
レミントンM700は、1962年にアメリカのレミントン・アームズ社により発売された、ボルトアクション式ライフル銃です。その高い精度、信頼性、豊富なバリエーションにより、ボルトアクション式ライフルの代表的なモデルの一つとして広く知られています。「SPS」は‟Special Purpose Synthetic”(特別目的合成素材)の略称で、銃床に合成樹脂(シンセティック素材) が使用されていることを意味しています。
タイプ | ボルトアクション式ライフル銃 |
メーカー | レミントン・アームズ |
製造年 | 1962年 – 現行 |
中古相場 | 10万円台後半 ~ (モデル、状態により大きく変動) |
主な使用弾薬 | 308Win、30-06スプリングフィールド、 223レミントンなど多数 |
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M700の歴史

第二次世界大戦後、アメリカではスポーツとしての狩猟や射撃が盛んになり、より高性能で手頃な価格のライフルへの需要が高まっていました。
前身となるM720、M721/722、M725
レミントン社は戦前に開発されたボルトアクション式ライフル銃「M720」をベースに、生産性を高めコストダウンを図った「M721」(長い薬莢を利用できるロングアクションモデル)と、「M722」(短い薬莢を使用するショートアクションモデル)を1948年に発表します。さらに1958年には、M721・722の改良版である「M725」も発売されました。
革新的なライフルの登場

レミントン社のエンジニア、マイク・ウォーカーを中心とする開発チームは、M721・M722で得られた知見を基に、基本的な精度の向上をはじめ、安全装置の変更、トリガーシステムの改良、生産性の改善、デザイン性の向上を図り、1962年にレミントンM700が発表されました。
カスタムベースとしての地位確立
M700は、その高い基本性能に加え、サードパーティから供給される〝アフターパーツの豊富さ〟から、絶大な人気を誇るようになりました。そのためM700には社外品のストック、トリガー、銃身、スコープマウントなど、あらゆるパーツが市場に存在しており、ユーザーは自分の目的や好みに合わせてカスタマイズを楽しむことができます。
シンセティックモデルの台頭
2000年代に入ると、レミントン社は銃床に合成樹脂を用いた「SPS」のモデルラインを本格的に展開しました。このSPSモデルは従来の木製銃床よりも耐久性、耐候性、軽量性、コストに優れており、さらに人間工学に基づいたデザインによる操作性の向上も行われました。
猟銃として用いられるレミントンM700においても、軽量かつ傷に強いといった理由から、SPSモデルが広く利用されるようになりました。
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高精度と汎用性を追求した設計

レミントンM700の最大の特徴は、その優れた精度にあります。
密閉性の向上
レミントンM700が誇る高い精密性は、‟Three Rings of Steel”(鋼鉄の三つの輪)と呼ばれる設計思想から来ています。これは、薬莢の後端部を『ボルトフェイスが完全に包み込み、そのボルトが銃身後部にしっかりと収まり、それら全体を強固なレシーバーが囲む』という構造をしています。
これにより、発射ガスが漏れ出ることなく完全に封じ込めることにより、高い精度と安全性を実現しています。
短いロックタイム

M700が優れている点として、「撃鉄が落ちてから撃針が雷管を叩くまでの時間が非常に短い」ことも挙げられます。これにより、トリガーを引いてから発射されるまでのタイムラグが減り、射手の僅かなブレが弾道に与える影響を最小限に抑え、命中精度向上に繋がりました。
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