これから銃猟を始める人へ『ライフルスコープ超・入門』

 みなさんは『スコープ』、好きですか?覗き込んだスコープに映る獲物の姿・・・慎重にレティクルを合わせる・・・撃つッ!まさに銃猟の醍醐味とも呼べる瞬間です!しかしスコープって色んな専門用語があって、なんだか難しい印象がありますよね?そこで今回はスコープの仕組みについて、その基礎を学んでいきましょう!

この記事の3つのポイント

  1.  スコープと望遠鏡の大きな違いは、レティクルの存在と、ゼロインのために照準線を上下できる機構

  2.  スコープに付いている主なツマミは、エレベーション(上下)、ウィンテージ(左右)、フォーカス(ピント)、パワーセレクター(倍率)、ディオプター(視度)の5種類

  3.  スコープの内部構造で覚えておきたいのが、対物レンズ径(解像度)、ひとみ径(明るさ)、アイレリーフ(スコープと目の距離)、FoV(視野の広さ)の4種類。


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そもそもスコープとは何?

 スコープ、正式にはテレスコピックサイト(Telescopic Sight)は、銃に装着する照準器の一種です。よく望遠鏡(テレスコープ)と勘違いされますが、テレスコピックサイトはレティクルと呼ばれる照準点を表す印が内部に組み込まれている点で、テレスコープと構造が大きく違います。

目の前の物と遠くの物の焦点が合う”不思議”

 スコープを実際に触ったことが無い方でもご存知の通り、スコープには照準の中心を示すレティクルと呼ばれる印(多くは十字線)が付いています。このレティクルを標的に合わせることでスコープは照準を付けることができるのですが・・・ちょっと待ってください!これってすごく不思議じゃないですか?だって、レティクルはスコープの中にあるので、目の前数センチ先にあります。対して、獲物は数十メートルも離れたところに居ます。目の前に針を立てた状態でかざし、遠くの景色を見てみればわかりますが、人間の目は遠くの物と近くの物の両方にピントを合わせるようにはできていません!

スコープは、鏡筒が入れ子になっている

 スコープの仕組みをざっくりと説明すると、スコープは外側の鏡筒の中に、さらに小さな鏡筒を”入れ子”にしたような仕組みになっています。そして、この小さな鏡筒に設置されたレティクル板の上に、レンズから入ってきた景色の光を”投影”することで、遠くの物(獲物)と近くの物(レティクル)の両方に、ピントを合わせる仕組みになっています。

中の鏡筒はネジで位置調整できる

 スコープが望遠鏡と違うもう一つの大きな点は、 照準線の高さを変えられることにあります。銃の照準には”ゼロイン”と呼ばれる重要な考え方があり、このゼロインを作り出すには照準器の手前(照門)と先(照星)に角度を付けなければなりません(ゼロインについての解説は、またいずれ・・・)。
 スコープの場合もゼロインを作り出すためには、手前(接眼レンズ)と先(対物レンズ)に角度を付けて取り付けなければならないのですが、スコープを斜めに取り付けると”双眼鏡を変な角度で覗くと周囲が暗く見える現象”と同じように、正確な照準が付けられません。

 そこでスコープには、中の鏡筒をネジで回して取り付け位置を上下に変更できる、エレベーション機能が付いています。これによってスコープは、取り付け位置を変えることなく、ゼロインを調整することができます。

 余談ですが、入れ子構造が登場する以前のスコープは、アイアンサイトと同じように斜めに取り付けて使用していました。スコープを斜めに取り付けると、ほほ付けが甘くなるため、射撃の反動で銃が跳ね上がり、スコープで目を強打する人が多かったのだと言われています。

スコープの部位名を学ぼう!

 スコープには様々なダイヤルノブ(※デジタルに切り替えられるツマミがダイヤル、アナログに調整できるツマミがノブ)が付いています。これらのツマミは、メーカーなどによって種類・名称が違いますが、主にエレベーションダイヤル、ウィンテージダイヤル、フォーカスノブ、パワーセレクター、ディオプターダイヤルの5種類が付いています。

エレベーションダイヤル (Elevation Adjustment)

 エレベーションダイヤルは、視界の上下方向を調整するダイヤルです。このダイヤルには『UP → 1/4” 1CLICK』といった表示がされており、矢印方向にダイヤルを1目盛り回すことで、1/4インチ照準を上げることができます。

 ここで注意しないといけないのが、この「上がる」という意味は、レティクルが上がるのではなく、”着弾点が上がる”という意味です。
例えば、スコープ調整のために的紙に向かって射撃をしたさい、着弾点が中心よりも3インチ(7.6㎝)上だったとします。これを修正するために、エレベーションダイヤルをUP側に12目盛り回すと、着弾点が3インチ上がってしまうので、結果的に着弾点は6インチ(15.2㎝)上にずれてしまいます。よってこの場合は、着弾点を3インチ下げるために、エレベーションダイヤルをDown側に12目盛り回さなければなりません。

ウィンテージダイヤル (Windage Adjustment)

 ウィンテージダイヤルは、視界の左右方向を調整するダイヤルです。このダイヤルには『L ↔ R 1/4″ 1CLICK』といった表示がされており、矢印方向にダイヤルを1目盛り回すことで、1/4インチ左右に照準を調整できます。

 このダイヤルもエレベーションダイヤルと同じように、回すとレティクルではなく、着弾点が移動します。例えば、着弾点が3インチ右にずれていた場合、着弾点は左に3インチ移動させないといけないので、ダイヤルはL方向に12目盛り回すことになります。

フォーカスノブ (Parallax Focus Knob)

 フォーカスノブはピントを合わせるためのつまみで、ピントリングとも呼ばれます。フォーカスノブには、スコープの中央(エレベーションダイヤル・ウィンテージダイヤルと同じ位置)に取り付けられたサイドフォーカス(CFまたはAS)タイプと、対物レンズの周囲に取り付けられたフロントフォーカス(FFまたはAO)があります。
 どちらを利用するかは好みにもよりますが、サイドフォーカスは銃を構えた状態で操作ができるため、すぐにフォーカスを合わせられるといったメリットがあります。対してフロントフォーカスは、銃を構えたままでは操作しずらい位置ですが、ノブの径が大きいので、サイドフォーカスよりも小さい力で回すことができます。

 スコープのフォーカスには、絞りを小さくして、どのような距離でも”ざっくりピントが合う”ように作られたものもあります。このようなスコープは、フォーカスをいちいち調整しなくても良いため、飛び出してきた獲物を素早く射撃すること大物猟などに向いています。

 ただしフォーカスが合っていない状態でスコープを覗き込むと、レティクルの位置が実際の照準点よりもズレる、視差(パララックス)という問題が発生します。装薬銃を使った銃猟の場合は、照準点が少々ズレていたとしても、弾が命中すれば獲物に大きなダメージを与えるため、”獲物を捕獲する”という目的に、それほど影響しません。
 しかしエアライフルの場合は弾の威力が弱いため、命中した個所によって『獲物を仕留めきれるか・半矢になるか』が決まります。よってエアライフル猟では、フォーカスを細かく・素早く変更できるタイプがオススメです。

ディオプターダイヤル (Recticle Focus Ring) 

  ディオプターダイヤルは、レンズの度数を調整するダイヤルで、視度調整リングとも呼ばれます。眼鏡と同じ機能なので、個人の視力によってディオプターダイヤルを調整し、もっとも見えやすい設定を見つけましょう。

パワーセレクター(Magnification Adjustment Ring)
パワーセレクター

 パワーセレクターは、スコープの倍率を設定するつまみです。つまみには数値がならんでおり、この数値を本体に記された目印の位置に回すことで、倍率を設定できます。

 倍率は、スコープの名前に『〇-×』と表示されいます。例えば「3-9×44」という表記では、『最低倍率3倍、最高倍率9倍の性能を持っている』ということを示しています。

スコープの内部構造を学ぼう!

スコープの内部構造

 冒頭で述べたように、スコープは望遠鏡に比べて複雑な仕組みを持っているため、沢山の光学機器を使用しています。その仕組みは、メーカーや設計によって若干変わりますが、ここでは最もベーシックなスコープの造りについて解説をします。

接眼レンズ (Eyepiece)

 接眼レンズは、スコープや双眼鏡などの光学機器おいて、目に近い方のレンズを指します。このレンズは、鏡筒内に結ばれた光(実像)を、人間の瞳孔に収まるサイズに収束させる役割を持っています。よって接眼レンズは、その設計によって、接眼レンズと瞳までの最適なアイレリーフ(※解説は後述)が違います。

 一般的な双眼鏡であれば、接眼レンズに目をベタ付け( 短い アイレリーフ)でも良いですが、スコープの場合は銃を構えながら覗かないといけないため、アイレリーフはある程度長く設計されていなければなりません。特に装薬銃用のライフルでは、アイレリーフが短すぎると、反動でスコープが跳ね上がり、目の上を切ってしまう危険性があります。

対物レンズ (Objective Lens)

 対物レンズは、スコープや双眼鏡などの光学機器おいて、対象物に近い方のレンズを指します。このレンズは、入ってきた光を屈折させて鏡筒内にを作り出します。この像を接眼レンズで拡大(原理は虫眼鏡と同じ)することで、遠くのものを大きく見ることができます。

 光学機器では、入ってくる光の量が多ければ多いほど、明るく・鮮明な像を作り出すことができます。よって対物レンズの性能、例えば透過率や曲面精度といったパラメーターは、その光学機器の性能に直結しており、良い対物レンズを持つほどスコープや双眼鏡の値段が高くなります。なので、1台数万円のスコープと数十万円のスコープとでは、機能的にはほとんど変わりはありませんが、対物レンズのグレードが段違いなので、視界の透明感や明るさが断然違います

正立レンズ群 (Prism)

 スコープや双眼鏡の対物レンズ・接眼レンズは、両方とも凸レンズを使用しています。よって凸レンズ2つだけでは像が倒立した状態になってしまい、スコープを覗くと逆さに見えてしまいます。そこで対物レンズと接眼レンズの間に挟まれているのが、光の方向を変えるプリズムです。

 スコープの場合は対物レンズ・接眼レンズ意外にも、内部に沢山のレンズが使用されているため、プリズムも沢山配置されています。よって、これらのレンズ・プリズムをまとめて、正立レンズ群と呼ばれています。

レティクル (Reticle)

 レティクルはスコープの使用目的などによって様々な種類です。狩猟における最も一般的なレティクルは、クロスヘアと呼ばれる十字線ですが、何を使うかは好みで選びましょう。一応、レティクル上にドットが打たれたMILドット、またはMOAと呼ばれるタイプは簡易的な距離の測定が行えるため、狩猟においてとても便利です。

 またレティクルの中には、電池式で発光させるタイプ(よくスコープの名前に”E”の文字が付く)もあり、照準が付けやすくなるといったメリットがあります。

スコープのキーワードを覚えよう!

 スコープには、その性能を評価するための様々な用語があります。このすべてを熟知しておくことはかなり大変なので、ここでは対物レンズ径、ひとみ径、アイレリーフ、FoVの4つのワードを覚えておきましょう。

対物レンズ径 (Objective Diameter)

 対物レンズ径はスコープの名称に表示されており、例えば『4-12×44』というスコープの場合は、『最小倍率4倍、最高倍率12倍、対物レンズ径44mm』であることを示します。

 対物レンズ径は、大きければ大きいほど入る光が多くなるため、視界がクリアになります。しかし、スコープの場合は対物レンズが大きすぎると、銃本体に干渉して取り付けられません。いちおう対物レンズが大きいスコープ用に、取り付け位置が高いスコープマウント(ハイマウントリング)が販売されています。なおスコープの取り付け位置が高くなると、ほほ付けの位置を高くしないといけないので、銃には可変式ほほ当て(アジャスタブルチークパッド)も取り付けなければなりません。

ひとみ径 (Exit Pupil)

 ひとみ径(射出瞳径:しゃしゅつひとみけい)は、接眼レンズを少し離れたところから見たときに内部に見える円の直径を指します。このひとみ径は、(対物レンズの口径)÷(倍率)で計算ができ、この値が瞳孔の大きさ以下だった場合、接眼レンズで集めた光の一部しか瞳に入ってこないので、スコープを覗いたときの像が暗く見えてしまいます

 例えば、対物レンズ径44mmで倍率が3~12倍のスコープがあったとします。このスコープのひとみ径は、上記の計算から14.6mm~3.6mmになります。
一般的に人間の瞳孔は、明るいときで約2.5mm、暗いときで約7mmなので、このスコープは薄暗い場所(瞳孔のサイズ>3.6mm)に居ると、12倍率は視界が暗すぎて使用できないと判断できます。

 安価なスコープの中には、対物レンズ径のサイズが十分ではないのに、”高倍率”をウリにしているのもあります。しかしこのような物を買っても、薄暗い猟場では使い物にならなかったりするので注意しましょう。目安として、ひとみ径が3mmを切るようなスコープは、まともな設計がされていないので購入しない方がよいでしょう。

アイレリーフ(Eye Relief)

 アイレリーフは接眼レンズと瞳孔までの最適な距離です。虫眼鏡を目の前で前後させたとき、近すぎても遠すぎても像がぼやけて見えますが、最適な距離のときは綺麗に見えます。このときの最適な距離がアイレリーフです。

 アイレリーフの距離は接眼レンズの設計によって代わり、エアライフルの場合は8㎝ほど、散弾銃やライフルは10㎝以上のものがよく使われています。

FoV (Field of View)

 FoV(フィールドオブビュー)は、スコープを覗いたときに見える視界の広さです。例えば、倍率が3~12倍、FoVが10~2mのスコープの場合、『3倍率で覗いたときの視界の広さが10m、12倍率で覗いたときの視界の広さが2m』という意味になります。

おわりに

 今回は、数ある照準器の中でも人気No.1の『スコープ』について解説をしました。スコープについては今回の内容も重要ですが、特に”ゼロイン”についてはしっかりと理解しておかないと、上手く使うことができません。そこで次はスコープ中級編として、ゼロイン調整について学んでいきましょう!
 ひとまず今回はこのへんで。


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2 Comments

  1. 例えば「3-9×44」という表記では、『最低倍率3倍、最高倍率12倍の性能を持っている』ということを示しています。

    9倍の間違いでは??

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