ミルドットレティクル(Mil dot reticle)
ミルドットレティクル、主にテレスコピックサイトの照準に使われるレティクルの一種です。このレティクルには中心から4方向にメモリとなる点が打たれており、この点と点の間を「1ミル(MIL)」と呼びます。1MILは「1000m先における1mの長さ」を示しているので、スコープを覗いた状態で標的までの距離を測定することができます。
ミルドットで距離を測定する
ちなみに、MILドットレティクルと似たレティクルにエム・オー・エー(MOA)があり、これは「100ヤード先の1インチの長さ』を表しています。どちらのレティクルでも距離を測定できますが、日本人としては「メートル」で感覚を掴めるMILドットレティクルがオススメです。
具体的な距離の測定方法は、標的の実際の大きさと、標的が何ドット内に収まっているかで判断します。例えば、「スズメをミルドットレティクルで見ると、約7.5ドットに収まっていた」とします。1MILは「1000m先の1m」を示しているのに対し、体長約15㎝(0.15m)のスズメが7.5mで見えているので、『実際の距離:1000m = 0.15m:7.5m』となります。すなわち実際の距離は、スズメの体長(0.15m) ÷ ミル数(7.5) × 1000m = 20m ということがわかります。
ミルドットの実猟的な使い方
もちろん実際の狩猟の現場で、上記のような複雑な計算をするのはものすごく難しいです。そこで、あらかじめゼロインした距離から「獲物が何ミルより大きく、または小さく見えるか」で、おおよその距離を掴めるようになりましょう。
例えばあなたが『30mでゼロインしたスコープでヒヨドリを撃ちに行く』場合、体長約0.2mのヒヨドリはゼロインした30mの距離では「ミル数 = 体長 ÷ 30m × 1000m」の計算より、約6.5ミルで見えるはずです。つまり実際の狩猟でヒヨドリが6.5ミルで見えた場合は「ヒヨドリはゼロインした30m先に居る」ことがわかるので、レティクルの中心に照準を合わせます。もし6.5ミルよりもヒヨドリの姿が小さく見えた場合は、「ヒヨドリはゼロインした30mよりも遠くに居る」ことになるので、ドロップを考慮して少し上目に照準を合わせます。逆に6.5ミルよりも大きく見えた場合は、「ヒヨドリはゼロインした30mよりも近くに居る」ことになるので、放物線で飛んでいくことを考慮して少し下目に照準を合わせます。
ミルドットの派生
ミルドットには、ドット間(1MIL)の中間に、さらにドットを加えたハーフミルドットや、ミル数を瞬時に判別できる数値が振られた拡張型ミルドット(MIL-dot Ext)、より正確に距離計測ができる改良型ミルドットなどがあります。
FSP/SSP
距離計測機能の付いたレティクルには、倍率によってドットの間隔が変化して見えるFSP(第一焦点面)と、倍率を変えてもドットの間隔が一定しているSSP(第二焦点面)の2タイプがあります。FSPの場合はどの倍率でもミルドットを使えますが、SSPでは最大倍率時でしかミルドットを使えません。