先日、某テレビ局から取材の申し込みを受けました。
主題は、近年ニュースでも取り沙汰されることの多い「緊急銃猟」について。
ひとまず要旨を尋ねてみたところ、その内容は「街中に出没したクマにどうやって近づくか」や「街中で猟銃を撃つときに気を付けるべきこと」といったものでした。
う〜む……申し訳ないですが、この緊急銃猟について、世間では非常に危険な誤解が生まれてしまっているようです。
そもそもの話。
私は市街地に出没したクマの対策を、民間人である狩猟者に委ねることには反対です。
鳥獣被害対策については、「猟銃」を所持する特権に対する社会的責任でもあり、狩猟者が担うべき役割の一つだと思います。
しかし、街中に出没した野生動物については、それはもう鳥獣被害対策ではなく「治安維持」の問題であり、警察の領分です。
「猟銃」という道具は、広大な自然の中で確実に獲物を仕留めるためのパワーと射程距離を前提に作られています。
そのため、市街地のような障害物の多い場所で、動き回る標的に向けて発砲することに適した道具ではありません。
市街地戦において野生動物を撃つのであれば、それに特化した銃器が使われるべきであり、それを扱うための訓練をするべきです。
それでは、なぜ国や自治体は一般の狩猟者に緊急銃猟をやらせようとしているのでしょうか。
それは間違いなく、万が一の事態が起きた際、警察が「責任」を負いたくないためです。
万が一何かあった場合に、一般の狩猟者をスケープゴートにしようとする意図が見え隠れするからこそ、私は狩猟者が緊急銃猟に携わることへ反対しています。
それでもなお、「狩猟者が市街地での緊急銃猟を担うべきだ」というのであれば、最低限必要な議論があります。
まず、市街地での運用に適した専用銃器について検討するべきです。
加えて、緊急銃猟とは本質的に「治安維持」の問題であり、一定のコラテラルダメージ(巻き添え被害)が発生し得るという現実を、国やメディアが説明するべきだと思います。
私は以上のような考えを持っているため、今回の取材については「適任ではない」と判断し、お断りしました。
何度も言いますが、狩猟者は「自然の中で獣を捕獲する」ことはできますが、街中に現れた猛獣を制圧する特殊部隊ではありません。
そして、私たちが所持している猟銃も、その目的に適した道具ではありません。
この現実を、世間だけでなく狩猟者自身も理解しておかなければ、将来的に狩猟者は「不利な装備で、重い責任だけを負わされる存在」になっていく。
そのことに強い危機感を抱いています。




