捕獲したカモは、野外で羽剥き・腸抜きまでの下処理を行い、なるべく冷やして持ち帰りましょう。丸鳥(下処理済のカモ)の解体には色々ありますが、今回は基本的な〝八落し〟という解体方法をご紹介します。
カモの解体Youtube動画
カモの解体方法は、上記Youtubeチャンネルでも解説をしているので、ご参考ください。
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頭や内臓を取り除く

まずは頭を落としましょう。羽を剥いたカモは頭を落とすと種類がわからないため、頭付きで持ち帰るのが普通です。頭付きの状態で持ち帰るのに抵抗があるのなら、猟場で首の羽毛を剥いでから頭を落としましょう。

首ツルから食道・気道を分離する

頭を落としたら、次に首ツル(頸椎)に癒着している気道と食道を引きはがします。首の付け根に指を入れて、気道と食道の癒着を剥がしておきましょう。
翼の先と足は可食部がほとんどないので切り落とします。翼の先と足先は、頭と同じように猟場で落としても構いません。

内臓を取り出す

カモの尻まわりを触ってみると、U字型をした坐骨(ざこつ)の位置がわかります。この坐骨に沿って刃を入れ、肛門を丸く切り取りましょう。腸抜きをしていない場合は刃先で破いてしまう可能性があるため、慎重に作業をしてください。
肛門を取り外したら坐骨を左右に広げます。そのまま指を突っ込んで砂肝を握り、内臓をすべて掻きだします。手順④で食道と気道を首ツルから外しているので、簡単に引き抜くことができます。
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部分肉に分割する

内臓を外したら、次にモモの付け根に切れ込みを入れます。皮を切ると足と腰の関節(大腿骨)が見えるので、左右に開いて関節を外しましょう。
次に背中側を上に向けて十字に切れ込みを入れます。横の切れ込みは、足を持って動かすと、腰の筋肉の付け根がシワになるので、そのラインに沿って刃を入れます。縦の切れ込みは背骨に沿って入れます。
上身と下身に分ける

内臓を処理したら、次に背中の切れ込みから刃を入れて、肩甲骨と肋骨の癒着を切断しましょう。両側の肩甲骨を外したら、首の付け根に両手の指を入れて〝割る〟ように引っ張ると、上身と下身に分離することができます。
肩甲骨の癒着を剥ぐと上身が外れる

この辺りは初めての人には難しいと思うので、骨格を見ながら説明をしましょう。動物の腕は、足の大腿骨のような関節はなく、肩甲骨が肋骨に癒着しています。そこで、この癒着を切りはがすことで、首から背中・腰にかけての部位(下身)と、腕・胸の部位(上身)に分離できます。

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下身を解体する

分離した下身は、まず十字に切れ込みを入れた場所から刃を入れて、骨(腸骨)に沿って肉を切り離していきます。ある程度まで骨から肉を削ぎ取ったら、引っ張って剥がしましょう。
モモを分離する

下身からモモを切り離すとき、腸骨のくぼみにある腰肉(ソリレス)を取り忘れないようにしましょう。鳥の腰肉は小さいですが、旨味が凝縮した希少な部位です。ちなみに「ソリレス」はフランス語で「それを残す奴はバカ」と言う意味なのだとか。
大腿骨を抜骨する
カモの場合、足があまり発達していないため骨付きのまま料理することも多いですが、もし精肉にしたいのであれば、肉を一枚に開いて、大腿骨、脛腓骨(けいひこつ)、膝蓋骨(しつがいこつ)を取り除きます。
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上身を解体する

上身からは、まず胸を上にして寝かせ、中心の突起に沿って左右に切れ込みを入れます。次に、骨(胸骨)の曲面にそって刃を入れていき、骨から肉を剥がしていきます。
骨に沿って胸肉の癒着を切り離す

関節を切断して手羽と胸を分離する

首元には鎖骨(フルシェット)があるため、同じように骨に沿って肉を剥がしていきます。鎖骨から背中側に刃を入れていくと、腕(上腕骨)と肩(肩甲骨)の大きな関節に当たるので、そこを切断して分離します。
関節の位置がわからない場合は、背中側を上にして、肩甲骨の上(骨と皮の間)に沿って刃を入れ見てください。刃先に関節が触れるはずなので、そこを切断します。
手羽元と胸身に分離する

取り外した部位には、胸肉と手羽が付いています。手羽を持って動かしてみて、腕の筋肉が胸の筋肉につながっている部分から切断しましょう。手羽はさらに、手羽元と手羽先に分離できます。カモの手羽にはあまり肉がついていないので、切り取ってしまっても構いません。

胸肉には、細い筋のような肉(ささみ)が癒着しており、引っ張ると胸肉から分離できます。ただし、カモのささみはニワトリのように大きくないので、胸肉と一緒に料理してしまった方が良いです。
カモ解体の基本・八落し

今回ご紹介したカモの解体方法は、胸肉(2枚)、手羽(2つ)、モモ肉(2つ)、上身のガラ、下身のガラの8つに分割するので、「八落し」と呼ばれています。鳥の解体方法にはいくつかありますが、まずは基本となるこの八落しを覚えておきましょう。
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内臓の処理

取り出した内臓も処理をすれば、腸を含めたすべての部位を食べることができます。ただ基本的には、処理が簡単な心臓、肝臓、砂肝の3種類がオススメです。
レバー


一本につながった内臓から肝臓を取り外します。肝臓のすぐ近くには緑色をした胆嚢が付いているので、破らないように注意しながら取り外しましょう。胆嚢の中身(胆汁)が付いてしまうと、苦くて食べられなくなってしまいます。
砂肝


砂肝は中に消化中の餌と砂が入っています。そこで二つに割って内側に付いている皮を剥ぎ取って、綺麗に洗いましょう。


砂肝の外側の皮は少し固くなっているので、包丁で削ぐようにして筋肉だけを取り外します。
心臓


心臓は、一枚に開いて中身の血合いを洗い流します。
まとめ
- 鳥解体の基本は、胸肉2枚、手羽2つ、モモ肉2つ、上身ガラ、下身ガラの8つに分ける「八落し」
- 内臓は、肛門を切り取って、穴から手を入れて掻きだす
- 上身(胸肉・手羽先)と下身(モモ肉)に分離する
- 内臓も下処理をすれば美味しく食べられる
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