クレー射撃は、散弾銃で空中に放出されたクレーを撃ち落とすスポーツです。特殊な道具を使う非日常感、クレーを撃ち砕く爽快感、そして奥深い競技性など、多くの魅力があります。この記事では、クレー射撃の魅力を詳しく解説します。
クレー射撃とは?
クレー射撃は、19世紀にヨーロッパで狩猟の訓練として始まったとされています。当初は本物の鳥を標的にしていましたが、後に素焼きの皿が使われるようになりました。この素焼きの皿は現在でもクレーピジョンと呼ばれ、当時の名残をとどめています。
手のひらサイズのクレーピジョン

クレーピジョン(以降「クレー」と省略)は、直径110mm、厚さ25mmと手のひらほどの大きさしかありません。競技では、この小さなクレーが時速80~120kmという高速で放出されます。射手は、散弾銃を使い、このクレーピジョンを素早く撃ち落とす技術と集中力が求められます。
散弾銃で素早くクレーを撃破する

クレー射撃で使用する散弾銃は、一見扱いが難しそうに思えますが、基本的な構え方と照準のコツを掴めば、初心者でもクレーに命中させることができます。
散弾銃から放たれる弾は、時速1400mもの速さでクレーを撃ち抜き、その瞬間の爽快感は格別です。
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クレー射撃の魅力とは!?
クレー射撃は、世界中で多くの人々に愛されているスポーツです。その魅力は、以下のように多岐にわたります。
特別な道具『散弾銃』を扱える

クレー射撃の大きな魅力の一つは、普段の生活では触れることのない散弾銃を扱えることです。銃を手に取り、狙いを定めてクレーを撃ち抜くという非日常的な体験は、他のスポーツでは味わえない興奮とスリルがあります。
ストレスをぶっ飛ばす爽快感
散弾銃の轟音とともに、クレーが粉々に砕け散る瞬間は、日頃のストレスを吹き飛ばすほどの爽快感があります。ゴルフの「ナイスショット!」、ボウリングの「ストライク!」、ダーツの「ブルズアイ!」などを達成した時の感覚に似ています。この爽快感は、心身ともにリフレッシュさせてくれるでしょう。
競技の目的は多種多様

クレー射撃には、スキートやトラップといった代表的な競技の他に、ラビット、トリプルトラップ、ランニングターゲットなど、さまざまな種目があります。
競技性を追求して国体やオリンピックを目指すこともできますし、仲間と和気あいあいと楽しむこともできます。自分のスタイルに合わせて、クレー射撃の楽しみ方を見つけられるのが魅力です
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クレー射撃の真髄は身体能力よりも〝精神力〟
クレー射撃と聞くと、優れた反射神経が不可欠なスポーツだと思われがちです。しかし、実際には身体能力よりも精神力が重要となるスポーツです。
健常者とルールはほとんど変わらない『パラクレー競技』

その証拠となるのがパラクレー競技の存在です。パラクレー競技は、身体の欠損や四肢の不自由な人たちが行うクレー射撃競技です。
一般的に「身体障碍者スポーツ」というと、身体障碍者向けに〝特別ルール〟が設けられます。しかしパラクレーの場合、本質的なルールは健常者ルールと変わりません。
違いがある点は、障碍の部位に応じた〝補助具の規定〟だけであり、クレーが放出されるスピードや採点方法といったルールは変わりません。
フィジカルの優劣が差を生まない『ユニバーサルスポーツ』
クレー射撃は、年齢、性別、体力といった身体的な要素に左右されにくいスポーツです。そのため、誰もが平等に楽しめるユニバーサルスポーツとして知られています。
実際に、オリンピックのクレー射撃競技には男女混合種目があり、性別による成績の差はほとんど見られません。
個性を活かせる自由度の高さ

クレー射撃がユニバーサルスポーツである理由の一つに、射撃スタイルに自由度があることが挙げられます。もちろん、基本的な構え方や撃ち方はありますが、最終的には自分に合ったスタイルを追求していくことが大切です。
自分の〝弱み〟だと思っていたことが、実は〝個性〟になる。それもクレー射撃の魅力の一つです。
重要なのは自分に打ち勝つメンタルの強さ

クレー射撃は、引き金を引けば弾が発射されるため、初心者でもクレーを撃ち落とすこと自体は難しくありません。しかし、コンスタントにクレーを撃ち抜くには、練習とセンスが必要です。
身体能力よりもメンタルの強さが求められるのが、クレー射撃の大きな特徴です。「なかなか当たらない…」と落ち込んだり、「自己ベスト更新まであと1点だ!」と緊張したりすると、普段なら当たるはずのクレーも外してしまうことがあります。
このように、クレー射撃は「他者と競うスポーツ」であると同時に、自分自身との戦いでもあります。どのような状況でも集中力を維持し、冷静さを保つ精神力は、瞑想やヨガにも通じるものがあるかもしれません。
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狩猟の練習にも最適

クレー射撃は、スポーツとして楽しむだけでなく、銃猟の技術を向上させるための優れたトレーニング方法でもあります。限られたチャンスを確実にものにするためには、クレー射撃で射撃技術と精神力を磨いておくことが不可欠です。
正しい据銃と速さを身に付ける

クレー射撃を練習することで最も鍛えられるのは、据銃の正確性とスピードです。特にスキート競技では、銃を降ろした状態からスタートするため、銃を素早く構えて正確に狙いを定める動作を繰り返し練習することになります。
動的射法を身に付けることができる
クレー射撃のように、動いている物体を銃で狙う射撃技術を動的射撃といいます。動的射撃には、「スイング射法」と「リード射法」の2つの主要な技術があり、どちらの技術においても「正しい据銃姿勢を保ちながら、体を大きく動かす」ことが重要です。
これらの動的射撃技術を習得するためには、クレー射撃で何度も練習を重ね、体に覚え込ませるしかありません。
自分の銃の特性を知る
銃は、照準の高さ、グリップから引き金までの距離、銃床の長さなど、それぞれに特性が異なります。もちろん、自分の体に完全にフィットするようフルオーダーメイドすることも可能ですが、一般的には、既存の銃の「クセ」に合わせて構え方を調整する必要があります。
クレー射撃の練習を重ねることで、自分の銃の特性を深く理解することができます。「この銃は少し下を狙うと当たりやすい」「この銃は発射時に右に反動が大きい」など、銃のわずかなクセを把握することで、より正確な射撃が可能になります。
急な獲物の出現にも焦らなくなる

狩猟の現場では、いつ、どこで獲物が出現するか予測できません。獲物が突然現れた場合、焦ってしまい、弾が当たらなかったり、狙いが外れて流れ弾が発生する危険性もあります。
クレー射撃では、クレーの出現をある程度予測できるため、完全に狩猟のシミュレーションができるわけではありません。しかし、「獲物に狙いを定めて引き金を引く」という一連の動作を繰り返し練習することで、実際の狩猟における緊張や焦りを軽減し、冷静に対応する能力を養うことができます。
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まとめ
- クレー射撃の魅力は、特殊な道具である散弾銃で、豪快にクレーを撃破する爽快感にある
- 性別や年齢、体力差によって結果に影響がでにくいメンタル重視のスポーツ
- スポーツだけでなく、狩猟の練習にも最適
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