AIは人を「幸せ」にはしないが、「カネ」の問題は解決できる

以前「AIは人を幸せにできない」というお話をしました。
「幸せ」とは言語化できない領域にあるものであり、言語化されたデータのみを扱うAIには、原理的にそれを生み出すことが不可能だからです。
​しかしながら、AIは言語化できる領域において、驚異的なスピードで最適解を導き出します。
そしてそれによって、「カネのトラブル」を解決することは可能です。

​ちょうど1年前のこと。
いつもなら出版社から原稿料と印税が振り込まれるはずの日になっても、口座に入金がありません。
「おかしいな」と思い、翌日に担当編集者へ電話をかけてみると……。
「実は……倒産しちゃいまして」と。

会社というのは、本当に急に潰れます。
もちろん経営陣は何ヶ月も前から倒産の準備を進めているわけですが、直前まで騒ぎが起きないよう、取引先に告知されるのは「倒産が決定した日」です。
当時、弊社はこの出版社に収入のほとんどを依存していたため、これは「連鎖倒産」の大ピンチでした。

​普通なら呆然と立ち尽くすしかないところでしたが、私はすぐにAIへ現在の状況を打ち明け、解決策を相談することにしました。
幸いにも、ちょうどその時期に登場したAI「Gemini2.5」は、それまでの「おとぼけチャットボット」とは一線を画す精度を持っており、実務に使えるポテンシャルがあることを知っていました。
そんなAIが瞬時に出してきたアクションプランが
「すぐに『契約不履行による出版契約の解除』の内容証明を送り、出版権を含めたすべての著作権を取り戻すこと」でした。

​契約不履行の通知書の作成や、内容証明郵便の手続きなど、不慣れなことだらけで戸惑う作業です。
しかし、AIのサポートを受けながら、なんとか次の日にはすべての手続きを完了させることができました。
そして、その書面が相手方に到達した翌日。
裁判所によって「破産管財人」が選任されたのです。もし手続きがあと一日でも遅れていたら、出版社側にあった弊社の出版権は資産として「凍結」され、何年も身動きが取れなくなる危険性がありました。

まさに危機一髪。
AIの助けがなければ、十中八九、連鎖倒産していました。
その後、弊社ではこの回収した著作権を活かし、Amazonのオンデマンド出版を使って自社で書籍を再出版しました。

幸いなことに売上は無事に戻り、なんとか今期は黒字で決算を迎えることができました。
AIは「幸せ」を生み出しません。
しかし、契約、法律、経営判断のように「合理性」で解決できる問題では、革命的に優れたツールです。
非合理的なところから生まれる「幸せ」は狩猟の中で見つけ、カネやビジネスの問題はAIを徹底的に活用する。
そんな付き合い方が、これからの時代を一番楽しく生きる方法なのではないかと思っています。

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