プレチャージ機構(Pre-Charged Pneumatic)
プレチャージ機構(PCP)とは、銃内部に貯められた圧縮空気を小出しにしてペレットを射出するエアライフルの機構です。
この方式には機構の一部に空気を貯めるエアシリンダーが付いており、エアタンクやハンドポンプを使って、20トン(200気圧)以上の空気を注入します。この圧縮空気は引き金を引かれるごとに一定量が銃口から噴出されるようになっており、この圧力によってペレットを射出します。
プレチャージ機構の仕組み
このようなプレチャージ機構の仕組みは、17世紀ごろにはすでに存在していましたが、当時の技術では空気を圧縮する機器や高圧空気を封止する素材に技術的な問題があったため、利用される機会は限られていました。しかし近年、空気圧を封止する樹脂素材の開発や、高圧に耐えられるガスピストン、精密な金属加工技術などの技術革新により、プレチャージはエアライフルの機構の主流になりました。
”おいしい”圧力帯
PCPエアライフルでは、エアシリンダー内の圧力が低すぎると射出する力が足らずペレットのスピードが低下(最悪の場合は銃身内で停弾)します。そのためエアシリンダー内には、常に最低限の空気圧を入れておかなければなりません。
またPCPでは、逆にエアシリンダー内の圧力が高すぎても問題が起こるので注意しましょう。規定圧力を超えてエアシリンダーに空気を注入している場合、ストライカーが叩いた弁がシリンダー内の圧力によってすぐに閉じてしまうため、十分な量の空気圧を取り出すことができなくなり、ペレットの射出スピードが低下してしまいます。すなわちエアシリンダーの蓄圧力は、『低すぎても高すぎても本来の性能が発揮できない』ということを覚えておきましょう。
ちなみに、そのエアライフルにおいて最も精度が出る丁度良い圧力は「おいしい空気圧帯」とも呼ばれており、エアライフルのメーカーや種類、また個体差によって変わってきます。そこで新しいPCPを購入したら、何度も試射を行い「おいしい空気圧帯」を探してみましょう。
空気の充填方法
PCPエアライフルに空気を充填する方法には、エアチャージャーと呼ばれる機具を使います。エアチャージャーには大きく、ハンドポンプとエアタンクの2種類があります。
また、これらエアチャージャーとエアライフルの間には専用のコネクタ(フィリングコネクタ)を接続します。フィリングコネクタはエアライフルの種類によって異なるため、さらにアダプタやヨークなどを使います。この変換に必要な器具類は充填アダプタ(MDEアダプタ)と呼ばれています。
その他の方式
エアライフルの機構にはプレチャージ以外にもガス圧式やマルチストローク式などがありますが、現在よく使われているのはプレチャージ機構とスプリングピストン機構の2種類です。スプリングピストン機構にはさらに、スプリング方式とガスラム方式の2種類があります。