6匹の一網打尽を狙いながら、わずか2匹の捕獲に終わった病院敷地内の箱罠。
あれから1週間ほど経過観察を続けていますが、案の定、残党4匹は姿を見せません。
撒き餌の端っこがわずかに食われていますが、この食べ跡はタヌキなどの中小型獣の仕業。
イノシシが餌を食べる場合、鼻先と唇を押し付けて食べるため、なめ取られたような跡が残ります。
対してタヌキなどは、犬と同じように「ハグハグ」と食うため、一口サイズに削り取られたような跡になるのです。
このような食べられ方を見分けるために、私は餌に小枝を刺しておきます。
倒れた小枝によって、どのような獲物が、どのくらいの警戒度で食べているのかを推測することができます。
さて。
通常、このような展開になった場合は、より強烈な匂いを放つ「特効餌」を混ぜる手法があります。
例えば、イノシシに対するポピュラーな特効餌といえば「酒粕」。
イノシシは甘い物に目がないため、糖蜜やパン粉なども高い誘引効果を発揮します。
では、今回の箱罠にそういった特効餌を投入するべきでしょうか?
その答えは「ノー」。
理由は単純。
今回の目的は、病院の敷地内からイノシシを「駆逐」することだからです。
もし、酒粕などの匂い立つ特効餌を撒いてしまえば、残党イノシシだけでなく、他所から別の個体や、タヌキなどを呼び込む危険性があります。
鳥獣被害対策の目的は「捕獲すること」ではなく、「被害を防除すること」です。
なので、「捕獲」を優先して誘引力の強い餌を使い、病院敷地内を野生動物のパ〜ラダイスにしてしまっては、元も子もないのです。
箱罠は、すでにそのエリアにいる獲物を捕獲することには向いています。
むやみに餌を撒いていると、逆に被害を拡大させてしまうリスクがあることを、理解しておかなければなりません。
なお、「駆逐」だけを目的とするならば、猟犬と銃を使って、徹底的に追いまわすのが最も効果的です。
今回、取り逃した4匹が、仲間が捕まった恐怖で深山へ逃げ出してくれたのだとしたら、防除の目的としてはこれで十分。
「ミッション達成」と言えます。
本音を言えば。
狙い通り6匹全員を一網打尽にしてミッション完了と報告した方が、「格好良かったのになぁ」というのが正直なところですが。



