先日の3泊4日のメンターシップツアーから、息つく暇もなく次のツアーが幕を開けました。 今回は5名のお客様をお迎えしての開催。うち4名が県外からという、非常に気合の入る顔ぶれです。インフルエンザの猛威にさらされた一週間の締めくくり。正直なところ、体力的にも精神的にも「綱渡り」の状態でしたが、この日のために遠路お越しいただいたお客様を前に、休んでいる暇はありません。

「一か八か」のくくりわなに「アナグマ」捕獲
メンターシップを終えたその足で、夕方の猟場へ。 激しい咳と倦怠感に耐えながら罠を設置していきますが、日没が迫る中で獲物の痕跡は驚くほど少ない状況でした。
「今回は厳しいかもしれない……」
そんな不安を抱えながら設置した「一か八か」のくくり罠。
しかし翌朝、そこには見事な「アナグマ」が! 今回のお客様は3回目のリピーター様たち。
過去に大猟を経験されている皆様に、なんとか獲物をお見せすることができ、自分の腕というよりお客様の「強運」に救われた思いでした。

ハンターズ・キャンプのメインテント

福岡ハンターズキャンプのファミリープランでは、ゆったり過ごせる大型テントを採用しています。
メインで使用するのは、ベルテントの代名詞とも言える「ノルディスク・アスガルド12.6」。 ポリエステルとコットンを混紡した「ポリコットン製」の生地は、結露しにくく、冬の冷気を遮断してテント内の熱を逃さないため、冬キャンプには最適な「家」となります。
異例の暖冬、見送られた薪ストーブ
本来、12月のキャンプであれば、テント内に薪ストーブをインストールして「おこもりキャンプ」を楽しむのが当会の定番です。
しかし、この日は12月とは思えないほどの異様な高温。
「薪ストーブはさすがに暑すぎる」と判断し、今回はあえて設置を見送りました。四季折々の自然に合わせて装備を最適化するのも、プロガイドとしての重要な役割です。
満身創痍の設営作業

アスガルドのような大型テントは、一人での設営も可能です。
しかし、インフルエンザ明けで体力が落ちきっている身には、ずっしりと重いポリコットン生地の扱いは想像以上に過酷な作業となりました。
このアスガルドは本来4人用。
「追加のソロテントを用意しましょうか?」とご提案しましたが、お客様からは「酒を飲んで寝るので大丈夫!」とのことでした。
シカの後ろ足一本「丸ごと」ロースト

今回のキャンプツアーでは、料理に特段の力を入れました。
メインディッシュは、当会の特別メニュー「シカの足一本丸ごとロースト」です。
香味の決め手「ジュニパーベリー」

シカローストの臭みを消し、高貴な香りに変えるために欠かせないのがジュニパーベリー。
ジンの香り付けに使われるスパイスで、針葉樹のような爽やかな風味が特徴です。
ジュニパーベリーに加え、岩塩、ホワイトペッパー、コリアンダー、クミンをすり鉢で丁寧に潰します。
ここに、レッドペッパー、パプリカ、ハチミツを加え、オリーブオイルで溶いた特製マリネ液をシカの足に塗り込みます
焚き火の魔法「ロティサリー焼き」

アルミホイルで厳重に巻いて焚き火の熱を通すこと1時間。
仕上げは、露出した骨にペグを打ち込み、焚き火の上で回転させながら焼く「簡易ロティサリー」スタイルで表面を香ばしく焼き上げます。
ホイルを開けた瞬間に広がるジュニパーベリーの香りと、肉汁の芳醇な香り!
ナイフで削ぎ落とした肉を薄焼きパンに挟んで食べる。これぞ狩猟キャンプの醍醐味です。
欲望のままに。「アナグマの角煮」とパックご飯の禁断コンボ

さらに今回は、お客様の強いリクエストにより「アナグマの角煮」をご用意。
アナグマは驚くほど脂が多いため、まずは丁寧な下茹でで余分な脂を落とすのがコツです。
ダッチオーブンで表面を焼き、ネギやショウガ、たっぷりの砂糖と醤油でじっくり煮込みます。
そこへお客様が取り出したのは……
まさかの「パックご飯」!
熱々のご飯の上に、脂がこってり乗ったアナグマをオン。
「これがやりたかった!」
口いっぱいに頬張る姿は、まさに至福そのものでした。

最後は内臓(小腸)を丁寧に洗浄した「モツ焼き」まで堪能。宴は夜更けまで続き、最後は何でも放り込む「闇鍋」状態で幕を閉じました。
ダッチオーブンの中身は……
翌朝、撤収作業をしていて驚きました。
「あれ?ダッチオーブンが空だ……」
あの大容量のアナグマ肉を、一晩で完食されていたのです。 アナグマの脂は非常に濃厚なため、食べ過ぎには注意が必要ですが、そこまで喜んでいただけたなら本望。
今頃、お客様たちのお肌はツルツルのテカテカになっていることでしょう。








