イノシシやシカといった大型獣の解体は、吊るして行うのが最も衛生的です。ただ、個人で吊るす場所を探すのはなかなか難しいですよね?そこで今回ご紹介するのが『タコマン三脚』です!これがあれば吊るし解体がムッチャ楽になってオススメですよ!
吊るし解体のメリット
捕獲した屠体の解体には、『寝かせる解体』と『吊るす解体』の2パターンがあります。どちらが良いかは人によって様々な意見がありますが、“衛生的”という観点から見ると、やはり『吊るす解体』が良いと言えます。
野外で吊るし解体をするのは超大変
獲物を吊るして解体するのには、次のようなメリットがあります。
- 立ったまま作業ができるので作業が楽
- 肉が土や汚水に振れることがないため衛生的
- 後ろ脚を吊るすと内臓が頭側に落ちるので、もしも内臓を傷つけてしまっても、可食部の多いモモ肉が汚染されにくい
「なるほど。じゃあ野外でイノシシやシカを解体するときは、木に吊るしてやればいいんだね。」
・・・と思ったそこのあなた。
山の中で獲物を吊るして解体するのは、想像以上に大変なことです。
例えば、山で吊るして解体するのには、次のような道具が必要になります。
吊るし解体に使用する道具(一例)
- 6mmロープ 30mほど
- カラビナ数個
- 解体ハンガー
- 滑車
- ビニールシート
- 肉を入れる袋
- ゴム手袋
- 布巾類
- 埋没用のスコップ
ざっくり3kgほどでしょうか。重さだけでなく、カサもあります。捕獲した後の銃は解体の邪魔になるので、どこかに置いておきたいですが、銃を車に置きっぱなしにしているところをポリスメンに見つかったらお縄にされます。なので、いったん銃を置きに家に帰らないといけません。
設置作業も超大変!
家から再び猟場に戻ってきて、
それから獲物が吊るせそうな木を探し、
セットして、
解体して、
重たい肉を背負って山を下り、
ああ~、日が暮れてきた。
うーーーーん、たいへーーーん!
獲物が獲れるとテンションが高くなるので、少々の苦労はいとわなくなりますが、やはりそれが毎回だとしんどくなります。狩猟を長く続け、生涯の趣味にするためには、楽をする手段を考えることが何よりも重要です。
タコマン三脚セットを利用したメリット
さて、そんな『吊るし解体』を手軽に行えるようになるのが、今回ご紹介するタコマン社製の三脚です。この「タコマン三脚」は主に造園業や管工事に使われる道具で、鉄管や倒木などを吊り上げるのによく使われています。これを狩猟に使用するメリットは主に次の3つです。
- どこでも設置できる
- 設置が簡単
- 安い
タコマン三脚では通常、ホイストやチェーンブロックと呼ばれる道具を使って重量物を吊り上げるのですが、イノシシやシカ(最大で100㎏程度)であれば、軽トラを使って吊り上げることも可能です。
タコマン三脚を買ってみた
これまでの解体作業にとんでもない労力を払ってきた、不肖オクタマニア。しかし今回、エレガントな吊るし解体ができるように、タコマン三脚の購入に踏み切りました。
以下、購入した商品です。総額は20,111円でした。商品のリンクはこのページの最後に載せていますので、とりあえずご覧ください。
「タコマン三脚ヘッドTS-10」 6,900円
まず必要なのが、タコマン三脚のヘッド。これに市販の単管を差し込めば、即座に三脚が作れるというわけですね。
「タコマン 三脚ベース」 4,311円
地面と単管が滑らないようにするストッパー。ロープは足同士を結ぶことで、崩れるのを防止します。
「ハンガー・ホイストセット」4,700円
イノシシやシカの足にフックを差し込んで、引っ張り上げるためのハンガーです。これにロープと滑車がセットになっているタイプ。狩猟用品専門店などでは6,000円以上しますが、Amazonで買えば4,700円です。
「単管パイプ 3M(48.6Φ)」3本 約4,200円
工事現場で使われている、普通のスチール製単管パイプ。カインズで買いました。1本1,400円で半永久的に使えます。イノシシぶん殴り棒にも使えます。
「象印チェンブロック1t」9,711円
重たい物を持ち上げることができるチェーンブロック。今回は軽トラで引っ張るので買ってませんが、例えば、発電機や農機具など重量物を持ち上げて、トラックの荷台に乗せることが出来ます。
他にも「抜根」や「岩を動かす」といった重労働も簡単に出来てしまいます。田舎暮らしには、あれば何かと便利アイテムだと思います。お値段も1万円程度と、お手頃。
タコマン三脚、設置したった。
単管のサイズは少し悩みましたが、3mの単管パイプを使って、脚の角度を70°に広げ、約2.8m(底辺約2m)のサイズを作ることにしました。3mの単管を軽トラに積むと、上のような感じになります。単管がはみ出した部分は『地面から高さ2.5m以内』に収まるので、道路交通法的にも大丈夫ですね。
タコマンヘッドと単管を連結させる
まずは三脚ヘッドを地面に置き、単管パイプを一本づつ取り付けていきます。
二本目
三本目
説明書には「ボルトの向きはどっちでもよい」とありましたが、外向きのほうがナットの締め付けがしやすいと思います。また、吊り下げ時にチェーンやフックがボルトに干渉せずに済みます。
ヘッドに単管を差し込んだ図。初めて組み立てるためには、半径3m超の場所がいりますね。一度組み立ててしまえば折りたたんで収納できます。
単管に足を着けて、立ち上げる
単管の端に三脚ベースを取り付けていきます。×3本。ただ単管に足を差し込むだけなので、難しい作業ではありません。
三脚ベースを取り付けたら、立ち上げます。
三脚ヘッドを持って・・・・
どっこい
しょういち。
三脚ベースがあるので、手を離してもヘッドが落ちてくることはありませんでした。一人で組み立てることができるので、ソロハンターにもオススメできます。
立ち上げが終わったら、脚の角度をきつくしていきます。
完成!!
安全のため脚が開かないように三脚ベース同士を付属のロープで締結しておいた方が良いです。が、今回は省略!
タコマン三脚の注意点。カラビナが必要かも。
「タコマン三脚、超簡単」とウキウキしていましたが、ここで超ショックなことが。
ホイストのフックがヘッドにはまらんやんけッ!!
タコマンヘッドにはリングが付いているのですが、これが用意しておいたホイストのフックに合いませんでした。
今回は緊急的にロープワークでホイストを結びましたが、サイズが合うカラビナがあった方が安全だと思います。
獲物を吊るす
用意したホイストは動滑車が付いているので「3倍力システム」、つまり、引っ張る重さは1/3になります。それでも、100㎏越えのイノシシを吊り上げるとなると33㎏・・・これは結構辛いです。というわけで、軽トラを使った獲物の懸吊を実践式で解説します。
荷台に獲物を載せましたね、脚をフックに掛け(ているフリをしてい)ます。
ロープの端を軽トラに結びます。ロープワークは「もやい結び」でしっかりと結びましょう。。
この状態で軽トラを発進させると!?
フックが持ち上がって獲物が吊るされるという算段です。
今回は獲物が手に入らなかったので、僕(約90kg)がぶら下がってみました。
全然問題なし!ひゃっほぅ!
タコマン三脚には、こんな使いかたも
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!解体中に急に雨が降ってきたぞ!」
という時でも大丈夫!
4x4mのビニールシートを掛けます。暗くなって作業を中断したいときにも使えて、無いよりはあったほうが良いかなと思います。
なお、タコマン三脚にはこんな使いかたもあります。「田舎」の生活では非常に役に立つ道具だと思います。
撤収も超簡単
実際に組み立てにかかった時間は10分程度、解体が終わったら折りたたんで、次回は開くだけなので随分楽になります。重いけど重心をつかめば一人でも運べなくはない。
まとめ
- イノシシ・シカを吊るして解体するのは衛生的だが、手間が物凄くかかる
- タコマン三脚があれば、比較的楽にイノシシ・シカを吊るすことができる
- タコマン三脚の費用は、すべて揃えて2万円ぐらい。設置は10分、撤収も楽楽