狩猟免許試験の申請をおこない予備講習まで受講したら、次はいよいよ狩猟免許試験本番です!第一関門の知識試験と適性試験は決して落とす試験ではありませんが、それでも無勉強でパスできるほど簡単ではありません。しっかりと予習をしておきましょう!
試験の時間割
流れ | 時間の目安 |
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受付 | 9:00 ~ 9:25 |
知識試験 | 9:30 ~ 11:00 (途中退室可) |
適性試験 | 11:00 ~ 12:30 |
昼休憩 | (適正試験が終わったら) ~ 13:00 |
試験結果中間発表 | 13:00 ~ 13:20 (不合格者は解散) |
技能試験 | 13:00 ~ 17:00 |
試験結果発表 | 1週間程度後にWEB上や役場掲示板などに張り出し |
試験の時間割は都道府県によって違いがありますが、だいたい上のような流れで行われます。全国で共通している点としては、午前中に知識試験が行われ、午後一で合格発表があります。
知識試験に合格した人は午後から実技試験が行われます。適性試験が知識試験のあとに行われるか、中間発表後に行われるかは、都道府県によって違いがあります。
試験の受付
試験会場の入り口で手続きを済ませると会場内に案内されます。受験申請後に受験番号が付いた受験票が住所に郵送されているはずなので、その番号が書かれている席に座って最終チェックをしましょう。
知識試験の合格基準
知識試験は問題数30問、三肢択一式、制限時間90分で、70%以上正答で合格です。
試験問題の免除と併願時の選択問題
すでに別区分の免許を所持している人は、試験内容から『鳥獣保護法に関する問題』が免除され、問題数は15問に短縮(※制限時間も30分に短縮)されます。
併願受験の場合は鳥獣保護管理法に関する問題は“ほぼ”同じ問題が出題されます。猟具の取り使いや野生鳥獣に関する問題は試験区分によって違います。
時間はたっぷり・途中退出もできる
試験の回答方法は3択から1つを選ぶ方式なので、記述問題や計算問題などはありません。そのため人によっては“5分”ほどですべて回答できるため、時間があまってしまう人も多いと思います。試験は30分程度で途中退室が可能(都道府県によってはダメかもしれませんが)なので、自信がある人は退出しましょう。
知識試験の出題範囲
知識試験は、受験申請時にもらえる『狩猟読本』(一般社団法人大日本猟友会刊行)のテキストから出題されます。詳細はこの本で勉強してください。
出題範囲と出題数はだいたい決まっており、次のように配分されています。
鳥獣保護管理および狩猟に関する法令
- 鳥獣保護管理法の目的
- 狩猟鳥獣、猟具、狩猟期間など
- 狩猟免許制度
- 狩猟者登録制度
- 狩猟鳥獣の捕獲が禁止されている場所、方法、種類など
- 鳥獣捕獲の許可、鳥獣の飼養許可、ヤマドリおよびオオタカの販売禁止について
- 猟区
- 狩猟者の狩猟にともなう義務(違法捕獲物の譲渡禁止を含む)
この項目から出題されるのは約13問です。試験の半分は上記内容から出題されるので、しっかりと話を理解しておきましょう。
鳥獣保護管理法がベースとなる日本の「狩猟のしくみ」については、下記ページにも詳しく解説をしていますので、併せてご覧ください。
鳥獣に関する知識
狩猟鳥獣に関する問題
- 狩猟鳥獣および誤認されやすい鳥獣の形態(足跡などの判別)
- 狩猟鳥獣および誤認されやすい鳥獣の生態(食性や習性の判別)
- 鳥獣に関する生物学的な一般知識
鳥獣に関する問題は約9問出題されます。「国内で記録されている鳥の種の数(約550種)」や「獣類の『頭胴長』を測るのはどこからどこまで(頭から尻尾の付け根まで)」のような、ちゃんと勉強していないとわからないような内容も多く含まれているので注意しましょう。
現時点では情報が歯抜けになっていますが、狩猟鳥獣に関しては下記のページで詳しく解説をしています。もちろん「カラス肉ってどんな味?」みたいな問題が出ることはないですが、近年中に狩猟免許試験対策も兼ねたページに順次改装を予定しています。
狩猟鳥獣に関する問題
- 鳥獣の保護および管理(個体群管理、被害防除対策、生息環境管理)
- 鉛弾による汚染の防止(非鉛弾の取扱い上の留意点)
- 人獣共通感染症の予防
- 外来生物対策
鳥獣に関しては、上記に関する項目からは約2問出題されます。平成26年に改正された鳥獣保護管理法の『管理』に関する話ですね。
このへんの話題は、下記ページの『指定管理鳥獣捕獲等事業』に関するところで詳しく解説をしていますが、狩猟初心者のかたにはかなり難しい内容かと思います。出題数は2問程度なので、試験対策としては切ってしまっても良いでしょう。
鉛弾に関する野生鳥獣の問題に関しては、下記ページで詳しく解説をしています。
人獣共通感染症、外来生物法に関する話題は、今後別のページで詳しく解説をする予定です。
猟具に関する知識
第一種銃猟免許 | 装薬銃・空気銃の種類、構造、機能 装薬銃・空気銃・実包の取り扱い |
第二種銃猟免許 | 空気銃の種類、構造、機能 空気銃の取り扱い |
わな猟免許 | わなの種類、構造、機能 わなの取り扱い |
網猟免許 | 網の種類、構造、機能 網の取り扱い |
猟具に関する問題は約6問出題されます。上記のように出題内容が違うので、あなたの受ける免許区分に応じた内容を勉強しておきましょう。
第一種・第二種銃猟では銃刀法の知識が必須
第一種・第二種銃猟の試験では銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に関する内容が多く出題されます。これは銃猟を行ううえでもう一つ必要となるライセンス・猟銃・空気銃所持許可の筆記試験(「猟銃等講習会初心者講習」の考査)にも出題される内容なので、今のうちにしっかりと勉強しておきましょう。
第一種では+火取法も必須
装薬銃(散弾銃やライフル銃などの猟銃)を使う第一種銃猟では、銃刀法の知識に加え火薬類取締法(火取法)の知識も必要となります。
火取法の問題では、「自宅に保管できる火薬類の総量は?(実包・空包合計で800個以下、雷管2,000個以下、火薬類の合計5kg以下)」のような“細かい”数値を多数覚えなければなりません。
わな・網は猟具の基準を知る
わな・網に関しては、猟具(法定猟法として使用できる道具)の種類とその特徴についてよく出題されます。この知識は、実技試験の「わな・網の違法品判別」や「わな・網の架設」でも問われる内容なので、詳しくは実技試験対策に関するページをご参考ください。
近年では電波法の問題も出題される
狩猟では、仲間同士で連絡をするのに無線機(トランシーバー)が使用されます。このトランシーバーの取扱いには電波法と呼ばれる法律が絡んでいるため、近年ではこれに関する問題が「猟具に関する知識」として出題される傾向にあるようです。
電波法は、特に“アマチュア無線”に関してはものすごく専門的な知識が必要になるのですが、おそらくそこまで複雑な話は問われないと思います。「無線機を使う場合は電波法を守らないといけない!」、「違法な電波を発する猟犬用無線は使っちゃダメ!」ぐらいの知識で十分・・・だと思います。
適性試験
視力(矯正視力含む)が 両眼0.7以上かつ1眼が0.5以上 単眼の視力が0.3に満たない者、または1眼しか見えない者は 他眼の視野が150度以上かつ視力が0.7以上 | 視力(矯正視力含む)が 両眼0.5以上 1眼しか見えない者は 他眼の視野が150度以上かつ視力が0.5以上 |
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聴力(矯正聴力含む)が 10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる聴力 |
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狩猟の安全を行うことに支障を及ぼすおそれのある四肢又は体幹の障害がないこと。 四肢又は体幹に障害がある者は、その者の身体の状態に応じた補助手段を講ずることにより、『狩猟を行うことに支障をおよぼすおそれがない』と認められること |
適性検査は視力、聴力、運動能力が『狩猟に適しているか』を判断する試験です。“一般的な”アウトドアができる能力がある人であればクリアできる条件なので、安心してのぞみましょう。
視力
視力は一般的な「C環」(万国式試視力表)で検査されます。銃猟の場合は「両眼0.7以上」と結構ハードルが高めですが、メガネやコンタクトを付けた『矯正視力』でもOKなので問題ないと思います。
聴力
『10m先から90dBの警音器』というのは言葉にしたら難しそうですが、要は「10m先のイヌの鳴き声が聞こえる」ぐらいのレベルです。だいたいの場合は「試験官と言葉のやり取りができているか」で検査されます。
運動機能
運動能力の能力のテストは、手のグーパー運動や手首回転運動、腕回し、肩回し、屈伸運動などでチェックされます。補助具を使った状態でも、試験官が「よし!」と判断すれば合格です。
中間合格発表
知識試験と適性試験に合格したら、次はいよいよ実技試験です。狩猟免許で落ちる人の9割はこの試験。気を引き締めてのぞみましょう。
なお、惜しくも知識・適性試験で不合格となった場合は、この時点で解散となります。次回に向けて対策を練りましょう。
まとめ
- 知識試験は午前中に行われる
- 出題数は全30問、三肢択一式、制限時間90分で、70%正答で合格
- すでに免許を持っている人は15問になる
- 適性検査は視力、聴力、運動能力のテスト