プレチャージ(Pre-Charged Pneumatic)

プレチャージ(PCP)は、空気銃に内蔵されたエアシリンダーに空気を圧縮して充填する機構です。引き金を引くと、シリンダーから定量の圧縮空気が解放され、ペレットを発射します。この方式は「スプリングピストン式」などの他の方式と比較して、高い初速と優れた命中精度を両立できることが特徴です。

目次

プレチャージ機構の仕組み

プレチャージ式の仕組み

 一般的なPCPエアライフルは、高圧空気を蓄えるエアシリンダーと、それを解放するバルブ機構が存在します。引き金を引くと、ハンマー(ストライカー)がバルブを叩き、シリンダー内の高圧空気が瞬間的に解放されます。この高圧空気は、薬室に装填されたペレット後部に圧力をかけ、ペレットを銃口へ押しやります。

近年、進化を遂げた方式

 PCP方式は超高圧力で高速にペレットを発射できるため、近年の『高威力・高精度エアライフル』の主流機構となっています。しかし実を言うとこのPCP方式の原理自体は、近年になって開発されたものではなく、17世紀頃にはすでにその概念が存在していました。
 当時普及しなかった理由は、高圧空気を生成し、安全に貯蔵する技術(特に金型の成型)が未発達だったためとされています。近年では、高圧に耐えうる頑丈なシリンダーや、精密なバルブ機構、樹脂素材やこれら加工技術が飛躍的に進歩したため、空気銃の主力として返り咲きました。

〝おいしい圧力帯〟を知っておく必要がある

プレチャージ式高圧だと威力が下がる
 PCPエアライフルは、エアシリンダー内の空気圧管理が非常に重要です。まず、空気圧が低すぎる場合、ペレットを押し出す力が不足するため、初速が低下してしまいます。最悪の場合、ペレットが銃身内で停止してしまうこともあります。
 逆に、空気圧が高すぎる場合も問題が発生します。シリンダー内の圧力が高すぎると、バルブを開放するハンマーが弁を叩いても、シリンダー内の高圧によって弁がすぐに閉じてしまい、十分な量の空気が放出されません。結果としてペレットの初速が低下し、命中精度にも悪影響を及ぼします。
 つまり、PCPエアライフルでは、エアシリンダー内の空気圧は〝低すぎても高すぎてもダメ〟ということになります。常に適切な圧力を維持することが、性能を最大限に引き出す鍵となります。
 エアライフルの種類や個体差によって、最も精度が出る最適な圧力帯は異なります。この圧力帯は俗に「おいしい空気圧帯」と呼ばれており、試射を繰り返して探り当てています。
 近年では、この「おいしい空気圧帯」を安定して使えるように、プレチャージ機構にエアレギュレータを搭載する機種も多くなっています。

空気の充填方法

エアを込める

 PCPエアライフルに空気を充填する方法には、エアチャージャーと呼ばれる機具を使います。エアチャージャーには大きく、ハンドポンプとエアタンクの2種類があります。

 また、これらエアチャージャーとエアライフルの間には専用のコネクタ(フィリングコネクタ)を接続します。フィリングコネクタはエアライフルの種類によって異なるため、さらにアダプタやヨークなどを使います。この変換に必要な器具類は充填アダプタ(MDEアダプタ)と呼ばれています。

その他の方式

 エアライフルの機構にはプレチャージ以外にもガス圧式やマルチストローク式などがあります。しかし、現在使われているのはプレチャージ式とスプリングピストン式の2種類です。

関連記事

まとめ記事にもどる

  • URLをコピーしました!
目次