手作りのアニマルスネアを使って、箱わなの獲物を「保定」する技術

トリガーを設置する日を調整してまで、ハンターズキャンプのメンバーが集まる日に捕獲したかった理由。
それは、なかなかチャンスに恵まれず延期を繰り返してきた「箱罠での止め刺し講習」を実施するためでした。
箱罠はくくり罠に比べて「反撃を受けるリスクがほとんどない」と思われがちです。
そのため「止め刺しなんて簡単でしょ?」と軽く考えられがちなのですが、実際はそう甘くありません。

箱罠の中にいる獲物は、当然ながら暴れまわります。
そんな状態で、急所をナイフで突くためには、獲物の動きを保定する技術が不可欠になります。
…まあ、私の知り合いに「元プロ格闘家」の罠猟師がいるのですが、その人は箱罠の中で突進してくるイノシシに対して、「カウンター」を合わせて急所を一突きで仕留めていました。
しかし、そんなのは例外中の例外。
普通のハンターは、正しい道具と保定の手順を知っておく必要があります。

当会では、くくり罠・箱罠を問わず「ポールスネア」と呼ばれる自作の拘束具を用いて保定を行います。
これは長尺の塩ビ管の中に、くくり罠用のワイヤーロープを通したシンプルな構造の道具。
先端のワイヤーで輪を作り、狙った部位に引っ掛けて手元のワイヤーを引き絞ると、ワイヤーが縮んで獲物を固定できます。
さらに手元側にはカラビナを装着してあり、ここにトラックロープを連結して「トラッカーズヒッチ」と呼ばれるロープワークを駆使することで、大型のイノシシが相手であっても、力負けすることなく人間の力で押さえ込むことができます。
市販の動物拘束具を購入しようとすると1本で3万円近くする高価な代物ですが、ホームセンターの資材で自作すれば1,000円もかかりません。
詳しい材料や構造は『わな猟の教科書』で図解入りで解説していますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

さて、実際の箱罠での手順としては、まず天井の網目からポールスネアを落とし、イノシシの場合は上顎か首元にスネアの輪を掛けます。
そのままワイヤーを引き絞って頭部を天井方向へ吊り上げることで、動きを封じ込めることができます。
あとは、箱罠の外から獲物の前脚を引き出して急所を露呈させ、ナイフで急所を一突きして完了となります。
今回、絞り上げる際に箱罠がブッ倒れそうになる場面がありましたが、これはアンカー固定が甘かったため。
もし箱罠の真上に太く丈夫な木の枝などがあれば、そこにロープを通して「真上」に向かって引き上げるように工夫すると、箱わなが転倒するトラブルを防ぐことができます。

さて、今期ハンターズ・キャンプのメンバーには、これでひとしきりのわな猟の技術を伝えることができました。
これにて卒業!おめでとうございます。
……なぁにぃ? まだ「一人でやるには自信が無い」だって?
甘い甘い! あとは現場での実戦あるのみ。
自分の頭と手足を動かした実戦の数だけ、本物の自信と技術が生まれるのです。
そして、知りえた技術は次の新しいメンバーに伝えていきましょう!

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