『クレー射撃の準備』をはじめよう!射撃の手続きやマナーを解説

クレー射撃の準備をはじめよう

 散弾銃を所持し、必要なアイテムを揃えたら、いよいよ待ちに待ったクレー射撃本番です。しかし、初めてクレー射撃を行う際には、射撃場での手続きやマナー射撃場に設置されている機材など、あらかじめ知っておくべきことがあります。そこで今回は、クレー射撃を始めるために必要な知識をまとめてご紹介します。

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  1. クレー射撃場の場所や開場日時、できる競技を調べておく
  2. クレー射撃に行くときは、忘れ物(特に所持許可証)が無いことを確認
  3. 射台でのマナー(特に、銃の扱いや持ち運び方)に注意すること

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目次

クレー射撃をはじめるための事前準備

クレー射撃場

 クレー射撃を始めるためには、道具の準備だけでなく、事前に調べておくべきことがあります。

射撃場の選び方

「射撃場」と呼ばれる場所には、散弾銃射撃場(クレー射撃場)だけでなく、ライフル専用の射撃場や教習射撃のみを扱う射撃場もあります。また、クレー射撃場であっても「トラップ射撃のみ」や「スキート射撃のみ」など、対応している競技が異なります。そのため、クレー射撃場を探す際には、まず自分が行いたい競技を決め、それに対応している射撃場を調べて選びましょう。

射撃場に行く前に開場しているか確認

 射撃場は季節や天候によって閉鎖されている場合があります。また、土日祝日などは団体の予約で一般利用ができないこともあるため、事前に以下の方法で営業状況を確認しましょう。

全国の射撃場を探すのであれば「Fun Clay Shooting」が便利

 全国のクレー射撃場情報は、講習会で配布される資料に掲載されていますが、情報が古い可能性があります。最新の情報は「Fun Clay Shooting」で検索するのがおすすめです。

遠征する場合は銃の輸送方法を考える

交通機関制限
列車実包と空包の合計200個以内
無煙火薬類等の合計1㎏以内(容器等を含む)
銃用雷管400個以内
バス実包と空包の合計50個以内
船舶実包と空包の合計200個以内
銃用装弾400個以内
無煙火薬類等の合計1㎏まで
飛行機猟銃用火薬類5kg以内(手荷物不可)
それ以上の場合は別に規制あり
郵便郵便による火薬類の輸送は全面禁止

 遠くの射撃場に遠征する場合、銃や実包の持ち運び方法を事前に考えておきましょう。自家用車で移動する場合は特に気にする必要はありませんが、電車やバスで移動する場合は火薬類の持ち込みに関する『法的な規制』と『会社の規制』の両方が絡んでくるため、事前に確認しておく必要があります。

飛行機の場合は航空会社の規則も確認する


 飛行機や船で移動する場合は、銃や実包を荷物として預ける必要があります。この際、銃や実包は『鍵付きのケース』に入れる必要があります。
 航空会社によっては貸し出してくれるところもありますが、LCC(格安航空会社)では自前で用意しなければならない所が多いようです。

当日持って行くもの

 クレー射撃を行う当日は、忘れ物がないかしっかり確認しましょう。特に『所持許可証』と、実包を購入する場合は『譲受票』を絶対に忘れないようにしてください。

所持許可証を忘れずに

 クレー射撃場に行く際には、銃の所持許可証を忘れないようにしてください。射撃場では手続きの際に提示が義務付けられており、所持許可証なしでは射場に入ることができません。それ以上に、所持許可証がない状態で銃を持ち運ぶことは違法となるため、十分注意してください。

実包の準備

 クレー射撃場で使用する実包は、ジェラルミンケースやアンモボックスなどのしっかりとした容器に詰めて持ち運びます。銃と一緒のバッグに入れると違法なので注意してください。
 実包を現地で購入する場合は、猟銃用火薬類等譲受許可証を忘れないようにしてください。念のため内容を確認し、猟友会から発行される無許可譲受票も忘れずに持参しましょう。これらの書類がないと、現地で実包を購入することができません。

服装と持ち物の準備

  • 散弾銃(ガンケースやガンカバーに入れて持ち運ぶ)
  • 所持許可証
  • 散弾実包(当日購入する場合は『猟銃用火薬類等譲受許可証』。期限切れでないことを要確認)
  • シューティングベスト
  • (スニーカーなど足元が安定する靴)
  • イヤーマフ(耳栓でもOK)
  • 帽子(サンバイザーなどでもOK)
  • シューティンググラス(なくてもOK)
  • シューティンググローブ(なくてもOK。冬場なら防寒対策をかねたもの)

 夏場であれば動きやすい服装であれば特に問題ありませんが、冬場のクレー射撃場は極寒です。そのため、防寒対策は十分に行いましょう。出かける前には、上記の内容を参考に持ち物のチェックを行ってください。

クレー射撃場での手続き

 射撃場に着いたら、いよいよ念願のクレー射撃です。ここでは、受付から実際に射撃を行うまでの一般的な流れを解説します。ただし、具体的な手続きは射撃場によって異なる場合があるので、あくまで参考としてください。

射場使用申請書の記入

 まず、管理棟で射場使用申請書に記入します。申請書には、住所、氏名、生年月日、銃所持許可証の番号などを記入し、窓口に提出します。この際、銃の所持許可証の提示も必要です。

施設利用料とラウンド料金の支払い

申請書を提出したら、施設利用料とラウンド料金を支払います。

  • 施設利用料: 射場入場料、空薬莢の処理費、鉛回収費、保険料などが含まれます。料金は射撃場によって異なり、一般的には700円から2,000円程度です。
  • ラウンド料金: クレー射撃の回数に応じて計算されます。クレー1枚あたり約40円で、通常1ラウンド25枚のクレーを使用するため、1ラウンドあたり約1,000円が目安です。

 1日に何ラウンド行うかは人によって異なりますが、一般的には4~6ラウンド行うことが多いようです。例えば、6ラウンド行う場合、施設利用料1,000円、ラウンド料金6,000円、散弾実包6箱(1箱25発入り)約12,000円となり、1日あたり約2万円程度かかる計算になります。

射場の利用案内を受ける

 手続きと料金の支払いが完了したら、射撃場のスタッフから利用案内を受けます。

  • 団体で来場した場合: 空いている射台があれば案内してもらえます。
  • 個人で来場した場合: 他のグループの空きに入れてもらったり、射台を貸し切りにできるなど、状況に応じて対応が変わります。

 手続き中も、銃は常に身につけておきましょう。銃を車のトランクに入れたままにしておいたら盗難に遭ったという事例もあるので、注意が必要です。

銃を銃架に置く

 射台に入ったら、銃をカバーから取り出して銃架に置きます。実包などの準備は、射台内のテーブルで行います。実包をシューティングベストのポケットに入れるなど、服装を整えたら、プーラーからの指示があるまで待ちましょう。

射撃場でのマナー

 クレー射撃は、銃という特殊な道具を使うスポーツです。そのため、安全に配慮した行動が非常に重要になります。射撃場でのマナーをしっかりと理解し、安全なクレー射撃を楽しみましょう。

発射直前まで装填しないこと

 散弾銃への実包の装填は、競技開始後、自分の番が来るまで行ってはいけません。弾を装填したまま射場を歩き回ることは、マナー違反であるだけでなく、銃刀法違反(違法装填)という犯罪行為にあたります。
また、競技中は必要以上の弾を装填してはいけません。

  • トラップ競技: 1枚のクレーに対して2発まで発射可能なので、2発を装填します。
  • スキート競技: 1枚のクレーに対して1発のみなので、マーク、ハウスのクレー1枚に対して1発ずつ装填します。

 発射しなかった実包が薬室や弾倉に残った場合は、速やかに排莢してください。

銃の保持の仕方

銃の保持方法は、銃の種類や状況によって異なります。

  • 上下二連式などの中折式散弾銃: 射座に立ったら銃身を折り、銃口を靴の上に置いて待機します。射座にゴム板がある場合は、銃口をその上に乗せても構いません。
  • スライドアクション式や半自動式: 銃口を上に向けた状態で保持します。このとき、薬室は開放しておき、実包が装填されていないことを周囲に示すようにしましょう。

射座から出るときは、

中折式: 銃を折った状態で肩に担ぎ、銃口が前下を向くようにします。
スライドアクション式・半自動式: そのまま銃口を上に向けた状態で持ち運びます。

薬室を解放して銃架に置く

セーフティフラッグ

 銃架に銃を置くときは、必ず薬室を開放した状態にします。周囲から薬室が開いていることがよくわかるように、薬室にハンカチや手袋を詰めておくこともあります。
 手動式・半自動式は薬室が開いているか確認しにくいため、セーフティフラッグと呼ばれる薬室に挟むプラスチック製の部品を使用するのも有効です。
 ハンカチやセーフティフラッグを薬室に挟んでおくことは、銃架に並んだ似たような銃との取り違えを防ぐ効果もあります。

競技中は私語禁止

 クレー射出のコントロールは、射座に設置されたマイクロフォンで自動的に行われます。このマイクロフォンは一定の音を拾うとクレー射出機が作動する仕組みになっているため、射台では私語をすると誤作動を引き起こす可能性があります。射場での観戦中も同様に、私語は控えめにすることが求められます。

不発時は10秒待って脱包

 引き金を引いた後に弾が発射されない「不発」が発生した場合は、その場で10秒間静止して待機します。火薬が遅れて発火する「遅発」の可能性があるため、急いで排莢すると突然弾が発射される危険があります。

銃口を上げて閉鎖する

 実包を薬室に装填するときは、銃口を上に向けた状態で薬室を閉めます。これは、万が一閉鎖時のショックで撃鉄が落ちて暴発した場合でも、クレー射撃場では、コンクリートの地面よりも前方上空の方が安全性が高いためです。地面に向けて暴発が起きると、跳弾して左右の射座の人が怪我をするリスクが高まります。
 なお、狩猟の場合は逆に、銃口を下(柔らかい地面)に向けて閉鎖するため、クレー射撃と狩猟では対応が異なります。

その他、覚えておきたいこと

 クレー射撃場には、競技をスムーズに進めるための様々な設備があります。これらの設備について知っておくことで、競技の流れをより深く理解し、クレー射撃をさらに楽しむことができます。

クレーピジョン

 クレーピジョンは、クレー射撃で使用される標的です。直径110mm、厚さ25mmの素焼きの円盤で、蛍光色に塗られています。専用のクレー放出機から発射され、プーラーによって撃破の成否が判定されます。
「クレーピジョン」という名前は、かつて本物の鳩が競技の標的として使われていた18世紀末の射撃競技に由来します。クレーが放出機から壊れて飛び出すことを「ノーバード」と呼びます。

クレー放出機

 クレーは、射撃場内に設置されたクレー放出機にセットされ、時速80~120kmの速度で射出されます。射出されるクレーの角度と方向は、プーラー室から操作され、競技の難易度調整やノーバード時のやり直し作業が行われます。
 クレー放出機は、メーカーによってクレーの飛び方に特徴があります。主なメーカーには、イタリアのマタレリー社、フランスのラポルテ社、フィンランドのナスタ社、国産のタナカ社などがあります。

マイクロフォン

 クレーの射出合図は、射手の前に設置されたマイクロフォンによる音声認識で行われます。伝統的には「プル(引け)」という声が使われますが、マイクロフォンがしっかりと拾える声の大きさであれば「はい」でも構いません。体をリラックスさせるために、「あー」や「うー」と発声する人も多いようです。

電光掲示板

 クレー射撃の撃破スコアは、射台にある電光掲示板で確認できます。掲示板のメーカーによって表示方法は異なる場合がありますが、一般的には、撃破できた場合にライトが点灯し、端の数値に撃破数がカウントされます。

プーラー

 射台には、プーラーと呼ばれる競技を管理する人がいます。クレーを撃破したか、失中したかはプーラーが判定し、失中の場合は短いビープ音で知らせてくれます。また、クレーが放出される前に割れてしまう「ノーバード」の際も、プーラーがやり直し処理を行います。

競技でわからないことはプーラーに相談する

 クレー射撃では、競技の進行やルール、マナーについて事前に理解しておくことが望ましいですが、初心者の場合は忘れてしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、事前にプーラーに「初心者です」と伝えておき、わからないことがあれば教えてもらうようにすると良いでしょう。

まとめ

  1. クレー射撃場の場所や開場日時、できる競技を調べておく
  2. クレー射撃に行くときは、忘れ物(特に所持許可証)が無いことを確認
  3. 射台でのマナー(特に、銃の扱いや持ち運び方)に注意すること

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