つ弾)を使用するミニ14で大きな成功を収めていました。しかし市場からは、より大型の獲物にも対応できる30口径(7.62mm)弾、特に当時入手しやすかったソビエト設計の「7.62x39mm弾」を使用するモデルを望む声が高まっていました。この需要に応える形で、ミニ30の開発が進められました。

構造と特徴

 ミニ14とミニ30は、アメリカの代表的な軍用銃であるM1ガーランドやM14ライフルにインスパイアされた、ガス圧作動方式(ショートストローク・ガスピストン)と堅牢なロータリーボルト機構を基本設計としています。
 さらに、セルフクリーニング機能を持つガスピストンシステムによって、過酷な条件下でも確実な作動を実現すると評価されています。

銃の性能評価

 初期モデルでは「他のライフルと比較して命中精度が劣る」と評されることもありました。しかし、スターム・ルガー社は継続的な改良を重ね、特に2005年以降のモデルでは大幅な製造プロセスの見直しにより、命中精度が大幅に向上したと評価されています。
 2025年現在でもミニ30の製造は続いており、合成樹脂製(シンセティック)ストックの採用やピカティニーレールの搭載など、様々な改良が施されています。

カービン」としての日本での評判

 ミニ30は、短い銃身(国内では規制ギリギリの49㎝)と軽量(約3kg~)な設計から、「カービン」(もともと、騎兵が馬上から扱いやすいように短銃身・軽量化されたライフル)に分類されます。
 この特性は、特に森林など狭い場所での狩猟に大きな利点となり、日本国内においては、山中に猟犬を放って獲物を追い立てる「巻き狩り」において、勢子が使用するライフル銃として狩猟者の間で高く評価されました。

7.62x39mm

 ミニ30が使用する7.62x39mm弾は、旧ソビエト連邦でSKSカービンやAK-47アサルトライフル用として開発された弾薬です。その出自から、日本国内では「AKの弾」という通称で呼ばれることもあります。

7.62x39mm弾の性能

 7.62x39mm弾は、5.56x45mm NATO弾(.223レミントン弾)と比較して弾頭重量が重く、近距離から中距離(約200~300ヤード)において、より大きなストッピングパワーを発揮します。そのため、日本の主な狩猟対象であるシカやイノシシなどの中型獣猟に適しているとされます。
 その性能に関しては、主にウィンチェスターM1897で用いられる「.30-30ウィンチェスター弾」と比較されることがあります。

旧東側諸国から大量に流入した弾

 ミニ30が登場する1987年頃は、東西冷戦の緊張が緩和され、旧東側諸国から7.62x39mm弾を含む銃器や弾薬が大量に輸入されていました。
 この潤沢な弾薬供給の背景が、アメリカで「7.62x39mm弾を使用する銃が欲しい」という需要の高まりに繋がった一因といえます。

日本におけるルガー ミニ30

 ミニ30は、海外では現在でも一般的に流通しています。しかし、日本国内においては過去におこった事件の影響で、所持許可が下りにくい状況が続いています。

違法弾倉事件により強化された規制

 ミニ30の所持許可が下りない原因について公式な情報はありません。しかし銃所持者の間では、2011年頃にミニ30所持者が起こした『違法弾倉所持事件』(6発以上の弾が充填できる大容量弾倉の所持が発覚した事件)にあると考えられています。
 この事件を機に、警察当局はミニ30(および類似のカービン)に対する規制を厳格化し、事実上〝新規の許可を出さない〟という通達がなされたのではないかとされています。

所持許可の要件は都道府県によって異なる

 本件について、銃砲の所持許可に関する最終的な判断は、各都道府県の公安委員会に委ねられています。そのため、ミニ30の新規許可が〝絶対に不可能〟というわけではありません。
 この問題について、私たち銃砲所持者が心得ておかなければならないのは、一人ひとりが高い倫理観を持ち、責任ある行動を続けることが極めて重要だということです。銃の所持者は遵法意識を高く保ち、違法パーツの所持や違法改造は絶対に行わないようにしましょう。

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