西九州の”絶品猪肉”、長崎県波佐見町の『MOCCO(モッコ)』ECサイトで販売開始!

 環境やエサの種類で肉質がまったく変わるイノシシ肉。そのような中、多くのジビエ愛好家から”絶品”と高評価を受けているが長崎県波佐見町の猪肉です。
 今回は波佐見町のイノシシが美味い理由と、2022年7月からECサイトでの販売も開始されたジビエ処理施設・MOCCO(モッコ)についてご紹介します。

目次

長崎県・波佐見ってどんな町?

 長崎県波佐見(はさみ)は、長崎県のほぼ中央に位置する内陸の町です。造船の街「佐世保」、陶磁器の里「有田」、温泉の都「嬉野」と名だたる観光地に囲まれるなか、イマイチ知名度の乏しい波佐見町。・・・しかし。自然豊かで歴史が深く、九州の玄関・福岡空港から「1時間ちょい」で行けるのも相まって、意外と人気の観光地だったりします。

歴史香る陶磁器の町

 波佐見の代名詞ともいえるのが「波佐見焼」という名で知られる陶磁器です。波佐見では陶磁器に使われる上質な土がとれることから、江戸時代前期より陶磁器産業が営まれており、現在も多くの窯元が軒を連ねています。

 長崎の陶磁器といえば「有田焼」の方が有名ですが、有田焼が美術品として扱われることが多い一方、波佐見焼は”日用品”という面が強い陶磁器です。そのため波佐見焼は丈夫で使い勝手が良く、なによりも”安い”のが特徴です。
 波佐見では近年、新興の窯元も増えており、これまでには無かったオシャレでカワイイ陶磁器も多数生産されています。窯元巡りなんかもオススメですよ。

激増するイノシシ被害

 さて、このような陶磁器の町で近年問題になっているのが、イノシシによる農業被害です。
「陶磁器とイノシシの農業被害?」、一見関連性が無さそうに思えますが、実は意外な関係性があります。

 と言うのも、陶磁器の生産には土だけでなく、それを焼く燃料が必要です。そして、その燃料には近代までが使用されてきました。しかし近年ではガス窯や電気窯が主流になり、薪の需要が大幅に減少しました。

 このように薪が使われなくなると発生するのが里山の荒廃です。薪用木材の需要が無くなった里山は次第に人の管理が届かなくなり、次第に深山からやってきた野生動物が住み着くようになります。
 この状態が続くと、野生動物はさらに農地や住宅といった人間のエリアにも出没し、農作物の食害や住宅・敷地内への侵入、交通事故や人身事故などを起こします。これが世に言う野生鳥獣の害獣化という現象です。

(余談)西九州にシカはいない

 余談ですが。波佐見町を含む西九州にシカは生息していません。これはシカが多い九州山系との間に広大な筑紫平野があるため。
 もちろん今後、何らかの方法で筑紫平野をシカが渡ってくるかもしれませんが、現在害問題となっている大型獣はイノシシに限られます(※ツキノワグマも九州には生息していません)。

イノシシ肉工房『MOCCO』

 さて、そのような波佐見町でイノシシ肉の生産・販売を行っているのが、株式会社モッコのジビエ処理施設『MOCCO』です。
 波佐見町で捕獲されたイノシシの肉は、知る人ぞ知る絶品。その理由は波佐見の自然環境にあります。
 

西九州の自然が産んだ絶品猪肉

 波佐見町が位置する西九州は、温暖な気候と豊かな土壌から稲作がとても盛んな土地です。また、山がなだらかで日当たりが良いため、カシやブナなどのドングリを落とす木がたくさん生えています。
 このように、稲をたんまり食害した or 豊かな自然で育ったイノシシの肉は、身がしまって旨味が濃く、厚くて甘味の強い旨味を持っています。

 モッコで生産されているイノシシ肉は、地元のホテルなどにも卸されています。
 実際に、MOCCOと波佐見のホテル・ホテルブリスヴィラ波佐見が共同開発したジビエ料理をいくつか試食させていただきましたが、そのどれもがイノシシ特有の旨味が引き出された最高の料理でした。

 ちなみに、ホテルで提供されているジビエ料理は、海外のお客様にも好評なのだとか。
 波佐見には佐世保アメリカ海軍基地からのお客さんや、中国・台湾などの観光客からも多く、その多くが「ジャパニーズ・WILD BOAR!」と高く評価されているそうです。

MOCCO代表・城後 光さんの挑戦

 株式会社モッコの代表取締役の城後 光さんは波佐見町議会の議員でもあります。町議会議員、ジビエ処理施設運営、罠猟師、そして2児の父、と忙しく働く城後さん。はたしてどのような理由から、波佐見でイノシシ肉の販売事業を行おうと思ったのでしょうか?

人間と自然のベストな関係を構築する「森興し」

 その理由は、会社名「モッコ」の由来にもなっている「森興し(もりおこし)」だと城後さんは語ります。
 「人が昔のように里山で活動を興(おこ)すことで、人間と野生動物の適切な関係を取り戻したいという思いがあります」。
 また城後さんは、波佐見の絶品猪肉を多くの方に知ってもらい、町の名物として広めていきたいとも考えています。
 町議会議員としてジビエの流通で『町興し』、狩猟者としてイノシシたちとの適切な関係を築く『森興し』。この2つの”興”が城後さんの持つ信念です。
 

地元猟師さんを支えたいという想い

 城後さんのもう一つの想いが、高齢化が激しい地元猟師さんのサポートです。MOCCOで仕入れるイノシシ肉は城後さん本人が捕獲した獲物だけでなく、地元猟師さん達が捕獲した個体も買い入れています。
 このようにお金を還元する仕組みを作ることで、猟師さん達の収入を確保するだけでなく、若い猟師が参入がしやすい環境を作り出すことができます。まさにSDGs的な『持続可能性』に着目した取り組みだといえます。

まとめ

 今回は長崎県波佐見町のジビエ解体処理施設『MOCCO』をご紹介しました。
 波佐見の絶品猪肉は、2022年7月から下記ECサイトで販売が開始されています。クーポンコード「mocco-open」 で全品15%オフとのことなので、この機会に是非ご堪能下さい。

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この記事を書いた人

東雲 輝之のアバター 東雲 輝之 株式会社チカト商会代表取締役・ライター・副業猟師

当サイトの主宰。「狩猟の教科書シリーズ」(秀和システム)、「初めての狩猟」(山と渓谷社)など、主に狩猟やキャッチ&イートに関する記事を書いています。子育てにも奮闘中。

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