「ドブ臭い」と酷評される『キンクロハジロ』も、個体によってはシンプルに美味い

キンクロハジロアイキャッチ

 数多くいる狩猟鳥獣の中で、「まずい」と評価されることが多いのがキンクロハジロです。確かにキンクロハジロの肉には独特のクセ……言い換えれば「ドブ臭い」と感じる場合もあります。しかし、ジビエの味わいには個体差があり、一概に評価できないことを理解しておく必要があります。

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  1. 長い冠羽と、金色の目、黒い羽、白い腹が特徴
  2. 散弾銃でもエアライフルでも捕獲しやすいターゲット
  3. 個体差が激しいが、シンプルな調理法でも美味。レモンでクセが緩和できる

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目次

キンクロハジロとは

 キンクロハジロは全長約45cmほどの小柄なカモで、越冬のため日本に飛来し九州以北に広く分布します。

金色の目、黒い羽、白い腹

 キンクロハジロは漢字で「金黒羽白」と書くように、金色の目、黒い羽、白い腹が特徴です。さらに、オスは後ろ頭に弁髪のような長い冠羽を持ちます。英語名の「tufted」(房状の)も、この冠羽に由来します。なお、キンクロハジロの冠羽は個体差が大きく、長さは様々です

メスの特徴

 メスはオスに比べて全身がやや赤みを帯びた色合いをしています。また、くちばしの根本が白く、冠羽はオスよりも短いのが特徴です。

近縁種のスズガモ

 キンクロハジロの近縁種にはスズガモがいます。姿はよく似ていますが、スズガモは翼の上側がごま塩柄で、キンクロハジロのような長い冠羽を持ちません。また、キンクロハジロは淡水域に多く、スズガモは海水域に多い傾向があります。
 ただし、生息域は明確に分かれているわけではなく、大きな群れでは混ざっていることもよくあります。なお、スズガモも狩猟鳥獣です。

キンクロハジロを捕獲する方法

 キンクロハジロは夕暮れから採餌し、日中は河川、池、内湾、緩やかな河口域などで休んでいます。単独でいることはまれで、ほとんどの場合数羽から百羽近い群れを作っています。

警戒心は低め

 キンクロハジロは同じハジロ属のホシハジロと同様に、警戒心があまり高くありません。そのため、ハイパワーのエアライフルを使った空気銃猟では比較的捕獲しやすいでしょう。
 また、キンクロハジロは、ホシハジロ同様に水面を蹴って飛び上がりますが、助走距離が短いため低い位置から飛んでくることがあります。そのため散弾銃でも比較的狙いやすいでしょう。

ホオジロガモとの錯誤捕獲に注意

 キンクロハジロやスズガモと見分けにくいカモにホオジロガモがいます。目が金色で羽が黒、腹が白色をしていますが、ホオジロガモはくちばしの付け根が白い点で区別できます。
 また、スズガモにそっくりな鳥にコスズガモがいますが、こちらは日本への飛来が稀な迷い鳥であるため、出会う確率は低いと言えます。一応、コスズガモはスズガモに比べて「頭と首が細く見える」ことを覚えておきましょう。

キンクロハジロ肉の味

 キンクロハジロの肉は、「ドブ臭い」「どう料理してもまずい」「腹の中から臭気が立ち上る」など、悪い評価を耳にすることがあります。確かにキンクロハジロの肉には〝ひどいクセ〟を持つこともありますが、それはすべての個体に当てはまるわけではありません。

食性によってクセの強さが大きく異なる

 一般的に「当たり」と言われるキンクロハジロの肉は、カルガモのようなしっかりとした肉質と十分なカモの旨味を持っています。海ガモ特有の海藻のようなクセはありますが、塩胡椒でシンプルに味付けするだけでも十分美味しくいただけます。また、レモンなどの柑橘系と合わせるとクセを抑えることができます。

個体差があるのが〝ジビエの面白さ〟

 ジビエを楽しむ際は、「野生動物は人間が食べるために生まれた家畜とは異なり、食べてきた餌によって個体差がある」ことを理解しておく必要があります。
 しばしばジビエに関するインターネット上の情報は、注目を集めるための〝醜聞〟になることがあります。ジビエを楽しむ上では、こういった情報は鵜呑みにせず、個体差の大きいジビエを『調理と工夫で美味しい料理に変える』という、探求心を持つことが大切です。

まとめ

  1. 長い冠羽と、金色の目、黒い羽、白い腹が特徴
  2. 散弾銃でもエアライフルでも捕獲しやすいターゲット
  3. 個体差が激しいが、シンプルな調理法でも美味。レモンでクセが緩和できる

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