【解説動画付き】骨と”血”から出汁を取れ!絶対に美味い『本当のカモ鍋』の作り方

鴨鍋アイキャッチ

 カモ料理と言えば、やはり冬に嬉しいお鍋ですよね?自分でしとめたカモを捌いて、美味しいカモ鍋を作れば、きっとご家族も喜ばれることでしょう!そこで今回は、絶対に失敗しない美味しいカモ鍋の作り方についてお話をしたいと思います。


この記事の3つのポイント

  1.  カモのガラから出汁を取るコツは、血がついたまま火にかけること

  2.  出汁を取るときの火加減は極弱火で。下茹でなどは必要なし

  3.  カモの胸肉は、野菜などに熱が通った後、最後の最後に投入する



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カモを捌こう!

 さて、本当に美味しいカモ鍋を作るためには、まず自分でカモをしとめましょう。「市販のカモ肉でも良いのでは?」と思われるかもしれませんが、カモ鍋を作る最大のコツは、解体時に出たガラ(骨)にあります。
 このガラから出汁を取らなくては、カモ鍋の魅力は半分以下!くれぐれも「市販の出汁でどうにかなるだろ~」とは思わないでください。

 撃ち落としたカモは、羽を毟って内臓を出し、水分と温度調整に注意しながら3日以上熟成させます。この手順についてはまた別にお話するとして、今回は毛、内臓(腸)、頭、手羽先を落とし、長期熟成をかけたマガモを使って料理の説明をしたいと思います。

 なお、カモの解体について詳しくは、『基本は“八落し” ~カモ解体編~』にも詳しく書いていますので、こちらもご参照下さい。

 捕獲したカモは、野外で羽剥き・腸抜きまでの下処理を行い、なるべく冷やして持ち帰りましょう。丸鳥(下処理済のカモ)の解体には色々ありますが、今回はニワトリの解体でも使われる“八落し”という方法をご紹介します。 この記事の3つのポイント  鳥解体の基本は、胸肉2枚、手羽2つ、モモ肉2つ、上身ガラ、下身ガラの8つに分ける「八落し」。  内臓は、肛門を切り取って、穴から手を入れて掻きだす。  内臓も下処 ...
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足・下身・上身に分ける

 まず、カモをうつぶせに寝かせて、背骨に沿って切れ込みを入れます。頭を落としたところから、尻尾の付け根にある油壷(ボンジリ)まで刃を入れていきましょう。
 次に、足を動かしてカモの”腰”の位置を確認し、そこから足の付け根にそって刃を入れていきます。このときモモ肉に傷を付けないように、皮の部分だけを切っていきましょう。

仰向けに寝かせて、腹側の皮も切っていきます。足の付いている位置をよく確認しながら刃を動かしていると、恥骨(U型になった骨)に行きつくはずです。そこまで皮を切り離していきましょう。


 皮を切ったら、足を背中側に「バキッ!」と折って、股関節を外します。そのまま足を引っ張りながら、背中側に癒着した筋肉と皮を剥ぎ取っていきましょう。

 足を取り外したら、切れ込みを入れた部分から肩甲骨の下に刃を入れます。このまま、肩甲骨と胸骨の癒着を刃で剥がしていきます。

 この部分は初心者の人には少しわかりにくいので、上の図を参考にしてください。

 肩甲骨の癒着を剥がしたら、「メリメリッ!」っと手で開きましょう。

 このまま首ツルを持ち手前に引っ張ります。肋骨と胸骨は柔らかい軟骨で繋がっているので「メリメリ」っと外れます。

胸と手羽が付いているのが上身(画像右)、首ツルと背中・足が付いていた方が下身(画像左)になります。

胸肉と手羽を分離する

 上身は、胸肉・ささみ・手羽元の3つの部位を取り出すことができます。なお、ニワトリでは手羽先も利用されますが、野生のカモには手羽先に肉がほとんど付いていません。なので、羽を毟るときに翼ごと切り取ってしまうのが一般的です。

 まずは肩甲骨と皮の間に刃を入れて、上身を取り出した時と同じように首に向かって切っていきます。
 肩甲骨の付け根は、上腕骨と烏口骨の関節があります。この関節を切断することで、手羽を取り外すことができるようになります。

 この関節の部分ですね。

 包丁を入れると「サクッ」と簡単に切ることができます。

 続いて、胸を上に寝かせて、胸骨の中心に沿って刃を入れます。

 首の方には鎖骨があるので、鎖骨に沿って肉を切り離していきましょう。

 ある程度まで行ったら、引っ張るようにして癒着部分を剥いでいきます。

 先に胴体(烏口骨)と腕(上腕骨)の関節を外しているので、胸肉・手羽元のセットが上身から切り離せます。

 胸肉の下には、ささみが付いています。ニワトリのささみに比べて小さいため、胸肉に付けて取り外してもよいでしょう。

 写真の上が胸肉(両側にささみ)、真ん中が手羽元、下が足から取り外したモモ肉です。胸肉が2枚、手羽元が2枚、モモ肉が2枚、これに、上身と下身のガラが2つ、計8つに解体することから、この解体方法は「八落し」と呼ばれます。
 なお、抜骨の工程は長くなるので、こちらをご覧ください。
 

出汁を取る

 さて、本当に美味しいカモ鍋を作るうえで大事なのは、ガラから出汁を取ることです。一般的な料理サイトなどでは出汁の素を使うレシピが紹介されていますが、真のカモ鍋は出汁を取らないと始まりません!

 カモガラからの出汁の取り方ですが、そのまま鍋にぶち込みます。「血を洗わなくていいのか??」と思われるでしょうが、

いいです。
むしろ血を入れましょう。

「臭い消しの酒やショウガを入れないでいいのか??」と思われるかもしれませんが、

いりません。
何も入れなくていいです。

下茹で(略)

いらん!
余計なことをするな!!

おそらく多くの方が信じられないかもしれませんが、是非ともここは信用してください。

ただし1点だけ、お尻の部分にある油壷(ボンジリ)は取り外しておきましょう。油壷からはワックス状の油がにじみ出るため、出汁が臭くなります。

火加減は極弱火。鍋の中を暴れさせない

 カモのガラから出汁を取る最大のコツは、火加減を極弱火にすることです。決して「グツグツ」煮てはいけません。
 血の付いたガラをグツグツと熱をかけると、逆に臭みが出てしまいます。鹿肉料理の回でもお話をした、酸化アレキドン酸臭(俗に言う「レバー臭さ」)ですね。
 鍋の中が暴れないぐらいの火加減で熱を加えると、初めは『血の池地獄』のようだった鍋の中が、黄金の色に変わってきます。

 40分ほど温めるように出汁を取ったら、荒目のザル、目の細かいザルで不純物を取り除いて完成です!

カモ団子を作る

 カモの手羽元とモモ肉は、とても旨味の強い肉質です。しかし非常に固くスジが多いため、叩いてカモ団子にしてしまうのがオススメです。

 まずは包丁で細かく切っていきましょう。ある程度切ったら、包丁で叩いてミンチにしていきます。このとき材料として、みじん切りのタマネギ(半個)、ショウガ(一かけ)、塩(小さじ2)、片栗粉(大さじ1)、卵白(1つ分)、分葱(適量)を加えて叩いていきます。

 叩くのが面倒くさいならフードプロセッサーでもOKです。個人的には肉肉しい食感が好きなので、時間があるときは菜切り包丁で叩いています。

 カモ団子ができたら、火にかけた出汁の中に丸めて浮かべていきます。火加減は中火で。臭みが出るガラは取り出しているので、「グツグツ」なってもOKです。

 カモ団子に熱が入って浮いてきたら、野菜やキノコを加えていきましょう。野菜は何でも良いですが、やはり長ネギは外せません。
 味付けは、料理酒・みりん・しょうゆを、それぞれ大さじ3ほど。普通の寄せ鍋と同じ分量です。
 

胸肉を投入するタイミング

 野菜類に火を通している間に、胸肉を一口大にスライスします。

 胸肉を投入後は、火加減を極弱火にして温めるようにして火を入れます。カモの胸肉はシカ肉と同じように濃い赤身なので、熱を入れすぎると臭みが出ます。そのため、野菜類を煮込んだ後に投入し、サッと火を通す程度に抑えるのがポイントです。
 なお、マロニーや葛切りのような『煮込みすぎるとドロドロになる食材』も、このタイミングで入れます。

 胸肉を入れたら蓋をして数分。さらに余熱で数分温めて完成です!

実食!

 今回は妻に試食してもらいました。実を言うと私の妻はジビエが苦手。特に鹿肉のようなクセのある赤身の肉が好きではありません。

そんな妻ですが・・・

「美味い!」

 肉単体では野性味が強すぎたようですが、ネギと一緒に食べることでまろやかになります。今回は入れていませんが、春菊も相性が良いです。
 ちなみに、江戸時代に鴨肉と相性が良いとされていた野菜はネギではなく”セリ”。同じセリ科のフェンネルは、ローストのような料理によく使われます。

 出汁をふんだんに吸ったマロニーが、妻のお気に入りのようでした。あの『血の池地獄』から出汁を取ったと知ると、おそらく食べてくれなかったでしょうね。
 カモ鍋の〆はソバを入れるのが一般的ですが、我が家は九州人家庭なので『うどん』を入れます。ツルツルの讃岐系じゃなくて、腰の無いフワフワした博多うどん。これが出汁を吸って最高なんですよ。

おわりに

 今回は『カモ鍋の作り方』についてお話をしました。「血が付いたままのガラで出汁を取る」という話は、実際に色々な人に話をしても、誰も信じてくれないんですよね。なので今回、動画を撮ってみました。動画を撮り慣れていないので変な構図だったりしますが、少しずつ動画の撮り方を勉強していこうと思います。
 ジビエの世界では、まだまだ「血は臭い」といった先入観が多くあるので、これからも様々なジビエ動画を作っていきたいなと考えています。

それではまた次回。


Author情報
東雲輝之

株式会社チカト商会の代表取締役兼、副業猟師。狩猟の継続発展・産業化・国際展開などを目標に事業展開をしています。 本人著書として『狩猟の教科書シリーズ』(秀和システム)、『初めての狩猟』(山と渓谷社)など。子育てにも奮闘中。

Twitter:東雲輝之



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