【体験レポート】狩猟民族的ツアースタイルは、突然の雨に泣く!【シカ捕獲】

狩猟の現場では、努力や技術だけではどうにもならない瞬間があります。獲れるか、獲れないか。それを分けるのは、経験でも理屈でもなく、どこか「見えない流れ」のようなものかもしれません。今回は、そんな狩猟の不思議さと、福岡ハンターズ・キャンプが「拠点を持たない理由」を実感した一日の記録です。

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厳しい状況の中での「ダメ元」見回り

本日は、男性2名のお客様をお迎えしてのデイツアーでした。
実は、前日に罠を設置した時点では、かなり厳しい状況。
群れが移動した痕跡は所々にあるものの、動きに一貫性がなく、獲物の行動がまったく読めない。
正直なところ、「これは厳しいな……」という感触です。

そこで今回は、困った時にこそ頼る、これまで実績を重ねてきた場所に狙いを絞って罠を設置しました。
そして迎えた当日。
お客様と「まあ、ダメ元ですね」と話しながら見回りをしたところ――
なんと、シカの捕獲がありました。

「ツイている猟場」という不思議

狩猟というのは本当に不思議なもので、人によって「よく獲れる猟場」と、「どうにも相性の悪い猟場」が、はっきり分かれます。
ある人が入るとよく獲れる場所でも、別の人が入るとまったく成果が出ない。
こうした現象は、決して珍しいものではありません。

今回罠を設置した場所は、私にとって非常に相性の良い猟場で、これまでも何度も絶妙なタイミングで獲物をもたらしてくれました。
昔の人が、山ごとに「カミ」がいると信じていたのも、こうした不思議な相性の積み重ねから生まれた感覚なのかもしれません。

福岡ハンターズ・キャンプが「拠点を持たない理由」

福岡ハンターズ・キャンプでは、あえて特定の拠点施設を設けていません。
近場に解体施設がない、という現実的な理由もありますが、最大の理由は
拠点を持たないことで、柔軟性と機動性を高めるためです。

狩猟をコンテンツとする以上、

  • どんな獲物が
  • どれだけ
  • どこで
  • どんな状況で

得られるかは、まさに「カミのみぞ知る」世界。
刻々と変わる自然に対応するためには、定住せず、移動を続ける狩猟採集民のような身軽さが必要だと考えています。

身軽さの代償と、焚き火臭の夜

しかし、身軽であるがゆえの弱点もあります。
それが、天候の急変への脆さです。
昨日のツアーでは、「昼から雨」という予報が外れ、午前中から突然の雨。
急遽タープを設営する必要が出てきました。
幸いなことに、参加者様の中に元自衛官の方がいらっしゃり、
驚くほどのスピードでタープ設営が完了。
おかげでツアー自体は、無事に終了しました。

問題は、その後です。

雨に濡れたタープは、そのままにしておくと確実にカビます。
乾燥させる必要がありますが、私たちには「干すための拠点」がありません。
仕方なく自室に広げて干した結果――
部屋中が、強烈な焚き火臭に包まれることに。

……猛烈に、クっさーーーーーーい!!!!

理念を持って「持たざる経営」をしていますが、
この時ばかりは
「やっぱり拠点があった方が便利だな……」
と、思う夜でした。

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