ゼロイン(Zero-In)
ゼロインは、照準器を覗いたときの視線(照準線)と射出された弾頭の軌跡(弾道)が交差するまでの距離のことで、このゼロインを任意の距離に設定することをゼロイン調整と呼びます。照準器を正確に使用するためには、あらかじめゼロイン調整を射撃場で行う必要があります。
ゼロインの基礎
発射された弾頭は重力の影響を受けるため、毎秒9.8mの加速度で落下します。そのため銃で遠くの標的を狙うためには、弾が放物線を描くように斜め上に向けて発射しなければなりません。
しかし『斜め上に発射する』というのは現実的ではありません。射出された弾の落下量は発射された弾の速度と標的までの距離によって変わってくるため、毎回「どれだけ斜め上を狙うか」を考えて射撃をするのは無理があります。
そこで役に立つのが、照準器の”ゼロイン”という考え方です。照準器の照門(手前側)と照星(先側)に角度を付けて取り付けると、照準器を覗き込んだときの視線(照準線)は弾道と交差します。そこで、この交差する点をあらかじめ「〇m」と設定しておけば、〇mにおいて照準の中心に弾が命中することになります。
ゼロインの偏差射撃
例えばゼロイン調整を50mに設定した場合、50m先の標的には照準の中心を合わせれば命中します。もし標的が50mよりも遠くにいる場合は、照準よりも弾は少し落下するため、少し上を狙って発射します。逆に標的が50mよりも近くにいる場合は弾は山なりに飛んでいるので、少し下を狙って発射します。
このように照準器を使って精密な射撃をするためには、標的との正確な距離を知らなければなりません。標的との距離を測定する方法には、ミルドットやMOAといった距離を簡易計測できるレティクルを持つスコープを使用するか、射撃の前にレンジファインダーを使います。
ゼロイン調整
ゼロイン調整は、標的まで30m、もしくは50mある大口径ライフル射撃場で行います。小口径(競技用)射撃場は標的までの距離が10mしかないため、ゼロイン調整の用途には向いていません。射台についたら銃をガンバイス(ガンレスト)に固定して標的の中心に照準を合わせて、ひとまず4,5発発射して弾痕の集まり(グルーピング)を確認します。
グルーピングの確認は、いちいち近寄って見に行くのは手間がかかるため、スコープよりも倍率が高いスポッティングスコープを使います。射撃場に弾痕確認用モニターが付いているところもあります。
標的の弾痕を確認したら、中心からズレている方向に対して照準器を調整します。照準器がスコープやリフレクタサイトのような光学照準器の場合は、エレベーションダイヤル(上下方向)、ウィンテージダイヤル(左右方向)を回して弾痕が中心に寄るように調整します。アイアンサイトの場合は、照門の高さを調整しましょう。
調整ができたら、再度4,5発発射して弾痕を確認します。この調整を何度か繰り返して弾痕が中心に集まるようになったら、照準器(照準線)と銃身の向き(弾道)の間に、標的までの距離(50m射撃場なら50m)のゼロイン調整が完了したことになります。
ゼロイン調整後の注意点
ゼロインが完了したらエレベーターダイヤルやウィンテージダイヤルは触らないようにしましょう。またゼロインで使用したペレット以外を使ったり、パワーレベルを変えて射撃をすると、ペレットの弾道が変わってゼロインが狂ってしまうため、これらを変えてはいけません。射撃を繰り返すとゼロインが徐々にズレてしまうこともあるため、1年に1回、できれば猟期前にゼロイン調整を行いましょう。
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