『狩猟用スコープ、どう選ぶ?』オススメスコープや買い方まで、ザックリと解説!

スコープの選び方

 狩猟で精密射撃を行うためには、照準を補正するための照準器(サイト)が必要になります。その照準器の中でも、狩猟によく用いられているのが、通称「スコープ」と呼ばれるテレスコピックサイトです。
 このスコープに関する情報はインターネット上にいくらでもあるのですが、サバゲーやミリタリー系の記事が多く、実猟的な話は意外と少なかったりします。そこで今回はこのスコープについて、実猟という観点から色々とお話をしていきたいと思います。  
 なお、スコープについて基礎的な話は、下記ページでも行っています。興味のある方は、先にそちらの方をご覧ください。


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この記事の3つのポイント

  1.  獲物との距離が近くなる狩猟スタイル・猟場では、ショートスコープもオススメ

  2.  スコープだけでなく、取り付ける方法(マウントベース、マウントリング)も大切

  3.  スコープは”消耗品”と考えよう。使い続けていくと、いつか必ず壊れる



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私が使っているスコープについて

 本題に入る前に、まずは私の使っているスコープについてご紹介したいと思います。私が使っているのは、アメリカの光学機器メーカー・リューポルド(ルポルド)社から発売されている、リューポルド VX-3 1.75-6×32(最低倍率1.75倍、最高倍率6、対物レンズ径32mm)というスコープです。かれこれ5年ほど使用していますが、とても扱いやすくて気に入っています。値段的にも性能的にも、オーソドックスと言えるスコープだと思います。

[参考] ルポルド&スティーブンス

Hawkeロゴ
狩猟に最適な倍率は?

 このスコープを使っていると、よく「1.75の6なんて、結構低倍率のを使っているね~」と言われます。このスコープがどれほど低倍率なのか、知らない人にとってはピンと来ない数字かと思いますが、例えばエアライフルでよく使われるスコープの倍率は「4−12」、すなわち「最低倍率4倍、最高倍率12倍」のスコープだったりします。
 私の使っている『ブローニングXボルトステンレスストーカー』は、火薬の力で弾を発射する装薬ライフルです。それなのに、空気圧で弾を発射するエアライフルよりも低倍率のスコープを使っているわけです。「装薬ライフルでそんな低倍率スコープ使っても大丈夫なの?」と驚かれる理由は、ここにあります。

ショートスコープは、日本の狩猟用スコープに最適?

 ショートスコープと呼ばれることもある低倍率スコープですが、私の狩猟スタイルでは特に問題ありません。なぜなら、私の行く山は木々が被い茂っているため、獲物との距離が近くなることが多く、あまり高倍率は必要としないためです。

 また、ショートスコープは一般的なライフルスコープよりも軽く造られる傾向があります。よって、私のように銃を片手に持って山を歩くようなスタイルでは、銃もスコープも軽めの方が運用しやすいのです。

高倍率がダメというわけではありません

 誤解しないでいただきたいのですが、別に「日本の狩猟は低倍率スコープじゃないとダメ」と言っているわけではありません。例えば北海道のような開けた猟場では獲物との距離が遠くなるため、高倍率スコープが必要になります。国内であっても、例えば山の尾根から獲物を探して狙撃するようなスタイルの場合は、高倍率スコープの方が良いでしょう。
 また、高倍率スコープには『照準がどれだけズレているかわかりやすい』というメリットもあります。低倍率で照準をつけたときではわからなかった呼吸や脈動の影響がわかりやすくなるため、当たらなかった場合の原因を考える材料が増えます。私も、たま~に、「もっと高倍率なスコープが欲しいなぁ」と思ってしまうときもあります。

倍率は都度変える?それとも、ずっと一定の倍率を使う?

 スコープの倍率は、段階的に切り替えることができます。例えば4-12のスコープであればパワーセレクターというノブに「4,5,6…12」と数字が書かれているので、使いたい倍率に合わせてセットします。
 スコープを使う人の中には、獲物との距離に応じて倍率を変更する方もいますが、私はいつも6倍に固定して使っています。なぜなら、私が使っている24口径(6mm弾)という小口径弾は弾頭が軽いため、発射したときの弾の飛び方(弾道特性)は、ほぼ直線的になります。そのため、距離による弾の落下(ドロップ)を考える必要がほとんどないため、倍率を都度イジる必要がほとんどないのです。
 このように、倍率を都度調整するか、ずっと同じ倍率を使いっぱなしにするかは、弾の弾道特性によっても変わります。私のように『軽量弾&ショートスコープ』というビルド(構成)であれば、倍率をいちいち変更しなくてもOKです。
 なお、上記のビルドでも、6倍率で250mぐらいまでなら当てることができます。遠距離を狙う機会が少ないため確実なことは言えませんが、ショートスコープでも300mぐらいまでなら当てられるような気がします。

狩猟中に低倍率に調整して使うこともあります。

 狩猟中に倍率を下げるときもあります。例えば、獲物を『捜査』するような場合ですね。半矢になってしまった獲物が草陰に身を潜めてしまった場合、なるべく広範囲を見れるようにスコープを低倍率に切り替えます。
 また、イノシシがボサの中をゴソゴソしているときは、むやみに近づくと突進を受ける危険性があるため、少し離れた場所から低倍率の状態で観察をします。
 その他にも、走っていく(動いている)獲物に照準を付けるときは、高倍率よりも低倍率の方が視野が広くなるため、切り替えるようにしています・・・動的射撃は得意ではありませんが。

スコープの探し方

 私がこのスコープに決めたのは、『明るくて、解像度が高く、軽め』という条件でさがしていたところ、偶然。中古で見つけたので、これを買いました。スコープとの出会いは人それぞれだと思いますが、自分に最適なスコープの探し方についていくつかお話をしていきたいと思います。
 

まず、ご予算はいくらですか?

 スコープ選びでまず始めに考えるのは予算です。スコープの値段はピンからキリまで様々です。例えば、ドイツのシュミット・アンド・ベンダー社製ライフルスコープ『PMⅡハイパワーDT 3-27×56』は、国内販売価格で約85万円!対して、アメリカのホーク社製『 ヴァンテージ 4-12×40』は約2万円程度です。
 値段が高いスコープは、主にレンズのコーティングが違います。レンズが集める光の量が多くなるため、そのぶん視界の解像度がクリアになるのです。
 以前、オーストリアの高級光学機器メーカーで有名なスワロフスキー社のライフルスコープを覗いたことがありますが、思わず「フォッ!!」と声が出てしまいました。何というか・・・「眼が遠い場所にある」といったイメージでしょうか?「ガラス越しに見ている」という違和感をまったく感じさせない視界の綺麗さに、「ずっと覗いていてぇ~」という気持ちでウットリとしてしまいました。

 なお、「高い倍率が使えるスコープは値段が高い」と思われがちですが、実はそういうわけでもありません。例えば、ルポルド社の『VX-Feedom 4-12×40』と、ホーク社の『ヴァンテージ4-12×40』は、共に「最低倍率4倍、最高倍率12倍、対物レンズ径40mm」というスペックは共通しています。しかし値段は、ルポルドの方が3倍近く高くなります。

スコープの値段差は、車で考えるとわかりやすい

 スコープの値段差は、『高級車と軽自動車の違い』でイメージしてもらえれば、わかりやすいかと思います。
 例えばベンツのような高級車は、シートの柔らかさだったり、ハンドリングの機敏さだったり、”運転の心地よさ”があります。対して軽自動車は、運転の心地よさはあまり感じられません。
 しかし、高級車にせよ軽自動車にせよ『人や物を遠くまで運ぶ』という、車本来の性能については違いはありません。スコープの値段差も、『覗いていて心地いい』という高揚感に差がありますが、『遠くのものを拡大してみる』という本来の役割自体には、大きな違いはないというわけです。

安物買いの銭失いに要注意!

 スコープ価格のキリを見ると、1万円や数千円程度の物もあったりします。しかしこれらのグレードは狩猟用ではなく、ホビーガンレプリカやサバゲ―用の物だったりするので、実銃の反動に耐え切れずにぶっ壊れてしまいます
 安物スコープの中にも「ショックレジスト(対衝撃)」と記載された物もありますが、あまりアテにしない方がいいです。私も以前、安物(某国製のレプリカ品)を使ったことがありますが、まぁ・・・とても狩猟に使えるものではありませんでした。特に、早朝や夕方の薄暗い時は全然見えず、昼間でも解像度が低いため倍率上げるとボヤけて何がなにやら・・・。
 けして高級スコープを買う必要はありませんが、予算としてはせめて3、4万円を見ておいた方が良いでしょう

自身の狩猟スタイルや猟場の雰囲気を考えてみましょう

 予算の次に考えることは、使用する倍率です。私の場合は先ほど述べたように、低倍率のショートスコープを使用していますが、もしあなたが北海道や開けた山野で狩猟をする予定なのでしたら、最低倍率6倍~最高倍率12倍、または16倍程度のスコープを選ぶのをオススメします。

あえて”スコープを選ばない”という選択も!?

 もしあなたが、巻き狩りでしか銃を使わない場合は、そもそもスコープを選ばないという手もあります。巻き狩りでは、大概の場合は逃げていくイノシシやシカなどを撃つことになるのですが、スコープだと視界が狭くて迎え撃つのが難しくなります。そこで、倍率機能が付いていない照準器、例えばアイアンサイトリフレクタサイトホロサイトといったタイプを選んだ方がいい場合もあります。
 「スコープでないと狙撃はできない」というのは、実は間違った固定観念だったりします。極端な例ですが、射撃の天才と言われたフィンランドの軍人シモ・ヘイヘは、スコープを使わずにアイアンサイトだけで、300m以内の射撃なら百発百中だったとか。私もいつかアイアンサイトだけで獲物を獲るのに憧れていたりします(笑)

【参考:スコープ以外の照準器について】



スコープをどこで買う?

 スコープを買うときは、できれば店頭で見せていただいて、納得してから買うのがよいと思います。ただ、銃砲店さんによっては品ぞろえが悪かったりするので、インターネットで買うのも手です。欲しいスコープを実際に使っている人に使用感などを聞いておけば、ネット上でも安心して購入することができます。
 なお、スコープは”消耗品”だと考えておきましょう。スコープの内部には非常に細かいパーツがあり、銃の反動によって少しずつ消耗していきます。そして、調整が効かないところまで部品がズレてしまった時点で、そのスコープは寿命になります。
 そのため、状態のわからない中古品は避けたほうがよいです。個人で売買する場合は、できるだけ使用履歴や使用していた弾などを確認しましょう。また、ちゃんとしたメーカー品を、信頼できる人から買い取りましょう。

スコープの取り付け方

 勘違いされている人も多いですが、スコープはそれ単品を買っても銃に取り付けることはできません。銃に取り付けるためには、まず銃にマウントベースが付いていること、そして、マウントベースとスコープを連結するマウントリングが必要になります。

マウントベースの選び方

 スコープを銃に取り付けるためのマウントベースは、最近の銃にはほぼデフォルトで取り付けられていますが、古い散弾銃とかになると自分で取り付けなければなりません。取り付けるためには銃の本体に穴を開けないといけないので、必ず銃砲店で改造してもらいましょう。

 マウントベースの種類は色々ありますが、大きく分けてウィバーレールドブテールレールという2種類があります。
 ウィバーレールには、さらにいくつもの種類に分類できるのですが、近年ではアメリカ軍でよく使われているピカティニーと呼ばれるタイプが多いです。ドブテールレールはエアライフルによく使われている印象があります。

 もし、自分で用意したマウントベースを銃に取り付ける場合は、ピカティニーを選ぶのをオススメします。マウントベースがどのような種類であっても、だいたいはマウントアダプタと呼ばれる変換アクセサリーがあるので、取り付けることはできます。ただ、リフレクタサイトやスコープマウントカメラなどは、マウントリングと一体型である場合が多く、その大抵はピカティニー規格で作られてあります。なので、特にこだわった理由がないのであれば、ピカティニーを選んでおくのをオススメします。

【参考:マウントレールの種類】

マウントリングの選び方

 マウントリングは、スコープの胴体(チューブ)に噛ませてマウントベースと固定するための部品です。スコープの胴体は、『1インチ』か『30mm』のいずれかで作られているので、マウントリングも使用するスコープに合うものを選びます。
 値段はメーカーなどによっても少し変わりますが、だいたいが2個セットで1万円ぐらいですね。Amazonや価格.comなんかに1,000円ぐらいでマウントリングが売られていますが・・・どうなんでしょう?私は使ったことが無いのでわかりませんが、数千円程度の差であれば安全性を買う意味で、普通のを選んだ方が良いかなと思います。

 マウントリングを決めるときはもう1点、高さを考えなければなりません。基本的には高さ27mm程度のミドルマウントタイプで良いのですが、スコープの対物レンズ径が大きい場合は、取り付けたときに銃が引っかかることがあるため、34mm程度のハイマウントタイプを使います。また、スコープを取り付けたときに視線が高くなるため、遠くの距離でゼロイン調整がしやすくなるといったメリットがあります。
 27mmよりも低いローマウントタイプは、例えば、スコープを覗くとほほが浮いてしまうような場合に、このタイプを使います。また、ローマウントは視線が低くなるため、ゼロインに調整した距離の前後で照準のズレが最小限になるといったメリットがあります。
 ザックリとした選び方としては、特にこだわりが無ければミドルマウント、遠距離狙撃が多い場合はハイマウント、近距離射撃が多い場合はローマウントを選ぶ人が多いようです。

スコープのズレの原因は?

 スコープは、マウントベースとマウントリングでしっかりと固定されているはずなのですが、使用しているとどうしても噛み合いがズレていき、狙いが狂ってしまいます。そこで取り付けたスコープは、適度なタイミングで再調整する必要があります。

ズレの原因は運搬時の振動ではないだろうか?

 スコープがズレる理由について確信を持てることは言えませんが、恐らく『振動』が良くないような気がします。
 これはなんとなくなんですが、スコープを長時間、長期間、車の振動にさらしてしまうと、スコープがズレていることが多いような気がしてます。超音波洗浄機を使うとメガネのネジって緩むじゃないですか。おそらくスコープにとっても、振動はよくないような気がします。
 よって、私は猟に行くときは、銃をカバーに入れた状態で助手席のシートに立てかけて、銃床のパッドを助手席の足元に置くような感じで銃を運搬しています。これは、スコープが車のシートに接触しないようにするためです。

ズレるさいの対処法

 私が使用しているブローニングXボルトは、銃に直接マウントリングが直付けされているという、特殊なマウントシステムになっており、非常にズレにくい構造になっています。
 そのため、あまりしょっちゅうスコープを調整することは無いのですが、一応念のため、リング部分に少し松脂を塗り込んでいます。擦り合わせまではやってません。
 あとはスコープをツタに引っ掛けたり、どこかにぶつけたりしないよう気をつけているぐらいです。猟場でスっ転んでスコープをおしゃかにした経験があるので、猟場では足元にも気を付けるようにしています。

酷くズレる場合はスコープの故障の可能性もある

 普通の値段で、実銃用に作られたスコープであれば、そうそうブッ壊れることはありません。しかし先にも述べたように、長年使い続けていると射撃の反動で少しずつ内部の部品がズレていき、どうしても調整できなくなるときが必ず訪れます。そういった場合は買い替えるしかありません。なお、スコープだけでなく望遠鏡やカメラなどでも同じですが、光学機器は修理に出すよりも買い換えた方が安上がりだったりします。
 余談ですが、エアライフルにはスプリング式(スプリンガー)という銃種がありますが、このタイプは通常のプレチャージ式には無い、独特の反動を持っています。よって使用するスコープは『スプリンガー対応』と謳われたものを選ぶようにしましょう。たとえスラッグやライフルの反動に耐えるスコープであっても、スプリンガーは特殊な振動を持っているので、壊れてしまうケースが多いそうです。

おわりに

 今回は『実猟主義的に考えるスコープの選び方・買い方』についてお話をしました。狩猟を始めると、やはりスコープという存在はあこがれますよね(笑)。実際に、スコープを使う狩猟スタイルは、むちゃくちゃ楽しいです!・・・しかし、世には「レンズ沼」という言葉あるように、光学機器はコダワリ始めると終わりがありません。みなさまどうぞ、沼にはまらないようにスコープを楽しんでくださいね!


Author情報

「自称職業猟師」 この胡散臭いのが警察で問い合わせてもらった自分の肩書きです。 専業猟師、プロハンター、プロ猟師。 色々な呼び方されますが、猟を生業としてメシ食ってます。 ライフル243win、上下二連12番、上下二連20番。 現在三丁でやっております。 罠もあるけどあまり好みじゃない。
Twitter:りょう@ハンター



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