スプリングピストンは、強力なバネの力でピストンを押し出すことで空気を圧縮し、ペレットを発射する空気銃の仕組みです。この方式は、発射のたびにバネを圧縮する必要があるため、プレチャージ(PCP)などに比べると発射速度が遅くなるなどの欠点があります。しかし、構造がシンプルなため故障しにくく、メンテナンスも容易という利点があるため、未だに根強い人気を誇ります
スプリングピストンの仕組み
スプリングピストン式空気銃は、銃に取り付けられたレバーを折ることで、ピストンに連結された強力なバネが圧縮されます。レバーを最後まで押し込むと、トリガーにロックがかかって射撃準備完了となります。トリガーを引くことでロックが外れ、圧縮されたバネが解放され、ピストンが勢いよく前進します。
スプリング式の反動問題
スプリングピストン式には、〝発射時に大きな反動と振動が発生する〟という課題があります。これは、押し出されたピストンが最終的にシリンダーを強く叩くために発生します。
そこで、近年発売されているスプリングピストン式空気銃には、ショックアブソーバーと呼ばれる、反動と振動を抑制するための工夫が凝らされています。
レバーの方式
バネを圧縮するレバーには、主に以下の3つの方式があります。 なお、レバーの方式は、「どれが優れている」ということはなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。
- サイドレバー方式:
銃本体の側面にレバーが取り付けられています。操作がしやすい反面、バネの威力は比較的弱くなる傾向があります。 - アンダーレバー方式:
銃身下部にレバーが取り付けられています。サイドレバーとブレイクバレルの中間的な特性を持ちます。 - ブレイクバレル方式::
銃身自体がレバーの役割を果たします。サイドレバー方式に比べて強力なバネを使うことができますが、構造上、弾倉を装着することができないため、連射性は大きく劣ります。
〝指はさみ〟に注意
スプリングピストン方式では非常に強力なバネを使用するため、装填作業時にレバーとバネの噛み合わせが外れてレバーが跳ね上がり、指を挟んで怪我をする事故がたびたび発生しています。このような事故を防ぐために、近年のスプリングピストン式空気銃には、「アンチベアトラップ」と呼ばれる安全装置が装着されています。
ガスピストン(ガスラム)方式
スプリングピストン式空気銃には、バネの代わりにガスピストン(ガスラム)を採用したタイプがあります。これは、シリンダー内に高圧ガスを封入したピストンを使用する方式です。通常の金属スプリングに比べて、以下の様なメリットがあります。
- 耐久性が高い:
金属疲労が起こりにくいため、バネの破損が起こりにくい。 - 長寿命
長期間使用しても、へたりにくい。 - 安定した性能
温度変化による性能変化が少ない。
ガスピストン式空気銃は、高圧ガスを封入したピストンを使用するため、海外では「金属スプリングよりも壊れやすい」という意見もあるようです。これは高圧ガスを封入しているゴム製部品が劣化するためで、高圧空気を封入するプレチャージ方式にも同様なトラブルが起こります。
ガスピストン・金属スプリングのどちらにせよ、メンテナンスやオーバーホールは必要になるため、あまり気にしすぎる必要もないでしょう。