わな猟に最適な服は「オレンジオーバーオール」。そして私が「オレンジぴちぴちおじさん」である理由

オレンジ色の服

福岡ハンターズ・キャンプのわな猟会員様は、皆一様に「オレンジ色のオーバーオール(つなぎ)」を着ています。別にこの服装を強制しているわけではないのですが、実はこの「オレンジ色のオーバーオール」を選ぶのには、わな猟を行ううえで非常に合理的な理由があります。今回はそのメリットについてお話しします。

目次

オレンジ色であることの理由

銃猟の世界では、仲間同士の誤射を防ぐためにオレンジ色のベストや帽子を着用するのがマナーです。一方で、わな猟では誤射の心配はほとんどありません。それでもあえて「目立つ格好」をするのには、非常に重要な意味があるのです。

「地元の方々」に目立つ服装

わな猟において、自分たちの存在を真っ先に認識してもらいたい相手。それは他のハンターではなく「地元の人たち」です。
特に猟期外の里山で普通の格好でウロウロしていると、地元の方から
「タケノコを盗みに来たんじゃないか?」
「不法投棄をしているのでは?」

といった疑いの目を向けられる可能性が高くなります。
そこで役に立つのが、全身オレンジ色のオーバーオールです。
これを着ていれば、遠目からでも
「何かの作業をしている人だ」と理解してもらえます。

「怪しい人」は「怪しい恰好」をしないパラドックス

「全身オレンジ色の目立つ格好をして、かえって怪しまれるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、ここが心理の面白いところ。
想像してみてください。
もしあなたが、本当に「悪いこと」を企んでいる人間だとしたら、わざわざ遠くからでも一目でわかるような「派手で目立つ恰好」を選ぶでしょうか?

本当にやましいこと(盗掘や不法投棄)を考えている人は、できるだけ誰の記憶にも残らないような地味な格好を選ぶものです。
つまり、あえてド派手なオレンジ色を全身に纏っていることは、
「私は逃げたり隠れたりするようなことはしていませーん!」
と公言しているようなものなのです。

実際に、このオレンジ色のオーバーオールを着て活動していると、私の正体を知らない地元の方々から、
「消防の方ですか?」
「測量調査に来ているのですか?」
といった、良い意味での「勘違い」をしていただけることが多いのです。

「通報」を未然に防ぐファーストインプレッション

もちろん、たとえ目立たない恰好で山にいる所を声をかけられたとしても、はっきりと「イノシシやシカの捕獲作業をしています」と説明すれば、理解していただけるはずです。
しかし、現代において厄介なのは、声をかけられる前に通報されてしまうというリスクです。
誰もがスマートフォンを手にしている今、少しでも「怪しい」と感じられたら、すぐさま警察へ通報される可能性があります。
そして、やましいことが一切なくても、通報されれば警察官による事情聴取により時間を無駄にしてしまいます。

だからこそ、第一印象(ファーストインプレッション)は、わな猟を円滑に進めるうえで極めて重要なのです。
地元の方に目撃された際、まず
「何の作業をされているのですか?」と声をかけてもらえるか。
それとも、問答無用で「110番」を押されてしまうのか。
その分かれ道は、服装の第一印象で変わってくるのです。

マダニ対策として「上下一体型」の強み

狩猟では、山道を歩いていたり屠体に触れるなどして、マダニが這い寄ってくることが日常茶飯事です。
ここで「オーバーオール」が真価を発揮します。
上着とズボンが完全に繋がっているため、マダニが体内に潜り込める経路を、「首元」と「袖口」に限定できるのです。

手足の毛はセンサーの役割がある

以前、別の記事でも触れましたが、私たちの腕やスネに生えている毛は、マダニの接触を敏感に察知する優れたセンサーとして機能します。
しかし、服の隙間からすんなり体内に侵入されてしまうと、そのセンサーに触れることなく、脇や股といった皮膚の柔らかい場所に辿り着かれ、気付かぬうちに吸血されてしまいます。
オーバーオールを着て侵入口を塞ぐことは、マダニを早期発見するためでもあるのです。

オレンジ色は「マダニ検出器」

また、あの鮮やかなオレンジ色もマダニ対策に一役買っています。
マダニは小さく、黒や茶褐色をしているため、暗い色の服の上で見つけるのは至難の業です。
しかし、明るいオレンジ色の生地の上なら、動く小さな黒い点は非常に目立ちます。
山から上がる際や、作業の合間にパッと自分の体を見るだけで、「あ、付いているな」と瞬時に判断し、払い落とすことができるのです。

高濃度ディートを気兼ねなく使える

虫除けディート

マダニ対策には、強力な虫除けスプレーが欠かせません。
マダニに暴露する可能性が高い狩猟では、一般的な「レジャー用」ではなく、医薬品レベルで防虫成分「ディート」が高配合された物を選びます。

しかし、このディートには、プラスチックや合成樹脂を溶かすという厄介な性質があります。
そのため、ゴアテックスのような撥水・防水加工済みのアウトドアウェアに吹きかけると、表面のコーティングを傷めてしまう恐れがあります。
その点、ワークウェアのオーバーオールは、生地を傷める心配がほとんどありません。
適当に「ばーーーー!」っと全身に吹きかければ済むので、手間がいらないのも良い点です。

私が「ぴちぴちおじさん」である理由

私は周囲の方から、「なんでそんなにピチピチのオーバーオールを着ているんですか?」と尋ねられることがあります。
それはもちろん、私が「ぴちぴち」の服を着るのが大好きだから……ではなく、「マダニ対策」を徹底した結果だったりします。

「乾燥機」をかけると縮む

マダニは通常の洗濯だけでは死にません。
そのため、狩猟が終わった後のオーバーオールは、洗濯後に乾燥機にかけて高温殺菌をします。
しかし、ここで問題が発生します。
オーバーオールの素材である綿は、乾燥機にかけると極端に縮むのです。
もちろん、極端な縮みを防止するため、私は(そしてわな猟会員様にも)ポリエステル混紡(ポリコットン)を選ぶようにオススメしています。

失敗しない「オーバーオール」の選び方

これまでお話した通り、わな猟ではオレンジ色のオーバーオールを強くオススメします。
しかし、乾燥機にかけると縮んでしまうため、購入する際は必ず「1、2サイズ上」を選ぶようにしましょう。
最初は袖が余ってダボついているように感じても、数回乾燥機にかければジャストサイズに育ちます。

おすすめは「ワークマン」の2,900円

これまで数多のメーカーを試してきましたが、最終的に私が愛用しているのがワークマンのカラー綿混ツナギです。
この商品、2,900円という低価格なので、返り血が付いてシミになったり、ピチピチになっても、気軽に使い捨てることができます。
また個人的に、スマホがすっぽり入るファスナー付き胸ポケットが最高に使い勝手がよいです。
山の中で物を落としたら、発見するのは絶望的。
それがもし車のキーだったら……想像しただけで冷や汗が出ます。
山の中でかがんだり、しゃがんだりすることの多いわな猟では、ポケット類は必ずファスナー付きの物を選びましょう。

この記事の『まとめ』を見る
  1. 全身オレンジ色をしていると、「何か作業をしに来ている人」と思われやすい。
  2. 「作業をしている人」と思われると、通報されるよりも前に声をかけてもらいやすい。
  3. マダニ対策として、上下一体のオーバーオールが役に立つ。
  4. オレンジ色だとマダニが這い上がってもわかりやすい。
  5. 乾燥機にかけると縮むので注意。

詳しくは、この書籍をチェック!

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