引鉄(引き金、トリガー)は、人間の指で引くことで射撃を行うための部品です。構造は銃の種類やモデルによって異なりますが、一般的に引鉄は逆鉤(シアー)、撃鉄(ハンマー)、撃鉄バネ(ハンマースプリング)がセットになった「トリガーユニット」になっています。
弾が発射されるメカニズム
トリガーユニットは、引き金は逆鉤と噛み合わせさっており、さらに逆鉤は撃鉄とかみ合っています。引き金を引くと逆鉤と撃鉄の噛み合いが外れ、撃鉄に仕込まれたバネ(ハンマースプリング)が立ち上がって、前方に設置された撃針(ファイアリングピン)を叩きます。撃針はさらに前方に固定された実包の雷管を叩くことで、火薬が燃焼して弾が発射されます。
空気銃のトリガーシステム
空気銃の場合でも、トリガーシステムの基本的な構造は装薬銃と変わりません。ただし、装薬銃と違って実包がないため、撃鉄が叩く先は、プレチャージ機構の場合はエアシリンダーの「バルブ」、スプリングピストン機構の場合は「ピストン」になります。なお、エアライフルの撃鉄は一般的に「ストライカー」と呼ばれています。
引き金の距離・重さ
引鉄を引いて動かなくなるまでの長さは、それぞれテイクアップ、クリープ、オーバートラベルと呼ばれ、射手の好みに合わせて調整できます。
また、引鉄には、逆鉤と撃鉄の噛み合いが外れるまでにかける重さ(トリガーウェイト)を調整することができます。この重さは、軽ければ軽いほど指をかけてから弾が発射されるまでの感度が高くなります。しかし、暴発の危険性が高まるため、狩猟用ではプルレングスを重めに、スポーツ射撃用では軽めに調整するのが一般的です。狩猟用では1.8~2kg、スポーツ用では1.5kgに調整されることが多いようです。
感度調整トリガーと呼ばれる、トリガーウェイトを調整できるタイプもあります。この場合、トリガーウェイトを計測する器具を使用しながら自分で調整することができますが、できれば銃砲店で行ってもらうようにしましょう。
ツーステージトリガー
近年発売されている銃の多くは、ツーステージトリガーと呼ばれる引鉄を採用しています。これは、引鉄を引いた際に、重さが2段階に変化する引鉄です。引き初めは軽く、撃鉄が落ちる寸前に重くなります。
ツーステージトリガーの長所は、引鉄を限界まで引き絞った状態で静止できるため、じっくりと照準を合わせることができます。また、発射後に引鉄から指を外すとすぐに元の位置に戻るため、セミオートタイプの銃では連射速度が向上します。
ただし、突然獲物が飛び出して焦って引鉄を引いてしまうと、重さの違いで無駄に力が入ってしまい、引鉄を引いた瞬間に照準がブレてしまうガク引き(トリガースナッチ)を起こす場合があります。
感度調整型トリガー
トリガーシステムの中には、ユーザーが簡単な工具を使って引鉄の距離や重さを変更できる感度調整型トリガーと呼ばれるタイプもあります。
このタイプのトリガーは、射手の好みに合わせて微調整できるため、より快適な射撃体験を提供できます。しかし、調整を誤ると、意図せず発砲してしまうなどの危険性もあるため、注意が必要です。特に初心者のうちは、銃砲店で調整してもらうようにしましょう。