小ぶりな『コガモ肉』は旨味も凝縮

 冬の水辺を眺めていると、様々な水鳥が仲良さげに泳いでいます。その中にみられるひときわ小さなカモ…「子鴨かな?」と思われるかもしれませんが、彼らの名前が『コガモ』。カモの子供ではなく、れっきとしたカモの一種です。

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コガモってどんな鳥?

 コガモはユーラシア大陸から北アメリカ大陸までの広い範囲に生息しており、日本では冬場に渡ってきたコガモを全国の水辺で見ることができます。飛来数はマガモの次に多く、在来のカルガモと合わせると“3番目に多いカモ”とされています。

マガモの半分程度の大きさしかない

 コガモの全長は約35㎝と大きさはキジバトとほぼ同じで、国内で見られるカモの中では最小種です。単独で居ることはほとんどなく、大抵は数羽から数十羽の群れをなして行動しており、ときおりマガモやカルガモの群れに数羽が混じっていることもあります。その様子から「マガモの子供なのかな?」と勘違いされることがありますが、越冬地である日本国内でマガモの幼鳥を見ることはまずありません。

緑色の翼鏡と頭部がポイント

コガモは片手で持てるぐらいの大きさ

 コガモは英語で“Green winged teal”(緑の羽をした小さなカモ)と呼ばれるように、緑色の翼鏡が特徴です。また、オスの頭部には目から流線形に伸びる緑色の羽毛があり、逆境&遠目からでもよく目立ちます。ただし、似たような小型のカモに非狩猟鳥の「トモエガモ」がいるため注意しましょう。

メスは見分けがつきにくいので要注意

 コガモのオスを見分けることはそう難しくはありませんが、メスはかなり厄介なので判別に慣れが必要です。特に、シマアジやトモエガモのメスは同じような体形をしているため、遠目からでは判別が難しくなります。
 見分けるポイントとして、シマアジの場合は翼鏡が「黒・白」のツートーン(※実際は緑色が含まれるが、あまり目立たたない)なので判別できます。
 トモエガモは口元に白い斑点があることで判別できますが、遠目からでは判別が難しいです。群れの中にトモエガモのオスはいないかなど総合的に見て判別しましょう。

コガモはどうやって捕獲する?

 コガモは、カルガモやマガモと同じような場所に生息していますが、体の大きな両者に比べて“狭い水辺”にも群れを作ります。例えば、小さな農業用貯水池や、木々がうっそうと茂っているような野池、また、幅1m程度の狭い用水路にも入り込んでいることがあります。
 カモ猟については下記のページでもまとめているので、興味がある方はチェックしてみてください。

舞い戻ってくることも多い

 カモ猟では、銃を発射すると、驚いたカモたちは遠くに飛んで逃げてしまうのが普通です。しかしコガモの場合は、なぜか飛び立った後に「グルグル」っと旋回して、同じ場所に着水することが多くあります。そこでコガモの群れに射撃をした後は、すぐに獲物を回収するのではなく、しばらくその場に隠れて様子を見るようにしましょう。

コガモ肉の味は?

 コガモはマガモやカルガモに比べて小ぶりなので、普通に解体をすると肉の歩留まりが落ちます。そこでオススメするのが、骨をつけて丸ごと料理する方法です。
 仕留めたコガモは野外で羽をむしり、内臓を抜いて持ち帰りましょう。詳しくは下記ページでまとめているので、興味のある方はチェックしてみてください。

オススメは「スモーク」

 下処理ができたコガモは、骨を外さずにそのままソミュール液に漬けましょう。ソミュール液とは、濃度4%程度の塩水に、塩・砂糖、各種スパイスを加えて一度煮立てた“漬け汁”です。レシピは様々ですが、コガモには醤油をベースにした和風の甘辛い味がよく合います。

 ソミュール液に一晩漬けこんだコガモは、桜チップなどでスモークしましょう。「スモーク(燻製)」というと大掛かりな装置が必要そうに思えますが、台所でも作ることは可能です。
 まず、深めの鍋にアルミホイルを敷き、その中にチップを入れて火にかけましょう。鍋に100円ショップで売っている網を載せて、煙が立ってきたらコガモ肉を載せて蓋をします。
 火にかける時間は仕上がりの好みによって変わりますが、「70℃で1時間」が目安になります。

ダンボールでも燻製器は作れる

 もう少し本格的なスモークを楽しみたいのであれば、ダンボールとアルミホイルを使って簡単に燻製器を作ることができます。下図の「ダンボールロースター」の熱源にチップを入れる容器を載せて燻せば、スモークの完成です。

噛むたびに旨味あふれるコガモ燻製

コガモの燻製

 コガモは小ぶりなぶん、マガモやカルガモに比べて味わいが凝縮されています。さらに燻製にして余分な水分を抜くことで旨味を閉じ込めることができます。このコガモの燻製の味わいは手間に見合う圧巻の一品!普通に解体したら食べられないような首ツルの肉(せせり)や手羽先まで、しゃぶりつくように楽しみましょう!

まとめ

  1. コガモの体長はマガモの半分以下。似た種類の非狩猟鳥がいるので注意が必要
  2. コガモは舞い戻ってくることも多いので、同じ場所で大量捕獲が可能
  3. 肉は小ぶりだが旨味は凝縮されているので、骨をつけて丸ごと燻製にするのがオススメ
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この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

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