ウィンチェスターM1894

 ウィンチェスター M1894(通称 M94)は、1894年にアメリカのウィンチェスター・リピーティング・アームズ・カンパニーによって発表された、レバーアクション式のライフル銃です。同時期に開発された「.30-30ウィンチェスター弾」との組み合わせは、M1873などと共に「西部を征した銃 (The Gun That Won the West)」という伝説の一翼を担い、〝カウボーイの相棒〟として今なおアメリカで根強い人気を誇ります。

タイプレバーアクション式ライフル
メーカーウィンチェスター・リピーティング・アームズ・カンパニー (及びその後継、ミロク製作所による復刻生産など)
製造年1894年 – 2006年、以降復刻生産あり
中古相場10万円台後半から
主な使用弾薬.30-30ウィンチェスター

ウィンチェスターM94の歴史

 M94が開発された19世紀末は、従来の黒色火薬から、より強力で排煙の少ない無煙火薬へと移行する時代でした。そこで天才銃器設計家ジョン・M・ブローニングと、アメリカを代表する銃器メーカーであるウィンチェスター社は、すでに成功を収めていたM1886やM1892といったレバーアクションライフルをベースに、無煙火薬を使用できる銃の設計が進められました。

.30-30ウィンチェスター弾の登場

ライフル薬莢

 M94とほぼ同時に開発が進められた「.30 Winchester Center Fire」(「.30 WCF弾」、後の「.30-30ウィンチェスター弾」)は、アメリカ初の小口径無煙火薬実包であり、M94と共に爆発的な人気を得ました。
 この弾は、威力こそ.30-06スプリングフィールド弾など既存の強力な弾薬には劣るものの、シカなどの中型獣の狩猟において十分な威力と精度を持っていたことから、当時のハンターにとって標準的な装備となりました。

〝西部を征した銃〟

 M94と.30-30ウィンチェスター弾の組み合わせは、その携帯性の良さと信頼性の高さ、そして十分な威力から、カウボーイや西部開拓者たちに広く愛用されました。
 後の時代においても、映画や文学作品で「西部劇のアイコン」として頻繁に登場したことで、アメリカで根強い人気を誇りました。この銃は、20世紀を通じて〝700万丁以上〟が生産されたと言われており、「西部を征した銃」として、成功したライフルのひとつとされています。

生産終了とミロク製作所による復刻

 長年にわたり生産が続けられたM94ですが、2006年にウィンチェスター社工場閉鎖に伴い、オリジナル生産が終了しました。しかし、生産が終了した後もM94を求める声は多く、その後、日本のミロク製作所などによって高品質な復刻モデルが生産され、現在でも新銃が市場に供給されています。

シンプルさと信頼性を追求した設計 

 ウィンチェスターM94の最も大きな違いは、従来の黒色火薬ではなく、高圧で高初速な無煙火薬を使用する新しい弾薬のために専用設計された点です。これにより、機関部や閉鎖機構はより強固になりつつ、銃自体は小型軽量化され、優れた携帯性と実用性を実現しました。

レバーアクション式のアクション

レバーアクションの仕組み

 M94のレバーアクションは、銃の用心鉄(トリガーガード)と一体化したレバーを手で下に引き、元に戻す一連の操作により行われます。この操作によって、薬室内の空薬莢が上方に排出されると同時に、銃身の下に取り付けられた筒状弾倉(チューブラーマガジン)から次弾が薬室へ供給されます。

410番の散弾銃モデル

 ウィンチェスターM94の堅牢でアイコニックな設計は、「410番散弾銃」のプラットフォームとしても応用されました。現在ではミロク製作所によって開発・製造された「ウィンチェスター M9410」が410番散弾銃として流通しています。

410番散弾銃の特徴

散弾薬莢のサイズ

 410番は散弾の口径としては比較的小さく、反動が軽いため、体力に自信のない方や女性、初心者でも扱いやすいというメリットがあります。
 日本国内における410番散弾銃の運用は限定的でしたが、ライフル銃の所持許可を得るまでの期間における選択肢として、また近年のハーフライフル銃に関する規制強化の影響もあり、主にスラッグ弾を用いたシカ猟の銃として再び注目を集めています。

過去の改造品との差別化:

 従来のM94ライフル銃をベースとした410番散弾銃は、日本国内でライフリングを削り、薬室を散弾実包用に改造したものが流通していました。しかし、この改造品は作動不良(給弾不良や排莢不良など)を起こしやすいという問題がありました。
 ミロク製作所が開発したM9410は、こうした問題を解決するため、M94の基本設計を踏襲しつつも、410番散弾実包の特性に合わせて内部メカニズムを専用に再設計・最適化したものです。これにより、作動の信頼性が大幅に向上したと評価されています。

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