グリップ(Grip)

グリップ(銃把)は、引鉄を引くために握る銃床の一部です。形状によって様々な種類があり、据銃姿勢や据銃の速さ、反動を受け流す方向などに変化を与えます。

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ピストルグリップ

 グリップの最も古い形状はストレートグリップと呼ばれるタイプです。このストレートグリップは、肩を当てる銃床(ストック)からグリップにかけて直線的な造りになっており、ライフル銃の原型とされるマスケット銃などもこの形状をしていました。
 しかし、このストレートグリップには、『 グリップを真上から掴むようにして据銃する必要があるため、肩が高く上がり、自然な姿勢で構えにくい』、『反動によって手首に負担がかかる』といった問題がありました。
 そのため、現在の猟銃や空気銃のほとんどは、自然な姿勢で据銃でき、手首への負担も少ないピストルグリップが採用されています。

ピストルグリップの種類

MOD135

ピストルグリップは、銃床が湾曲した形状をしており、その湾曲の度合いによって、「クオーター(1/4)」、「ハーフ(1/2)」、「フル」の3種類に分類されます。

ピストルグリップの長所・短所

 ストレートグリップは真上から掴むように持つのに対し、ピストルグリップは横から握るように持つため、手首への負担が軽減されます。また、グリップの湾曲が大きいほど、発射時に肩にかかる負担も軽減されます。
 ただし、ピストルグリップは湾曲が大きいほど、射撃時の銃身の跳ね上がりが大きくなり、連射時の制御が難しくなるというデメリットもあります。
 近年の猟銃・空気銃で採用されているグリップは、ほとんどがフルピストルグリップであり、グリップ部分にはチェッカリングと呼ばれる滑り止め用の溝が掘られています。

ピストルグリップの握り方

グリップの握り方


 ピストルグリップは、グリップの側面から握りこみ、親指をコームと呼ばれる溝に沿わせます。このとき、人差し指の第一関節が引鉄に無理なく当たることを確認しましょう。
 どうしても引鉄に指がとどかない場合は、グリップを削る、またはパテなどで埋めて調整するなど銃砲店で銃砲店でに依頼してください。

銃床の無い「ハンドグリップ」とは異なる

 日本では拳銃の所持が厳しく制限されているため、「ピストルグリップ」は「拳銃のようなグリップ」と誤解されることがあります。しかし、銃床のない片手持ちのグリップは「ハンドグリップ」と呼ばれる別物なので、混同しないように注意しましょう。

その他のグリップ形状

キャロ型グリップ

レッドウルフ

 キャロ型グリップは、フルピストルグリップに大きく湾曲したストックが付いた形状です。「キャロ型」と言うのは正式な名称ではありませんが、イギリスの銃床専門メーカー・フォームライフルストック社が販売している銃床が有名なので「キャロ型」と呼ばれています。

キャロ型の長所と短所

 ピストルグリップの持ちやすさに加え、ストレートグリップのように銃身の跳ね上がりを抑える特徴を兼ね備えているため、狩猟用だけでなくスポーツ射撃用にも採用されています。
 ただし、この形状はストックの「くびれ」部分が細くなっているため、衝撃に弱く、破損しやすいという短所があります。狩猟中に銃を落としたり、木にぶつけたりしないよう注意が必要です。

サムホールグリップ

パンチャージャンボ

 サムホールグリップは、グリップに親指を入れる穴が空いた形状をしています。

サムホールグリップの長所と短所

 サムホールグリップは、垂直にグリップを握りながら肩に銃床をしっかりと押し付けて構えることができます。銃の安定性が向上し、精密な射撃に適していることから、近年ではエアシリンダーの重さで〝前重心〟になってしまうプレチャージ式エアライフルによく採用されています。
 ただし、サムホールグリップは握りが深くなるため、引鉄に指をかけるまでの時間がピストルグリップに比べて遅くなるというデメリットがあります。

分離型ピストルグリップ

 分離型ピストルグリップは、肩付け部分とグリップが分離した構造になっています。サムホールグリップストックと形状は似ていますが、グリップ下部と肩付け部がつながっていないため、素早くグリップを握り、銃を構えることができます。

エアライフルで採用されるタイプ

 分離型ピストルグリップは、銃床部分を切り取ることでハンドグリップに違法改造しやすいという欠点があります。そのため、散弾銃やライフル銃では所持許可が下りないケースがほとんどのようです。
 しかし、エアライフルではエアシリンダーを銃床代わりに利用する設計により、銃床を取り外せない構造になっています。そのため、このタイプのグリップでも所持許可が下りるようです。

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