箱わなを設置して1時間でイノシシが入ってしまった

病院敷地内に設置した箱罠は、翌日早々にトリガーをセットしました。
​さて、大型箱罠でイノシシの群れを捕獲する場合、基本的には「一網打尽」を狙わなければなりません。
目の前で仲間が閉じ込められる姿を見せてしまうと、残された個体は箱罠を「危険な物」と学習し、箱罠に近づかなくなってしまうからです。
​そこで今回の箱罠は、奥の方に餌を多く撒き、入り口付近に向けて徐々に量を絞っていく配置にしました。
さらに、トリガーは箱罠の最奥にセットし、ちょっと触れた程度では作動しないようガッチリと固定。
中央にはバリケードのように小枝を配置して、中に入ってきたイノシシの進行スピードを遅らせる工夫まで施しました。

​我が計略によると。
警戒心の薄い個体が我先に箱罠の奥へ潜り込んで夢中で餌を喰らい、その姿を見て安心した後続が雪崩れ込む。
そして6頭すべてが檻の中に収まったタイミングで先頭がトリガーを蹴っ飛ばし、全頭一網打尽となる計算です。
​これぞ「罠猟兵法百八ノ計・猪檻一網捕殺陣」!
罠猟師には時として、このような知略も必要でござる。ハハハ!

​と、箱罠のセットを終えて天才軍師気取りで昼食を食べていたときのこと。
​スマホが鳴り、「イノシシの罠の件ですが……」と病院の担当者様から電話が入りました。
​そういえば、箱罠を設置し終えた報告をまだしていなかったなと思い出し、
「今日のお昼から箱罠をセットしています。早ければ数日以内に捕獲できると思います。」
と余裕たっぷりに伝えたところ……受話器から衝撃の一言が。
​「もうイノシシが2匹入っています」

​ゲェェェーーーッ!?​早すぎる!!
罠をセットしてからまだ「2時間」しか経っていないんだが!?
しかも「2匹しか入っていない」だと!?

現場へ急行すると、そこには確かに2匹の子イノシシの姿が。
​いくら慣らしていたとはいえ、初見の新品箱罠。
もう少し警戒して様子を見ながら時間をかけて入ってくるかと思いきや、警戒心の薄い2匹が、猪突猛進でバリケードを破り、最奥のトリガーまでブッくら返したようです。
これで確実に、残された4匹の警戒心は跳ね上がり、箱罠だけで解決するのが難しくなりました。
​「策士策に溺れる」。
いや、そもそも、野生動物に策を講じるなど、「下手の考え休むに似たり」なのかもしれません。

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